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公共施設の複合化について考える

花巻市議会6月定例会は、6月7日に開催される予定です。
私は、今回も一般質問させていただくこととなりました。

登壇日は、まだ正式に決定していませんが、今回は「公共施設マネジメント計画」「地域公共交通計画」の2点について質問する予定です。

この2点については、これまでも自分の考え方を各記事で論述してきました。

一般質問では、少し論点を変えるかもしれませんが、おおむねこの考え方で質問する予定です。

質疑の内容については改めて報告したいと思います。


子育て施設の複合化

さて、このうち公共施設マネジメント計画については、現在ある公共施設についてどのようにしていくのか、つまり、修繕をしながら維持していくのか、大規模な修繕工事を行い長寿命化を図っていくのか、それとも廃止するのか、そういう長期的な方針を示す計画となります。

それとは別に、これから建設が予定されている、もしくは建設を検討している公共施設もあります。
これから建設が予定されている公共施設の一例が、前回の記事で取り上げた「新花巻図書館」です。
また、他自治体で建設が進んでいる「子育て施設」については、現在花巻市において建設するかどうか検討中とのことです。

このうち、「子育て施設」については、昨年の9月定例会の一般質問において、複合化により建設をすべきではないかと提案しました。

市当局の答弁によると、この段階では「複合化どころか子育て施設についての具体的な構想もできていない」ということでしたが、たまたま本日(5月24日)に花巻市の南に位置する北上市の保健・子育て支援複合施設「hoKko」を見学してきたので、せっかくなのでレポートを兼ねて公共施設の複合化について考えてみたいと思います。

北上市保健・子育て支援複合施設hoKko(ほっこ)

「hoKko」は北上市の健康と子育てを支える拠点として、令和3年4月5日に開所されたとのことです。
3年前に開所して以来なかなか訪ねる機会がなく、ようやく見学することができました。
 
 この施設の詳細については、ホームページでも公開していますし、youtubeでも公開されているようなので、そちらをご参照いただければと思います。



私が訪問したのは午後2時30分ころ。

県の高総体の期間で休校だったからなのか、午後の早い時間にもかかわらず高校生が勉強していました。 

子育て施設と思っていたので、高校生が勉強しているのには驚きましたが、2階のスペースでは、職員と思しき方々が打ち合わせをしていましたし、1階の会議室(ホール)では研修会が開催されていました。

また、この施設には北上市の行政機関(健康づくり課、子育て支援課、子ども家庭センター)も常設されており、子育てに係るワンストップの相談窓口にもなっています。

そして、この施設は北上市の百貨店「ツインモールさくら野」の2階とつながっていて、市民にとって利便性の高い施設となっているようです。

おやこセンターを利用しているご家族もいらっしゃいましたが、実際に見てきた印象としては、平日の午後ということもあり、高校生を含め一般の方の利用が多い感じがしました。

遠野市役所もショッピングセンターと連結

実は2週間前、花巻市の東隣の遠野市に行って来たのですが、遠野市役所も遠野ショッピングセンター「とぴあ」と渡り廊下でつながっています。

そればかりか、窓口業務を行う担当課や市長室はショッピングセンター内にあって、こちらも市民の利便性の向上につながっているように感じられました。

花巻市の市庁舎の課題

さて、花巻市の市庁舎(本庁舎)もずいぶん老朽化がすすんでいて、いずれは建替えを検討しないといけないと個人的には思っているのですが、花巻市では現庁舎については長寿命化による維持を図り、20年くらいは現庁舎のままで建替えする考えはないとのことです。
(令和5年9月の伊藤盛幸議員の質問に対する答弁より)

一方盛岡市では、新たな庁舎の建設に向けて検討が進められてきましたが、盛岡市新市庁舎整備審議会では、先日、新庁舎を現庁舎のある内丸付近に建設する旨で合意がなされたとのことです。

この記事によると、新庁舎の使用開始は早くても2039年度ということで、あと15年もかかる話です。

花巻市の現庁舎は、長寿命化によって20年は維持していくということですが、盛岡市の例を見ると、庁舎建設には長い年月を要するようです。花巻市においても、今のうちから庁舎の在り方について議論をはじめなければならないのではないかと考えます。

公共施設の複合化の考え方

公共施設について、子育て施設や庁舎などを例に挙げながら近隣の事例を紹介してきました。

私は、子育て施設にしろ、行政機関にしろ、そして現在検討されている新図書館にしろ、今後整備される公共施設については複合化していく必要があると思います。

その理由として、一つには、北上市、遠野市の例を見てきたように、市民の利便性の向上が図られます。
また、複合化による建設費の縮小というメリットもあると思います。
そして、もう一つは、多世代、多志向の利用者の交流です。

交流というと、みんなで一緒に集まって話し合いをするとか、レクリエーションをするとかが一般的ですが、ここでいう交流はもう少し広い意味の話で、例えば若い方が勉強をしている隣のスペースで高齢者の方が将棋をしているとか、子育てサロンの様子を高齢者が椅子に座って見学しているとか、そういう行為も含んでいます。

公共施設を一つの目的で建設してしまうと、そこには利用者が限定されます。
例えば、子育て施設の利用者は子育て中の親子ですから、高齢者はその様子を見ることができない。
また、高齢者向けの生涯学習施設、花巻市でいうとまなび学園のような施設ですが、そこでどんな講座が開かれて、どんな方が利用しているか知ることができません。
(まなび学園はそもそも多世代向けの生涯学習施設のはずですが、青少年や女性向けの講座や設備が不足しているため、結果高齢者中心の施設となっているのが実情です)

私は「公共施設のこういったあり方が世代間の分断を生んでいる部分もあるのではないか」と思っています。
例えば、前回記事の新図書館の例でいうと、新図書館の建設場所の希望については「JR花巻駅前」は若者が多く、「総合花巻病院跡地」は高齢の方が多いといわれていますが、現在において若者と高齢の方の、広い意味での交流がない。
そのため、市民の意見が二つに分断されている(ように見えている)のではないでしょうか。

両者が歩み寄る気配はありませんが、合意形成のプロセスである「対話」という交流をスタートさせれば、お互いの主張もある程度理解できるのではないか、と思うのです。

公共施設の複合化にも同じことが言えて、若者や子育て世代や高齢者の活動が見える化されることにより、お互いの理解が深まるのではないか?

あまりにも楽観的でナイーブな話に聞こえるかもしれませんが、そういった意味からも、今後の公共施設の整備については複合化を図っていくべき、と私は考えています。



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