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北斎のまく笑いの種 万歳manzai

11月26日までの企画展【北斎のまく笑いの種】を観たくて、すみだ北斎美術館に行ってきた。
お笑いライブの楽しさを知って、去年から遊びに行っている。
友達が居ないので何をするにも何処へ行くにもぼっちでへっちゃらなのだが、さすがに最初は「ライブと名の付くものに一人参戦って、空気に襲われるかな」と緊張していた。が、そんなことを思っていたのは遠い過去になっている。
(余談だがUSJ ハロウィンの宣伝番組が楽しくて、「ママ、独りで泊まりUSJしてきていい?」と家族に聞いたらヤバ過ぎ!と却下された。なにがやばいんですか。)

笑顔を生み出す人々 万歳manzai

北斎の生きた時代から漫才師が居たとは知らなかった。
この世のあらゆるものを描いていた北斎は、その姿も描いている。
この頃のまんざい【万歳】は門付芸 (かどづけげい) というもので、初春に家々を訪問し祝言を述べる祝福芸だったらしい。
烏帽子をかぶり大紋の直垂を着た太夫(ツッコミ)と鼓を持った才蔵(ボケ)の姿描。
才蔵は滑稽話や下品な話もし、時に武家女性に嫌がられながらw親しまれていたwという。
また北斎は著名な戯作者や狂歌師の姿も書き残している。
中でも「東海道中膝栗毛」の十返舎一九などは、烏帽子に笠?、刀を差し煙管を吹かして片足を立てるようにして座る姿が色鮮やかに描かれており、えらい歌舞いてて格好良かった。

笑いの種類~笑いの種を探す

餅搗 もちつき】は、右頁に頭を押さえ指差して笑っている人、かまど前で笑いながら中央の人物を見上げる人、中央に大笑いしている人・・この5人に一体何があった?という笑いに包まれた絵なのだが、私は、指差され見上げられている中央の人物が、笑いの種じゃないかと想像した。
目かくし
この頃から「でれる」という言葉があったとは初めて知った!でれてるお相撲さんはどうでもいいがw目かくしをしている振袖新造さんが凄く綺麗で素敵だった。
錦摺女三十六歌仙】
おぶわれている貴人の子を笑う庶民の子ども3人。いつの時代も子どもは素直ゆえに、いじわるだなぁ。
百物語】【累の怨魂
私の好きなオカルト系!おどろおどろしく笑っていた。

北斎の凄さを知る

何気ない日常のおかしみや世相風俗の風刺の句と、画を組み合わせた【謎かけ戯画集】【風流おどけ百句】【狂句入戯画集】が大量に展示されていた。
なるほどwと当て描きされた絵に笑ってしまう。私は不案内だがもしかしたら落語とかそっち方面が好きな人は、好みかもしれない。

また、常設展示も、凄かった。
北斎は、多くの門人のために教科書のようなデッサン、絵手本を大量に残している。
実際に手にとって見られるのだが、この世の中に存在するあらゆるもので北斎が描いていない物はたぶん、無い。
花鳥魚、模様、庶民の暮らし、武士の動きや武具から楠木正成、相撲の動き、人の表情集、建築物、鳥居、雨や陽光、果ては漠、人魚や河童の類いまで。
正直【冨嶽三十六景】「神奈川沖浪裏」くらいしか馴染みがなかった私は、パリ・ジャポニズム先駆者でありこんなに色々なものを描ける人だと改めて知った。北斎ごめんね。
そういう意味でも海外流出していた【隅田川両岸景色図巻】が帰国して、2015年に当館へ渡ったのは本当に良かったなぁ。。

絶筆といえば【富士越龍図】じーんとしてしまった
我が生涯にいっぺんの悔いなし
って北斎の事じゃなかろうか

私は説明文を読むのも遅いし(目がわるいので展示室の暗いのがキツイのだ)、美術館ではのんびり過ごしたい。
だが、お土産も買いたいし、お目当てのお蕎麦やさんにも行かねばならないし、帰りはドラックストアで買い物もせねばならんしとっとと帰宅し夕飯も作らなければいけない。
鑑賞時間MAX3時間がリミットだったのだが、プラスもう2時間くらいは居たかった。
そのくらい、北斎の描く世界は、広かった。


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