動物と暮らす。Vol.72 ドライフードは”国産”であるべきなのか
こんにちは。
perromart.jp 獣医師スタッフの原 駿太朗です。
ドライフードなどを選ぶ基準でよく耳にするのが「国産だから」というもの。
かくいう私も食品を買うは気がつくと産地を気にしていて、それが日本だと安心していたり…。
ただ、この「国産」というキーワードは果たしてドライフードにおいて”良い”と言えるのでしょうか?
結論としては私はドライフードに関してはそんなことはない。と思っています。
今日はそんなペットフード作りの裏側について少し私見を話したいと思います。
日本のものづくりの凄いところは「細やかなことができる技術と国民性」と「清潔さ」だと思っています。
これはそれぞれの工場とやりとりをしていたり、実際に見に行くといつも感じています。
工程のひとつひとつに細やかな気配りや工夫を入れこめる。
それができるからこそ産まれるのがアイデアのあふれるユニークな商品です。
そしてその工程が行われる工場がとにかく綺麗。
これは国内で今までにみたどの食品工場でも非常に驚きました。
ここからつながる安全性という部分も国産を選ぶ理由につながっているのではないかとも思います。
ただ、日本の工場が海外に比べ、どうしても弱くなりがちなのが「工場規模」と「原材料の確保」という点
日本が島国であることからどうしても仕方がないことなのですが、大規模な工場を作るための土地と調達できる原材料の種類と量に限りが出やすいです。
これらの難点が実はドライフード製造においては非常に大きく関わるのです。
①ドライフードの製造には"エクストルーダー"という機械を使います。
このエクストルーダーにも実はランクがあります。
小麦や粉末状の材料のみを多く使う場合はそこまでランクの高いものは必要がないのですが、生肉など粘り気が出たりするものの場合はランクの高いエクストルーダーが必要に。
これが国内では非常に少なく、あっても工場規模に比例して大きさが小さいものが多く、一度に量を作れないものがほとんどです。
工場での製造原価というものは一般的に1日単位でかかります。
そのため、1日でできる数量が多いほどフード1kgにかかってくる製造原価は下がります。
②そしてドライフードのほとんどは総合栄養食と呼ばれる栄養バランスが調整されているフード
つまり複数の原材料を組み合わせる必要が出ます。
この原材料も集められる範囲が限られている国内だとどうしてもものによっては少し高くなってしまうことも…。
この2点が組み合わさるとどうなるのか?
→ 同じ品質のものを作るのに海外に比べて原価が高くなる。
という結果になることが非常に多いです。
先にお話しした「細かな工夫」と「安全性」は国産でないと得られないものなのか…。
ここはそれぞれの価値観によって違ってくると思いますが、海外の工場でも私はしっかりと見極めれば「品質」も「安全性」も担保できると思っています。
なんなら原材料を手に入れる方法が複数あるので常に一番良いものを選んで製造につかえる=美味しい ということも考えられたり…。
各社が様々な謳い文句で売っていたり、ネットでもいろいろな意見が出ており選ぶのが非常に難しいのがドライフード選び。
今回の産地について工場設備から見たひとつの考え方がフード選びの参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。それではまた次回。
これって実はどうなってるの?などマニアックな裏側についての質問もぜひぜひコメントまで!
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