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(番外編)旅はこころの栄養 いつもこころを揺るがすエレガンスの街 Paris アート・ミュージアム編

パリといったら、アートの街。数多くの偉大な画家が創作の地として選び、
作品を残していった場所。
そんなパリで、アート巡りをすることが旅の楽しみの一つでした。
訪れたアート展は7箇所。

それぞれの場所で感じたことを忘れないよう、思いのままに記します。

ルーブル l Musee de Louvre

学生時代に初めて訪れてから何度か来ているけれど、いつ行っても新しい発見がある場所!

歴史・美術の総合デパートのように世界各国の展示替あるので、
訪れるたびに「今の自分が何に対して興味をもっているか」をはかることができる。

この時の私は、アラビックエリアの展示エリアに自然に足が向きました。

気の向くままに足を運んでみると、独特の美しいシンメトリックの装飾を施した展示品の数々。
この模様を見ているうちに、「宇宙」を感じた私。

私が実践している薬膳の基礎となる中国伝統医学では、この世界のことわりを理解する概念として
「陰陽五行論」・「整体観念」を基礎とするところがあります。
誤解を恐れず、超短的にいうと、

「この世界は、太陽と月の運動法則にそって常に変化している。
自然も生物すべてその法則に影響を受け、あくまでも自然界の一部であり、独立して存在することはできない。
その自然の動きに逆らわず、流れに合わせて生きることが一番良い生き方である。そして、その具体的な方法は…」

と、黄帝内経素問と言われる世界最古の医学書に続くのだけれど、ここは割愛して。。。
話を戻すとこれらの考え方に通じるところがあるなと感じた。
なるほど、確かにこれを土地に合わせて体系化しているのがユナニ学という伝統医学だもんね。

「自然」というと、ついつい身近な地球上の生態系をイメージしてしまうけれど、
本当はもっと巨大なものの中に存在していることを気付かされる。

アラビックの美術からは自分の視界のフレームを外して、思考のスケールを広げてくれる力あった。
その瞬間の心地よさといったら。。。
偉大なものに触れた時のビリビリ感を感じさせてくれる体験ができました。


ポンピドゥー・センター l Centre de Pompidou

今回の旅で、最も奇妙かつ素晴らしい体験をした場所。
モダン・アートの立ち並ぶこの場所は、草間彌生美術館を訪れてからモダン・アート旋風が密かに巻き起こってる私にとって
期待していた場所のひとつ。
そして、期待以上の衝撃を感じた。

展示のメインフロアで、マチスとルオー、その他の絵画を鑑賞していたとき、
明らかにワインの匂いを放つ2点の絵に遭遇。
その周りだけ、異様な雰囲気に包まれていたよに感じた。

マチスとルオー、同じ時代に活躍した画家でともに親交もあったとされるふたり。
キャンパスから感じられるダイナミックさや力強い筆致から伝わる息遣いは、通ずるところがあるように思えるけれど、
陰・陽 真逆のオーラを放つもののように思えた。

外に向かってエネルギーを放つような陽のマチスの絵と、大きなエネルギーの渦が内向きに轟いているようなルオーの絵。
これらからボルドーのそれぞれ異なる村のワインの匂いが漂っているような気がしたのです。

偶然にも、その1ヶ月くらい前にボルドー五代シャトーを飲み比べ、1週間前くらいに、モンローズ、ラスカーズの飲み比べをしていた私。
その記憶に引きずられた部分もあったのかもしれないけれど、絵を前にした瞬間どきっとした。
「えっ??」って声が出てしまったくらい。こんな楽しい経験はなかなかない。

優れた芸術って、何度見ても楽しめるし、自分の経てきた経験によっても見えてくるものが変わる。
そうした意味で人生を豊かにしてくれるものですね。
年齢と経験を積み重ねることの楽しさを味わえた場所でした。


ギメ 東洋美術館 l Musée Guimet

自分の居る世界を外から覗く。
これができるのが、アジア人の私がアジアの外に出て見ることの面白みの一つ。

ギメでは、今まさにブッダ展の真っ最中。
アジア文化の象徴の一つでもあるブッダが、ヨーロッパの代表都市パリで飾られる不思議。

展示室は神聖な雰囲気に包まれていた。宗教でありがながら芸術。
涼しげながらも慈愛に満ちたサラリ穏やかな表情。

仏教の歴史には明るくないけれど、この温かい懐と神秘的な静寂に身を委ね安心感を求めて、
人々はこの人の周りに集まるんだなぁと、なんとなく思った。

家に帰って、手塚治虫のブッダを一気にもう一度読み返して、どきっとするような金言に触れ、自分の行いを見直したり。

常設の中国・韓国・日本の展示エリアも見応えあり。
展示物のセレクションも自分好みのものが多くて、時間が足りなかった。。。
韓国・日本の、古民家風家具が、夏に長野を訪れた時に見た松本の民芸家具に通じるものを感じてハッとする。

