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[詞] そこに映る恋

[詞] そこに映る恋

あなたの中に少しでも私が居るようであれば私にも見せてくれませんか。
あなたと話すときにしか現れない私もいるのですが、ひとりでは見つけられないのです。
あなたと話しているときにだけ現れる私を見つけて、好きになりたい。

[詞]  錆

[詞] 錆

今日も玄関の鍵を開けて冷たい床に座る
空き巣がくるのを待っている

頑なに拒み続けている
壊れた時計
6時を指したまま

[詞]  グランギニョル

[詞] グランギニョル

この形に覚えはあるかな
ピアスがついているね
君にはこちらのほうが
わかり易かっただろうか

どうかな
このリングをご覧よ
素敵なダイヤだね
汚い指は棄てておくさ

暖かい部屋で子供たちが
穏やかな寝息をたてて眠っているだろう
パパの夢を見ているかも
この大きな家に小さな火がつくところ
よく見ていて

早く僕を思い出してよ
そうでなければこれはただの
無意味な儀式なのだから

ほんとうは誰も殺めち

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[詞]  異形

[詞] 異形

ぼく、うまれたときからこの姿
だけどぼくは、異形なんだって

「僕は君の温度を知らないし、君も僕の温度を知らないね」

誰もぼくに触っちゃいけないんだって
ぼくからも触っちゃいけない
やけど、してしまうのかな
それか、溶けてしまう?
でも、きみに触れたいな
触ってくれたら、もっといいな

すがたを変えて、会いにいきたい
ひとは怖かったけどきみのことはすきなんだ
信じて、くれるかな

花にも怖がられ

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[詞]  神隠し

[詞] 神隠し

君から真珠を取り出して
僕が砕いてみせるから

こちらを見ている向日葵は
僕がぜんぶ枯らしてしまうから

僕らを邪魔する悪いものは
ぜんぶ壊してあげるから

だからどこにも行かないで

[詞] 散り落ちた桜の花びらが蛾の骸に見えたことはあるか

春になり次々と花が咲く
次々と花が枯れる
散った花びらは踏みつけられ、茶色く汚い残骸となって人々に愛でられる対象ではなくなる
私たち人間とはそういうものだし
花の死体とさして変わらない

[詞] 桜

[詞] 桜

桜なんか嫌いだ
私の大切なものが奪われたあとに咲くから

桜なんか嫌いだ
私が悲しんでいるときにいちばん綺麗だから

桜なんか嫌いだ
いつも私を置いて散ってしまうから