サムネ_新_

【第84回】郷に入ったからには郷に従おう。(韓国旅行記 Vol.2)

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この韓国旅行記は連載です。【第83回】まったく才能が無い男たち。(韓国旅行記 Vol.1)から読むと一層楽しめます!

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明洞射撃場で射撃の才能がないことを思い知った僕らは、お腹も空いたので夕飯を食べに行くことにした。

陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ

韓国料理は複数人で食べること前提としたものが多い。ざわけんとは2日目で別れてしまうので、どうせなら一人じゃ食べることができないようなものを食べたいわけで。

そういった事情を踏まえて店選びをした結果、「陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ(진옥화할매원조닭한마리」という店に行くことになった。あの有名な東大門市場のすぐ近く、韓国料理のタッカンマリ専門店がいくつも並ぶタッカンマリ横丁にある。

昔、韓国に住んでいたこともある日頃お世話になっている方に聞いたおすすめの店だ。僕らのいる明洞からは若干距離があったけれども、せっかくなので歩いていくことに。

途中ついでに東大門市場も寄ってみた。ざわけんは僕と合流する数日前に友達と、ここの屋台で食事を取ったらしい。

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時間も時間なので飲食店以外は閉まっていたが昼間はにぎやかそうだ。人混みは大嫌いだけれども市場を巡るのは結構好きなので、旅行中のどこかで行ってみることにしよう。

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観光地の割に結構雰囲気がディープ。
こういうの好き。

一人で黙々と歩くと長く感じるもの。しかし話をしながら歩けばあっという間に時間は過ぎる。

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画像引用元https://www.konest.com/varimg/photogallery/Article_Photo/2732/big_280299.jpg

この店、飲食店にしては、かなり大きい。なんと3階建てだ。それだけの人気店なのだろう。

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内観。結構混んでいる。日本人も多い。

幸い2人だけというものあって並ばずに入ることができた。

さっそく名物の「タッカンマリ」を注文。

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タッカンマリとは韓国語で鶏一羽という意味らしい。その名の通りで鍋に鶏が丸ごと一匹入った鶏ガラスープベースの鍋だ。見た目のインパクトがすごい。

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ちょっとグロい?

店員さんが鍋の中にある鳥をハサミで切り分けてくれた。ハサミを使っているところをみると「ああ、韓国に来たな」という感じがする。

それを煮込み、鳥の赤みが無くなったところで、いただきます。

うまっ。

これがめちゃくちゃうまい。

鶏肉はぷりぷりで、鶏ガラスープの味が僕ら日本人の口にも合う。海外に行くといつも食事に困ると言っていたざわけんも、大絶賛していた。

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お酒も飲もうということで、韓国の焼酎(ソジュ)を注文。僕は焼酎は苦手なのだけれども、ソジュは日本酒みたいな味がして美味しいなと思っていたら、後から調べてみると、これソジュじゃなかったようだ。

なんと清河(チョンハ)という清酒で日本酒に近いものらしい。どおりで日本酒みたいな味がするわけだ。外国では自分が何を食べたり飲んだりしているかわからないことが結構あるけれども、それもまた面白い。

夜の文化駅ソウル284(旧ソウル駅舎)

あっという間にタッカンマリを平らげた僕らは、明日8時にソウル駅集合という約束をして東大門駅で別れた。

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ついでに見た興仁之門(東大門)。
李氏朝鮮時代にソウルを囲んだ城郭の東門だそうだ。

というのも、実は当初の予定では、僕らはこの日に合流する予定はなかったので宿も別々に取ってあったのだ。そのせいで、明洞実弾射撃場で滞在先を聞かれた際に受付のお姉さんを、だいぶ混乱させてしまった。まあ、友達どうしで来ているのに滞在日数も宿もバラバラってことは普通やらない。

そういった事情もあり、ざわけんの宿は明洞に、僕の宿はソウル駅付近にあったので別れたというわけだ。

ソウル駅を降りたところでT-moneyカードの自動販売機を見つけた僕は、買っておくことにした。T-moneyカードとは日本で言うところのSuicaやICOCAなどの交通系ICカードのことだ。ソウル地下鉄を始めとする公共交通機関やタクシー料金の支払い、小売店での買い物など様々な場所で使うことができる。

