見出し画像

初日の出をハイクして見に行く その四、本番!

2022年12/31土曜日 23:00 気温−1度。階上だけに向けて出発する。すでに寒い。山の上はもっと寒いはずだ。風も無く星がでている。今日はまさにコンディションは最高だ。
着替えを多く持ち過ぎたか、リュックが重くなりすぎた。5キロはある。
果たして家から山まで行き登って帰ってこれるだろうか?山登りだけで往復4キロ。総距離60キロの長い距離を僕はこの大晦日から正月にかけて移動する。
よく行く美容師さんや
知り合いの人に今回の事を言うと
「なんで家から歩いていくの?車で山まで行ったらいいじゃん」と、
呆気なく言われる。。
しかしだ、最近長い距離を踏む事に身体を慣れされたい僕はどうしても距離を踏む事に意義がある。としたいのだ。
それも来年の6月にエントリーした”いわて銀河100キロマラソン”のトレーニングの一環としてぜひやってのけたい。自信をつけたいイベントでもあった。
確かにこの真冬に山へ行くから車での移動は安全だ。しかし僕はこだわりたい。ただ冬山の登山で終わるならこうしてnoteを書くこともしない。
自分への記録としてもちゃんと挑戦したかった。

”結局この日の為に買っちゃったオデコライト”


”オートミールで補給食を作る。お好み焼き風”

2022年から2023年への架け橋を渡る。
僕の企画した橋渡りイベントは長い距離を踏んでこそ来年へと闊歩し来年も良い年に導いていくのだ。

”寒さが怖い。低体温症にならないように着替えや防寒グッズが多くなった。重さは5キロはあるか。”

歩いて数キロほどで年が変わった。2023年1月1日0:00 はアスファルトの上。ラジオを聴きながら歩いて僕は迎えた。景色は夜。真っ暗いが気持ちには何かスイッチが入ったような感覚がうまれた。
いつの瞬間も区切りというものを意識すれば何か新鮮な新しい気持ちに切り替わるものだ。
大晦日だからか意外と道行く家に明かりがともっている。救急車の忙しいサイレンも聞こえる。正月早々病院のお世話になる人もいる。そしてそれを支える働いている人もいる。

”深夜のお墓前はキツい”


実家に顔を出して
一緒に晩御飯を食べてからの今回のハイク。
ちょっと寝てないというのが気がかり。
おそらくどこかで眠くなることだろう。
気をつけよう。
”さぁいくぞ”
人生こんな日を過ごすのははじめてだ。
歩くのも楽しい。

”見づらいが真ん中に僕が映ってます。こんな感じで歩く歩く”



これからどんどん高い方へ向かっていく。
本日元旦の階上岳頂上の気温は一体何度になっているのだろう。
下見で通ったコースをなぞるようにジョグで走っていく。清々しい。気持ちが良い。最高な気分。
今日から2023年度。
昨年よりは良い歳にしたい。
昨年も色々あったが今年も色々な事がまたあるんだろうな。今日の挑戦を達成して是非今年も全力でなんとか乗り切りたいものだ。
走る息が白くテンポ良く上空へ消えていく。
今年の誕生日が来れば46歳。
僕はこうして生きている。
僕はこうして元旦に走っている。
僕はそう。
生きてるぞ。
身体を酷使すると生命力を感じる。
疲れや
腹が減ったり
回復したり
眠くなったり
寒くなったり。。
それが極端なら極端なほど生命力を感じる。
その身体の反応も生きている感覚を僕に与える。
それがいい。
今日もたかだか800mの低山から昇る朝日を見て「生きてるぞこの野郎」と叫びたくなる。
年に一回のチャンスだ。
ちゃんと叫びたい。

手には物を極力持たない方がいい。
歩いてるうちに暑くなり手袋を外して持ったまま歩いていたら片方だけ道に落としていた。
少しだけ戻り探し出した。
これからの山道に手袋なしではさすがに挑めない。血まなこで探し出した。あー、良かった。教訓。。

意外と自販機がない。
欲しい時に欲しいところに無い。
あったら前もって補給を。
人寂しくなるからラジオはもっていけ。
長い距離を走るということは当然小便もしたくなる。これが困る。明るいところでは立小便は出来ない。コンビニは億劫だ。

”いざリベンジ。やるしかねぇ”

ようやく登山道入り口へ。
長い距離走ってきたから疲れからか脳内がボーぅってしてる。そのせいかこの間よりは怖くない。「イケる。」

”いざ。暗闇の世界へ”

イメージはフクロウが「ほーっ。ほーっ。バサバサっ」と音を立ててるイメージだが深夜のせいか全くしない。
「シーン‥」‥
すごい静だ。
夜の山の中はこんなにも静なものなのか。
「ジャックジャック」
僕の凍りかけた落ち葉や土を踏み砕く音だけが暗がりに響く。
駐車場で何台か先客がいたはずなのに全く人が山に入ってる気配すらない。
後ろを何度も振り返るが誰もこない。
「おかしいな。まるで僕だけがひとり山の中に取り残されたような感じ」

