味とニオイが消えた1ヶ月
先月、人生初のコロナに罹りました。そこそこ辛かったですが、さいわい熱もそこまで高くなく軽症で済みました。
各所にはだいぶ迷惑をかけてしまいました。でも何もしないしできない5日間はけっこう貴重で、フリーランスになってから16年で初めてと言っていいほどリフレッシュできました。
でも快復するのと引き換えに…あれ?
味がしない。ニオイも無い。
後遺症ってやつです
味は鈍いとか薄いと言うより、ある部分がスパッとカットされている感覚です。
食べた瞬間の口の中に広がる〜みたいな部分が皆無で、少し遅れて甘いとか辛いはわかる。そして後味は全く無い。一部のセンサーが全く機能していない感じです。
食感や甘さを感じるので硬めのチョコは比較的おいしく食べられました。白米はとにかくまずい。なぜかカレーは異常に辛く感じました。
香水に鼻を近づけて思いきり吸ってもニオイは一切しないレベルで“無”でした。鼻が詰まっているわけでもないので不思議な感覚です。常に山の上の澄んだ空気の中にいるようでした。
最初はびっくりしましたが、慣れると意外と快適かも?喫煙所の前を通るときも、トラックだらけの道路沿いも余裕です。わからない分、自分が臭わないように気をつけないとでしたが。
調律はやりやすかった
むしろニオイは無いほうが調律中の集中力は圧倒的に上がる気がします。気を散らすノイズが一つ減ったと言うか。
そう考えると、調律中っていろいろなニオイがしてるよなと思います。
新しいピアノの木の匂い。
古いピアノのカビの臭い。
工具の鉄の匂い。
新築のお宅の匂い。
ワンちゃんの匂い。
夕食時の料理の匂い。
ただ集中力は上がるんですが、ニオイが無いと無色透明すぎると言うか。どんな場所でどんな生活の中で弾いているピアノなのか。お客さんと共有できる大事なことまで減ってしまう感覚があります。
耳栓やサングラスのように、嗅覚も適宜コントロールできる方法ないですかね?
1ヶ月経って、戻りました
ある日はちょっと味がするな?と思ったら次の日は0に戻ってたり。
そういえば今日のコーヒーはなんとなく香りがするなあとか。
そんなことを繰り返して、ちょうど1ヶ月経った今はどちらも完全に戻ったと思います。
…たぶん。
と言うのも、仕事上重要な他の3つにくらべて味覚と嗅覚はあまり意識することがありませんでした。目や耳が良い・悪いはあっても味とニオイはとうぜん“ある”ものとしか思っていなかったので。計測できないですしね、今も最大に感じられている状態なのかはわからない。
そう考えると色や音の感じ方と同じように、自分が感じている味もニオイも他人と同じとは限らないんだよなと気づきました。
2度とコロナに罹りたくはないですが、五感について改めて実感できたり、ほんとうの意味で「休む」ということがわかったり、いろいろと勉強になった1ヶ月でもありました。
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