外貨は使い慣れていないので支払いにまごつくことも多い。そんな時、こういったものでキャッシュレス決済ができると非常に便利だ。韓国に行くなら必須のアイテムと言っても過言ではないので入手しておくのが吉。入手方法は簡単で地下鉄駅やコンビニなどソウル市内の至るところで買えるはずだ。

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デザインはいくつか種類があって、これは観光客用。
特典がいくつかあるが僕はその恩恵が受ける機会がなかった。

ソウル駅の1番出口を出て地上に出ると、すぐにライトアップされた建物を見つけることができた。

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文化駅ソウル284(旧ソウル駅舎)である。

どこかで見たことあると思った人も多いだろう。東京駅とよく似ているのだ。

それもそのはずで東京駅を設計した辰野金吾から学んだ塚本靖が設計したものだからだ。この駅舎は日本が朝鮮半島を植民地にしていた1925年に完成したものだそうだ。2003年に現在のガラス張りで巨大なソウル駅が建設されたことから、その役割を終えソウル駅の歴史などの展示を中心とする複合文化空間となっていたが、2017年の京義線電鉄のホームの移転によって、駅舎としての利用が再開しているらしい。

すべてがそうだというわけではないが、韓国国内で日本が統治時代に由来するものは日帝残滓として排斥されることもあると聞くので、歴史を考える上では見ておきたかったもの一つだ。いつか無くなってしまうかもしれないし。

※補足:日帝残滓…除去すべきと考えられている日本統治時代に朝鮮半島に伝わった文化などのこと。

そう思って駅舎の前に行ったのだけれども、それよりも目についたのが、ソウル駅周辺にいたホームレスだった。

日本のホームレスの中にも夜中に凍死してしまう人がいる。日本と比べても寒さの厳しい韓国で、こんな外で寝て大丈夫なのだろうか。

憂う気持ちはあるものの、どうすることもできない僕は、その場を立ち去るしかなかった。これを気に、もう少し韓国経済のことも勉強してみたいと思う。

韓国のサウナでととのう。

ソウル駅の東西を結ぶ「Seoullo7017」という高架歩道橋を抜け駅の西側に行くと、今夜の宿がある。

シルロアムサウナという名前のサウナだ。

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画像引用http://www.silloamsauna.com/images/sub2/floor_img_1.png

日本の温泉マーク♨と同じものがソウル駅からもよく見えるので、場所がわからないということはないだろう。

なんでサウナ?と思われるかもしれないが、このサウナは日本のサウナと同じように仮眠室が併設されているので宿泊することができるのだ。

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他にも食堂やジムなど様々な施設があるのでゆっくり過ごせるに違いない。

まずは入り口でチケットを買おう。時間帯や利用する施設によっても値段が変わるが宿泊目的なら17000ウォン(当時のレートで1600円程度)で泊まることができる。

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画像引用http://www.silloamsauna.com/iFile/gallery/2014101617152747.jpg

そのチケットをカウンターに渡すとロッカーの鍵が渡される。その番号のロッカーを使おう。ちなみに、ここはロッカーに預けていても鍵が壊されて盗難に遭うことがあるようなので、パスポートや財布などの貴重品はカウンターに預けておこう。預ける際に名前を聞かれる。ここで伝えた名前を返却時に再度伝えることで照会し、それが一致すると荷物が返却される仕組みになっているので安心だ。

ロッカーの前に服を脱いだら、さっそく地下にある大浴場に向かう。ここが日本のサウナと違うなと思うところだけれども、なんと素っ裸で階段を降りて移動することになるのだ。せめてタオルで股間を隠したいところだけれどもタオルは地下にしか無い。さらにその状態でカウンターの前を横切ることになる。

郷に入ったからには郷に従おう。モジモジとしてるのも変なので「なんぼのもんじゃい!!!」と心の中で唱えながら、堂々と全裸で階段を降りるべし。

その先には大浴場があるのだけれども、その手前、階段を降りてすぐの体を拭く洗面所に面白い光景があった。

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画像引用元http://www.silloamsauna.com/iFile/gallery/2014101522561484.png

