【第9回】恐怖!深夜のSA夜行バス失踪事件
昨日、6月26日に開催される内定者懇親会に参加するために東京へ行く夜行バスに乗ったのだけれども怖い思いをしたので記そうと思う。
ちなみにこの前のエッセイで書いたように「お前、この前名古屋で内定者懇親会に参加してたじゃねーか!」と思われるかもしれないが、それとは別の会社だ。
今は内定を手にすれば懇親会に出席できることが多い。それだけ企業側も採用した学生の囲い込みに必死なのかもしれない。
とにかく下宿先から東京までの往復分の交通費を出していただけるとのことなので旅行気分で東京へと向かっている。
交通費出してもらっているのになぜ夜行バスで向かってるのかというと差額で黒字にするためだ。新幹線で往復するよりも夜行バスを使って前泊してしまえばゆっくりできるし、差額で儲けられるしでいいことづくめである。時間のある大学生ならではの戦法だ。
そういったわけで京都駅近くのヨドバシカメラの前から夜行バスに乗った。平日だと京都-東京間で2000円を切るので貧乏学生には非常にありがたい。
夜行バスに乗ったことがある人ならわかると思うが一定時間走行するとSAにて休憩時間がある。この時間に乗客はトイレ休憩を済ませて運転手はもう一人の乗務員と交代するわけだ。
この日は最初に滋賀県甲賀市の土山SAで休憩を取ることになった。
夜行バスだと休憩時間は10分程度なことが多いのだけれどもこの日のバスは30分の休憩があった。
僕はというと実はこの日の夜食いっぱぐれて朝も昼も夜も全く食べられたなかったので遅めの夕食をここで取ることにしたわけだ。
ちなみにこの日食べたのはカレーを食べた。
カレーはお盆にご飯を盛ってカレールーさえかけてしまえば完成であるからすぐに提供されるメニューであるから限られた時間でゆっくり食事をとるために選択した。
その提供の速さから現に世の中には9秒カレーと呼ばれる注文から9秒で提供、10秒以上経過してしまっては無料といくカレー屋さんが存在するらしい。一度行ってみたいと思っている。
目論見通りゆっくりと食事を済ませるとお手洗いに行き、バスに戻ることにした。
ゆっくりと食事を済ませたのだけれどもバスに戻らなければいけない時間まであと10分ある。余裕だろうと思いながらバスを探したわけだ。
………しかし予想と異なり歩けども歩けどもバスが見つからない。
記憶を頼りにバスを探すのだけれども全く見つからないのだ。
頭をよぎったのはバスに置いてかれる自分の姿だった。
基本的に夜行バスは乗客を待ってくれない。法律上では路線バスと同じ扱いであり定刻になれば出発してしまう。
こんなSAのど真ん中で置いてきぼりにされてしまっては東京に行くどころか下宿先にも帰ることができないだろう。
慌てて時計を見ると集合時間まで5分を切ってしまっている。けれどもあたりにあるのはトラックばかりでバスすら見当たらないのだ。
気がつけば歩いてた足が早足になり、やがて走り回っていた。
ない、ない、ない、ないないないない。どこへ行ってしまった夜行バス。
途方にくれている中、ふと遠くの看板に大阪・草津方面(下り)と書いてあるのが目に入った。※1
その瞬間、過去の記憶が蘇る。
実はこの土山SAに前も来たことがあった。その時も同じく京都-東京間の夜行バスを使い土山SAで降りたのだ。
その時のバスのアナウンスが言っていた。ここのSAは上り線と下り線のSAが一体化しており迷う人が多いから気をつけたほうがいいのだと。
僕は東京へ向かっているのだから名古屋・東京方面(上り)が見えていなければならない。つまり入る駐車場を間違えていたわけだ。
そのことに気がつくと慌てて名古屋・東京方面の駐車場へと戻った。
今度こそ正しい記憶の通りに走るとすぐに横浜・東京行きのバスを見つけることができた。
ふー、危なかった。危うく乗り遅れるところだったぜ。
息を整えつつ安堵しながらバスに乗りこもうとすると違和感を覚えた。
何かがおかしい。乗ってきたバスと内装は似ているのだけれども何かがおかしいのだ。
何だろうこの違和感…。
違和感をぬぐいきれずにバスの中をキョロキョロしていると集合時刻が記されたパネルが目に入った。
夜行バスでは休憩時間終了後の集合時間を寝ている人に配慮しフロントガラスに掲示するようになっている。それが目にとまった。
そこで僕はハッと気がつく。
─────このバスじゃない!!!
集合時間指し示す時刻は僕が記憶していた時刻より5分後だったのだ。
思い出してみると予約した際に確認した時刻表では横浜には止まる予定などなかった。
慌てて間違えてしまったバスを飛び出す。
バス乗車時刻まで1分を切っていた。
幸い間違えたバスのすぐそばで僕が乗るべきバスを見つけることができた。本当に良かった。
乗り込んで確認すると間違いなく僕が乗ってきたバスだ。
僕が乗り込むと運転手がすぐに乗客の数のカウントを始めた。ギリギリセーフだ。
荒くなった息をバスの座席で必死に整える。
ふ〜〜。今度こそ本当に乗ることができた。
といった具合に恐怖体験をしたのだけれども夜行バスがどこに止まっているかわからなくなってしまった人は実は多いのではないだろうか。
見知らぬ土地だし迷子になってしまうのもしょうがないと思う。特に夜中だと地形の把握もしづらいだろう。
そういう時こそ慌てずに行動してほしい。慌てずに行動すれば必ずバスは見つかるはずだ。
え?もし夜行バスが本当に神隠しに遭遇してこことは別の次元へと消えてしまったらどうするかって?
そしたら潔く諦めるしかないね。それにそんな現象に遭遇できたら、もしかしたら夜行バス失踪事件の唯一の生き残りとしてテレビにひっぱりだこになっちゃうかもしれないよ?
※1 2019/06/27追記
公開当初は「京都・大阪方面(下り)」と記載していましたが、「大阪・草津方面(下り)」の間違いでした。訂正してお詫び申し上げます。
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