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アップライトはグランドピアノの劣化版で、電子ピアノは紛いものか

「ピアノを本気でやるのにアップライトなんてありえない。ましてや電子ピアノなんて…」

こんな主張がピアノ業界には昔から根強くあります。

ここに続くのが

「だから自分はグランドピアノを弾く」

は全然良いと思うんです。でもそれを他人に強要したりマウントをとったり、アップライトや電子ピアノのユーザーが負い目に感じてしまうのは非常に悲しく害のある風潮だなと。

グランドピアノだけが本物のピアノ?

歴史的には確かにピアノは元々グランドピアノから始まりました。

その構造を大胆に変えてコンパクトに納めたのがアップライトピアノ。さらにデジタル化したのが電子ピアノと言う順番です。アップライトピアノは構造的に鍵盤が完全に元の位置に戻らないと次の打鍵ができないし、電子ピアノは録音された音以上の表現はできません。

でも結論から言えば、僕はこれらにもはや楽器としての優劣はないと考えています。

タイトルの主張は一部正しいところもあります。でもそれはあくまで「グランドピアノの音と機能を最高のものとした場合」に過ぎません。

その理論では“ホンモノのピアノ”はフルコンサイズのグランドピアノだけになります。

このあたりはメーカーも「グランドピアノに近いタッチ」や「本物のピアノのようなリアルな音色」と言う謳い文句を使って来た弊害でもあると思います。

とうぜんグランドピアノにしか出し得ない領域もあれば、逆にダイレクト感ある音とタッチはアップライト特有のもので、省スペースで置けると言う圧倒的なアドバンテージもあります(そもそも置けなきゃ始まらない)。電子ピアノを基準に考えれば、生のピアノはすぐ調律も狂うし、音量調整すらできない不便極まりない楽器と言うことに。

もはやそれぞれ別の楽器

一方で、ピアノの先生が生徒さんに、電子ピアノではなくて生ピアノを用意して〜と願ってしまうのもわかります。それはピアノ教室が「電子ピアノの教室」ではなく「生ピアノの教室」だから。

ホールでの演奏のための練習であれば、より近いグランドピアノで練習しておかないと本番でかなり戸惑うと思います。

そのくらい「ピアノ」としてひとつに括るには三者は違いすぎます

逆に言えば、普段グランドピアノだけの方はアップライトを、電子ピアノ以外弾く機会がない方はどこかでグランドピアノを、ぜひ別の形のピアノを弾いてみて欲しいです。同じ曲でも全然違った感じで弾けておもしろいので。

さすがにもうこの論争を行うには、アップライトピアノも電子ピアノも登場から時が経ち、成熟してそれぞれの役割を得すぎていると思うんです。

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