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東と西の視点の相違

イスラエル×ハマス、ウクライナ×ロシア、ニュースは、われわれ邦人にとって何をもたらすのか~

という昨日のテーマでしたが、やはりといいますか、イマイチ、という感触でしたね。
ひと昔前とちがって、その一般向け、ニュースソースはずっと多くなってますが、如何せん発信元が限定されており、当然、その内容もかたよりは否めません。
そうした中、あの「グレタ」さんのニュース発信記事が、ひときわ目を引きました。

グレタさん「ガザを支持」、イスラエル軍は激怒―米国の若者の意識の変化も
志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
2023/10/27(金) 12:12 Yahoo!ニュース
画像英ロンドンで化石燃料反対デモに参加するグレタさん(写真:ロイター/アフロ)

ロイター/アフロ

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(20)が、イスラエル軍による猛攻撃を受けているパレスチナ自治区ガザについて、自身のSNS等で、「ガザと共に立つ」と連帯を表明。
「今すぐ停戦を」と呼びかけた。
これにイスラエル軍の広報は激怒。グレタさんを批難している。それは恐らく、グレタさんが世界の若者達に強い影響力を持つからだけではなく、グレタさんがSNSに投稿した画像に一緒に写っていた人物のメッセージも、イスラエルの右派政権にとって気に入らないものだったからかもしれない。

〇「ガザと共に立つ」と投稿
 グレタさんは自身の旧ツイッター(X)やインスタグラム等に、「STAND WITH GAZA(ガザと共に立つ)」と書かれた紙を持った自身の写真を投稿した。その写真には、グレタさんの友人と思われる若者3人もそれぞれのアピールを書いた紙を持って一緒に写っていた。
 これに激怒したのは、イスラエル軍広報官のアリエ・シャルズ・シャリカール氏。米国の政治専門メディア「ポリティコ」に寄せたコメントで、「グレタに賛同する者はそれが誰であれ、テロ支援者であるというのが、私の見解です」と憤った(関連情報)。

〇気候正義とパレスチナ問題
 グレタさんは、今後の地球温暖化の進行により、最も脅かされる若者達の世代の代弁者として、世界的な影響力を持っている。2019年9月、グレタさんらが参加を呼びかけたの国連総会にあわせた「グローバル気候ストライキ」には、世界各国で約760万人がデモや集会などを行った。グレタさんの行動原理の一つとして、「気候正義」がある。つまり、温暖化を進行させてきたのは先進国や大人達であるのに対し、その被害を被るのは、途上国や子ども、未来の世代であるという不条理に対し、それはおかしいと声を上げるもの。そうしたグレタさんの哲学から考えれば、圧倒的な立場の差と不正義への異議として、彼女がガザに連帯を表明したことは、自然なことだと言えるだろう。
 パレスチナの人々は、ナチスによるユダヤ人迫害の余波と、欧米の身勝手な外交安全保障政策で建国されたイスラエルに土地を奪われ、以降、75年間にわたり、イスラエルによる占領に苦しんできた。ガザは、2007年以降、人や物資の出入りが厳しく制限されるようになり、「天井のない監獄」と呼ばれるようになった。封鎖によりガザの経済は破綻。人口の3分の2が貧困に喘ぐことになった。さらに、2008年以降、5度のイスラエル軍による大規模な攻撃で、多数の市民が殺されてきた。こうしたパレスチナの人々が置かれている状況に、近年では「ユダヤ教とイスラム教の対立」という構図を超えた、普遍的な人道に対する罪であるという認識が広がりつつある。

〇米国の若者達の変化とユダヤ人達の平和運動
 イスラエルの対パレスチナ政策への異議は、イスラエルにとって最大の支援国である米国においても、特に若い世代で共感されるようになってきている。それまで、圧倒的にイスラエル支持が多かった米国であるが、直近のロイターの世論調査でも、40歳以上の回答者の53%が「米国はイスラエルを支持すべきだ」としたのに対し、40歳未満では約20%であった(関連情報)。

