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風呂の前に物語に浸かる

はじめての韓国小説を読む。

ハン•ガン「別れを告げない」

月が照らす秋夜
街灯のそばに車を停める。

サンルーフから月が見える。
月あかりで、この本の”第二部 夜”を読みたかった。

さすがに月あかりは弱い。
夜路は照らすが本までは照らせない
しょうがない街灯の灯りで我慢しよう。

ページを捲る。
うん。よい雰囲気だ。

僕は本にはカバーをしない。
読み続けるに従ってクタッとした紙の使用感が読み跡として残るのがいいからだ。
でも、今回は違う。
久しぶりにカバーをかけた。
装丁がとっても綺麗だったから。

よく見ると、装画は地元青森県出身の画家!!
この絵は八戸市美術館所蔵である!
まじですか。
そのうち生で絵を見れる期待が膨らむ。

韓国は映画大国だ。
とっても面白い映画が沢山あるが、小説ははじめて読む。

”第二部 夜”のタイトル後に1ページ捲ると本題「別れを告げない」との題目からはじまる。

ここからグッと話に引き込まれる。
寒い
痛い
海の風が荒々しく耳の後ろを通過していく。

それでも車内のエンジンはかけなかった。

今僕が欲しいのは”静”と”灯り”だ。

1時間もすると窓が曇っていた。
ルーフから見えた月も今はボヤけた輪郭だけが月らしく見えている。

”第二部 夜” はまだ続く。
本気で寒くなってきた。
20:00
気温4度

風は無い 静かな11月の夜。
最終バスが停留所で止まる。
誰も降りる人はいない。
空っぽのバス。そして僕の曇った窓ガラス。
本もいいが、今はお腹を満たしたい。

本を閉じて家へ帰ることにした。
いい読書時間だった。

次の夜まで
次のページは”お見送り”だ。

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