自分が追いかける「今」と、これから実現したい「未来」の要素が、
この空間を介してつながる。
一つの経験がまた新たた経験を駆り立て、それがすべて次の新しい発見を生む。

そのきっかけは行動し続けないとつかめない。新しいものに触れ続けることの大事さを感じた場所でした。


アラブ世界研究所 l Institut du Monde Arabe

ルーブルで、今アラビックアートに興味があるんだと自分が気づいたとき、行こうと決めた場所。
アラブ美術館は、今まで見た中で一番神秘的で、新世界を体験した気分でした。

不意に思い浮かんだのが「コスミック・アート」拙い私の解釈では、このアラビックの象徴的なアラベスク模様は、
コスモスを表現したものだと感じられました。
すべてのものには意味がある。それを単純に「きれいな模様」として捉えるのではなくてそこに意味を見出すだけで、
2倍も3倍も楽しめる。意味を自分で見つけようとするところから、想像の楽しさが始まってる。

これは、日々の生活にも、仕事にも、全てに通じること。
自分のスタンス一つで人生は何倍も楽しめると感じた場所でした。

ここは最上階のテラスカフェも素晴らしい眺めで、良い環境。

カルティエ財団美術館 l Fondation Cartier pour l'Art Contemporain

カルティエ財団の美術館のこの時期のエキシビジョンは、「Nous les arbres」(私たちの木)。「樹木」がテーマのエキシビジョン。

大自然を描く時の、色使いの鮮やかさ、ダイナミックな作品に感動するのと同時に、環境保護に対する強いメッセージを感じるものでした。

「人は自然から遠ざかるほど、病気に近づく。」

これは医学の祖とされるヒッポクラテスの格言。
自然とのふれあいは最大の養生の方法。

そんな自然が危機に瀕しているということは、私たち自身の生命存続のリスクにもつながるということ。

「サステナビリティ」というフレーズは、いま世界中で唱えられているけれど、自分がどう関われるかを真剣に考えたいと感じました。

イタリア フィレンツェにあるフェラガモでもサステナビリティをテーマに再生素材を使った
服作りの提案や、クリーンなテキスタイルを研究開発している企業の展示ブースを作っていたりした。
服のデザインももちろんだけれど、素材の見せ方展示、すごくオシャレで素敵だった。

今回みた、Nous les arbresに並ぶ作品も、自然のエネルギー、ありのままの自然の美しさが
キャンパスから溢れ出していて、センスが良かった。
ファッションに関わる企業が、リードしていくことのパワーってすごいと感じた場所でした。

ボートカフェでボルドー時代の友人と楽しくおしゃべり。
カフェは船のテラスにあり、船内は本屋さんになっている素敵なバトー・ブックカフェ。

ここは緑を連想させる「自然」「森」「野菜」がテーマになっていて、
それにまつわる本がたくさん。
こういったカフェがさり気なくあるあたりにも、世界の流れが自然回帰に向かっているなと感じます。


ルイ・ヴィトン財団美術館 l Louis Vuitton Foundation

自然豊かなブローニュの森の中に突然現れる、はっと息をのむようなエレガントな美しいモダン建築。
残念ながら、この時期に展示はなかったけれど、建物を外から眺め、館内を見学するだけでも訪れる価値はあると思います。

建物そのものがモダンなアート建築。内部もところどころに細工が。
最後に駆け足だったけれど、見れてよかった。

周り環境は野性味の残る豊かな自然のブローニュの森。
大きな公園で休めるエリアもあるので、ピクニックやお散歩にもオススメです。


★番外編:ホームパーティーでのエキシビジョン
初日に訪れた知人宅でのホームパーティー。
デザイナーをやっている夫婦のお庭付き邸宅で、展示品を家に飾ってエキシビジョン。
アットホームな中にもセンスが光る空間で素敵でした。
アートは身近にたのしむもの、と教えてくれるひととき。


Natsumi

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