 グレタさんの投稿に一緒に写っていた若者のメッセージも、イスラエルの右派政権にとっては都合の悪いものだろう。グレタさんの隣にいた女性が持っているプラカードには、「This Jew stand with Palestine(このユダヤ人はパレスチナに連帯する)」と書かれていたのである。ユダヤ人国家を標ぼうするイスラエルであるが、イスラエル外にいるユダヤ人は、必ずしも、シオニズム(「ユダヤ人はパレスチナの土地に帰り、そこに住むべきだ」という思想)に賛成している訳ではない。またイスラエルの国家としての存在自体は認めていても、パレスチナ占領には批判的というユダヤ人も、イスラエル内を含め各国に少なからずいるのである。米国の議会に平和運動家達がなだれ込み、イスラエルのガザ攻撃に反対し即時停戦を訴えたことは、日本でもニュースになったが、これらの平和運動家達の多くはユダヤ人であり、この抗議活動を呼びかけたのも、ユダヤ人による平和団体「Jewish Voice for Peace(平和のためのユダヤ人の声)」である。

 グレタさんも、「もちろん、私たちはいかなる種類の差別にも反対し、あらゆる形態の反ユダヤ主義を非難します。これは議論の余地がありません」とも投稿している*。つまり、イスラエルによるガザ攻撃に反対することと、反ユダヤであることは全く異なるものだと、釘を刺しているのだ。

 イスラエルの対パレスチナ政策に異議を唱えることを、「反ユダヤ主義」とレッテル張りするのは、イスラエルの右派政権や右派ユダヤ系圧力団体の常套手段であるが、グレタさんや、ユダヤ人による平和団体のメッセージは、より普遍的な、人間が人間に対し行ってはいけないことに抗議しているのである。 部分引用

このグレタさんのとったアクションは、日本で云えば賛否両論、という解釈になるのでしょうが、この記事には、そんなことは一言も言及しておりません。
そのことは、発信メッセージに対して一定の評価をしている、とも取れた。

しかしさすがに、否定論が出て「イスラエル軍広報官のアリエ・シャルズ・シャリカール氏。米国の政治専門メディア「ポリティコ」に寄せたコメントで、『グレタに賛同する者はそれが誰であれ、テロ支援者であるというのが私の見解だ』と憤った(関連情報)。」という声明が出されている。

その意見を読む限りでは、その声明に報復が重なり、さらに事件が拡大すると云うのが、この紛争の火種であり、何度も繰り返されてきた、という見解がある。

そうしたリスクを充分理解しながらも、敢えて反旗を挙げたと云うのは、やはり刹那一過性の人間ではない、というのをよく証明していたようです。

おそらく、そうしたアクションを日本の女子高校生がやろうとすれば、日本社会全体から阻止され、及んで学校組織として問題視されるのは明らかでしょう。なぜなら18歳選挙権はとったものの、大人も、その未成年も、社会問題許容範囲が、とても狭義な解釈しかしてないからです。

いずれにしても「手に余る」課題に間違いないし、なぜなら70年前の敗戦いらい、そうした問題に触れないように傾注してきたという歴史が歴然とあるからです。

昨日の「イーロン・マスク」の経済ロジックをさらに発展して、考えると、フランス経済学者「トマ・ピケティ」の『21世紀の資本論』が、その頃よく読まれたことが挙げられます。

それについては、事項記事で説明いたします。


■1980年代から進んだ不平等化の要因はどこにあるのか。これまでに、技術進化の視点、労働経済学の視点など、以下のように6つほどの視点から仮説が提起されてきた。そのひとつが「グローバル化」である。先進国の、特に非熟練同労働者層は、途上国の非熟練低賃金労働者と競争することになり、先進国の低所得者層の賃金が抑えられる。
その結果、不平等が広がる。これは一時期否定されたが、最近また復活している仮説だ。 そして最近、最もよく使われる説明が、2つ目の「技術進歩」だった。熟練労働が求められる方向に技術進歩が進み、非熟練労働に対する需要が低下し、非熟練労働者の賃金が上がらず、不平等化が進むという考え方である。第3がIT化。これは、技術進歩と似た視点の考え方だ。熟練労働者へのシフトが進んでも、従来はホワイトカラーは大丈夫だと考えられてきたが、IT革命によりホワイトカラーの仕事も代替されるようになってきた。
これにより中間層が消滅しつつある。 
部分引用 岩井克人(東京財団名誉研究員)


「トマ・ピケティ」の『21世紀の資本論』


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