新オデコライト!はとっても明るく心強いが視野が狭い。人間の目の視野で例えるならその半分くらいかな。だから凹凸がわかりづらく落ち葉で滑り横滑りし転びそうになる。
また厚い防寒ズボンと寝てないせいかちょっとした枝に脚が上がらずとられる。
「おっかないぜ。夜の山!」

”怖いものシリーズ(落ちたらどうなるのよ)”
”怖いものシリーズ(若干斜めに谷へ傾いてる危険)”

風が吹くと落ち葉がない木々通しが擦れ合い赤ちゃんの鳴き声の様な甲高い音をだす。
「ギャァ、、ギャァ」最初はモロ驚いた。
そして暗いから分からなかったけどどこかに水が流れていて小さく「チョッ、チョロチョロ‥」と微妙に水の音。それも最初はビビった。えっ、何の音?!と日頃想像しない当て物クイズみたいでなんだか想像力が過敏になる。良い刺激かも。

前に進んでいく。
もう後戻りは出来ない。
段々と傾斜がついて岩や切り株も足場を苦戦させる。
そして、前に立ちはだかるものが現れた。。

”怖いものシリーズ(ラスボス?にはまだ早い?)”

マジか。。
怖〜。、
えっこの中と、お、る、の、、

恐る恐る階段を踏みしめる。
カーンカーンと僕の足音がトンネル内に響き渡る。
もしカーンの音が僕以外の音がしたら?!
もし急に後ろから誰か走ってきたら?!
怖〜。
短いはずのトンネルが長く感じた。
そしてトンネル出たら今度は。。

おーいっ!
恐山かよー!
誰が乗せたのかあたり一面お墓のようにご丁寧に石積みしてある。
ここ通る人これに手を合わせたりしてないよなぁ。
でも誰がこんなことご丁寧にやってるのぉ。。暇人だなぁ。それが夜ここでお化けの子供達がこうやって遊んでいるのかぁ。。
また、いろんな想像が巡る巡る。

”やはり上いくと雪がある。スノースパイク買っといて良かった。”

上に登るにつれ標高600mにもなると平地と違い雪に覆われた道になってくる。
気温も−2度まで下がっている。
風がないだけまだましかな。

それにしても後ろからも上からもだーれもこない。
暗がりの道の進行ルートが合っているのか不安で何回も携帯のYAMAPルートを確認する。
以前何回も通っている道でも夜だと全く違う道にみえるのだ。
誰も姿が見えないというのは不安になる。
足場も気温も段々と悪くなると余計不安になっていく。山へ入りもう2時間が過ぎた。
YAMAPでルート検索を2時間もしていたら携帯のバッテリーが残り少なくなっていた。
あちゃーそっか車のナビと一緒か。
ずっとナビさせておくとバッテリーがなくなる。
このままじゃ帰りの道がわからなくなったらアウトだ。万が一の為バッテリーを温存しなきゃ。

不安だったけど残りの登り道は以前の記憶を辿りなんとか頂上まで登ることができた。
頂上は雪深く20センチぐらい積り
風も強く坂を登って温まっている身体を直ぐに冷やした。
「まずい。早く着替えないと汗冷えで低体温症になる可能性も。」
ピューピューの風の中−4度の中思い切って裸になり新しい服に着替えた。

早かったかなぁ。。
まだ平地の夜景がきれいにみえる。
おおー。なるほど。
今時間に来れば夜景と朝日と両方見れるのことになるんだぁ。コレいいね。
としばし夜景を見たら、やはり寒いっ。
どこか風の盾になる場所を探して隠れる。
1時間ぐらいいただろうか。
ようやく東側から日が昇ってきた。
写真をタイマーで撮る。
なかなか決まらない。
何枚か撮る。。
そしたら携帯のバッテリーがもう残量ほぼゼロになった。
あちゃーせっかくの朝日撮れないじゃんっ。
とここまできてメインの朝日の写真がうっすらと昇り途中の朝日におさまってしまった。

登頂時にはカップラーメン。
と思い持ってきた水筒のお湯を入れる。
「?」
なんか違う。と思って食べてみたら
お湯が寒さのせいかぬるくなっていて
せっかくのカップラーメンが所々硬さが残るぬるいカップラーメンになってしまった。
はっきり言ってぬるいラーメンは不味い。

家族や知り合いに初日の出の写メを一応送ると 
「なんだその中途半端な写メ」とか
「そんなオチがあったとは。お前らしいな」とか、
からかわれた。
まあっしょうがないよな。
悔しいけれど。

寒いからそそくさと下山すると遠くからチラホラ暗がりの中登ってくる人達を沢山みた。
異様な光景だ。クリスマスツリーの電球の様にあちらこちら左右に揺れて暗がりを照らす。
ああ。ようやく皆んな来たね。
なんだか心強くなった。
人がいるってだけでこんなにも安心するものなのだ。
僕降りる⇄おばぁちゃん登る
のすれ違い様に「頂上どうでしたか?」と聞かれ
風つよいよ。
雪20センチあるよ。
と伝えたらなんだか喜んで登っていった。
こういう何気ない会話も山好きには楽しみなんだろう。そう感じた。

今回は年明けからハードな内容で疲れ切った。
次回からはもう少し無理をしない程度で頑張ろうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?