なんと、そこには床屋があったのだ。日本でもスーパー銭湯に床屋が併設されていることはよくあるけれども、ここの床屋はどう考えても全裸で入る場所にある。

これでは服に髪の毛がつかないというメリットはあるけれども、どうにも落ち着か無さそうな気がする。

海外では温泉も水着を着て入る国も多い中、日本は風呂での裸に関して寛容であると思っていたけれども、韓国はそれ以上だった。

認識を色々と改める必要がありそうだなと思いながら、大浴場へと足を踏み込むと、そこには日本と似ているようで違う光景が広がっていた。

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画像引用元:http://www.silloamsauna.com/iFile/gallery/20141027151025690.jpg

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まず最初に思ったのは洗い場の位置が違うなということ。日本の大浴場では一般的に壁に一列に並んでいることが多い。それに対し、こちらは円柱にカランが取り付けられていて、それを囲むようにして洗い場がある。また結構立ったまま使う洗い場もたくさん設置されていた。韓国では家では浴槽がなく基本シャワーらしい。その代わりに、こうして週に1回くらいチムジルバン(韓国のサウナを中心とした健康ランド)に来る人が多いのだとか。そのため立ったまま体を洗うほうが慣れているのかもしれない。

他には大浴場と同じ場所にアカスリ場があった。韓国といえばやっぱりアカスリのイメージ。驚いたのがアカスリをしていたのは男性の職員だということだ。日本では男性の浴場に女性職員が入ることがままあるし、アカスリをしてくれるのは女性のことが多いけれど、少なくともこのサウナでは男性のみらしい。

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あと、これは個人的な印象だけれども「銀色多いな」とも思った。天井も金属だし、至るところに銀色がある。韓国では食器類も銀製なので、こういった文化なのだろうか。

そんなことを思いながら体を洗い湯船に浸かる。温かいお湯に包まれ、一日の疲れがふぅっと抜けていく感覚。この心地よさは、どこに行っても変わらないようだ。

それからサウナに入ったけれども、これもまた最高。正直、サウナはもっと熱い方が好みだし、水風呂はもっと冷たいほうが好みなのだけれども、外国でこうしてサウナに入ることができるというだけで幸せだ。今回の韓国旅行費を捻出するために趣味であるサウナに行くことを我慢していたこともあって、バッチリととのうことができた。

最高!

仮眠室でおやすみなさい。

十分に大浴場とサウナを堪能すると、館内着に着替え食堂に行き、シッケ(韓国版甘酒)とゆで卵を注文。

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食堂のおばちゃんは日本語も英語も
微妙なので身振り手振りでがんばろう。

なんでもこの2つは韓流ドラマで有名になったチムジルバンで定番のアイテムらしい。シッケは量がたっぷりあって美味しいし、ゆで卵は若干日本と色が違って面白い。

サウナで汗を流し火照った後の冷たいものは染みる。シッケは結構甘いので、ゆで卵をもぐもぐするのが結構いいのだ。

韓国のサウナ文化を堪能した僕は5階の仮眠室で眠りについた。仮眠室といっても日本のサウナによくある雑魚寝の仮眠室と違ってカプセルホテルのようになっているのがありがたい。

宿として最高すぎた。3泊ともここでもよかったな。

ちなみに、4階にある館内着を着たまま入る韓国式のサウナは少し入って出てしまった。汗を流した後に汗を流すのが気持ち悪かったからだ。しかし、実は後日ざわけんもまたこのサウナに泊まることになるのだけれども、そのときは寝床の床暖房の暖かさにやられ汗だくになった僕と対象的に、低温のサウナの中で快適に夜を明かしたらしい。そんなものがあるとは気がつなかった。

次に来る機会があれば、是非ともリベンジしたいところだ。

最後に

次回から、この旅の目的でもある韓国の独立記念館を訪れます。今後の展開に、ご期待ください!

>>前の話はこちら:【第83回】まったく才能が無い男たち。(韓国旅行記 Vol.1)

>>次の話はこちら:【第85回】韓国の独立記念館で歴史を考えた。(韓国旅行記 Vol.3)


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