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放デイあるある7 運営に必要なスタッフ体制とは?

放デイのマガジンを改訂していて思ったのですが、やっぱり保育も福祉も『人』だなって。

それで放デイあるあるの7を改訂したものを公開いたします!

放課後等デイサービスという仕事は、『人』を支援する仕事です。ですので、支援者である『人』の準備がもっとも重要だと思います。

令和3年度から体制の最低基準が改定されました。いい方向に変わったのですが、まだ不十分だと思います。現場スタッフは児童発達支援管理責任者以外に保育士もしくは児童指導員を半数以上配置することになりました。でも、利用者さん10人に対して児発管とスタッフ2人でいいというのは、安全面で不安がありますし、療育の質の面でもいい支援をするのが難しいのではないでしょうか。他の事業所との競争という意味でも勝つのが難しいと思われます。

以下は私が個人的に考える、理想の放課後等デイサービスのスタッフ体制です。

利用者さんが10名までとしますと、管理者以外に直接支援するスタッフが一日最大5名は欲しいかなと思います。 そうすることで利用者さん2名につき1人のスタッフで支援可能になります。管理者を1名、個別支援計画を立てる児童発達支援管理責任者1名(常勤)、現場の療育を主導する主任支援員1名(常勤)、パート支援員3名といった体制が望ましいのではないでしょうか。利用者さん2名につき1人以上スタッフがいてももちろんいいですが、トイレの衛生面や部屋自体、大人が多く居すぎることで狭く感じることも考慮が必要です。

また、重度の障害のあるお子さんが中心だと、お子さんによっては1対1の対応の方が安全面含めてよりよい支援になる場合があり、利用者さんのタイプによって支援者の数も臨機応変に変えることが出来るのがいいと思います。また、取り組み内容によっても、例えばお買い物や地域のお祭りに参加などのお出かけやみんなで散歩に出たいとかになりますと、安全上1対1対応が望ましい場合が増えると思います。

個人的には最低基準の部屋の広さは明確にはなかったりしますので(自治体ごとに設けらている場合があります。起業をお考えの方は各自治体にお問い合わせください。)そうすると部屋の広さにもよりますが、1つのグループとして支援することを考えても、利用者さんは一日8名程度が限界のように思います。あまりに多すぎると、生活の質が下がってしまいます。基本、騒がしかったり人が多く混みあっている状況は得意ではないお子さんが多いので、少しゆったりした環境で、余裕をもって支援するのが望ましいと思います。

【管理者(最低基準では常勤でなくてもよいとなっています。】…理想は常勤で、電話対応が丁寧で事務メインで出来る方が望ましいです。対外交渉(学校、役所、ご家庭、他事業所、運営側などとの連絡連携、スタッフ募集、国民健康保険団体連合会への請求など)が上手で、事務処理能力の高い方で、福祉の視点を持っていて、保育経験はあることが望ましいが絶対ではないかなと思います。保育経験がない場合は現場スタッフを信頼し、逆に現場に口を出さない方が上手くいくと思います。パートの事務員を置くという方法もあります。パートの事務員さんも事務的な事や対外的な仕事が丁寧で得意な方が望ましいです。その場合は、管理者は常勤でなくてもいいのかもしれません。外出行事やスタッフが不足している日などは臨機応変に補助ができるのが理想です。利用者さんの怪我など様々な問題が起きたときは最終的に解決にあたり、全体の責任を取れるような、スタッフからも利用者さんからも信頼されるような人柄が望ましいです。また、福祉と経営の視点をバランスよく持っている方がいいと思います。あと、この事業でとても重要な支援になっています、送迎計画をたてるということがあります。これを現場スタッフに任せると、事務作業が多くなり、現場の支援が薄くなってしまいます。送迎の計画は車と運転手、場合により添乗員の確保をして、各学校の送り迎え時間を計算して立てる必要があり、毎日の仕事になりますのでかなり手間暇がかかります。また、利用者さん宅の送迎の予定やコースも考える必要があります。他にはスタッフのシフトを考えることもあり、イメージよりも実際はかなり仕事の量が多いです。それを今の基準だと常勤でなくてもよいとなっていますので、事務的な作業に現場スタッフがかなり使われていると思われます。

【児童発達管理責任者(常勤)】…事実上現場の支援内容の責任者であって、これを置かないと事業が出来ないことになっています。福祉現場での直接支援経験が5年以上で研修を受ける必要があります。(詳しくは厚労省HPでご確認ください)個人的には発達支援センターなど障害のある子ども支援の経験が少なくとも2年はあり、個別支援計画を立てて、実践していく中心になれる方が理想だと思います。行事や日々の療育内容を主任支援員と一緒に考えて進めていけるといいかなと思います。

【主任支援員(常勤)】…障害のある子どもの支援の経験が無かったとしても、保育者としての現場経験が2年は欲しいです笑 児童発達支援管理責任者と日々相談しながら、支援を進めます。児発管と両輪で支援を作っていけるといいと思います。この2人の信頼関係はとても大切だと思います。

【パート支援員(保育士や児童指導員が望ましい)】…日々現場で子どもに寄り添い、良好な関係性を築いて、個別支援計画の内容を中心に実践していきます。事務的な仕事は原則しないようにしておいた方がいいです。あくまでも子どもに対して直接支援することに集中したいです。保育経験があるのが理想ですが、そのような方はなかなか確保が難しいですので、無い場合は必要な研修などを受けるようにするといいと思います。ある意味一番重要なスタッフですので、育成をするという視点も大切になります。逆に言うと客観的に見てスキルの上がらない、障害のある子どもの支援に向いていないと思われるスタッフは冷たいようですが、運営や利用者さんのことを第一に考えて、人員の入れ替えも視野に入れた方がいいと思います。

【送迎担当】…この事業をやってみて感じましたが、平日は利用者さんの送迎が仕事の半分くらいをしめると言ってもいいくらいです笑 運転の仕事がありますので、運転が出来てかつ療育や保育経験のあるスタッフを探すということが難しい場合があります。普段は運転が出来ても、実際に大切な保護者さんの子どもを乗せて仕事ととして運転するのは、特に女性にとってはかなり精神的にきついことですので、福祉タクシーを利用したり、シルバーさんなどの短時間の送迎のみの担当スタッフを別に置くことも場合によっては有効だと思います。その場合、保育経験は特に必要ありませんが、単独で送迎を依頼することはせずに、必ず添乗スタッフも同行することになります。

この放課後等デイサービスという仕事は、機械や物を作っているわけではありませんので、最初にも申し上げましたが『人』が全てです。ですので、療育の中心となる、経験豊富ないい人材を広く募集をして、確保することが大切です。それが難しいと今後長く運営していくことが困難になっていくかもしれません。ですので、児発管など中心になる人材は、送迎での運転が出来なくても療育や保育の経験が豊富で信頼が出来そうな方ならば採用した方がいいと思います。一般の方の場合、子育て経験が通用しない部分も多いので、あらたな意識で研修を受けるなど向上心があって、利用者さん目線になれて、障害のある子ども達と一緒に楽しむことが出来て、また自分の関わり方次第で良くも悪くも子どもの将来が変わることがあるという、福祉の意識が持てるような方が望ましいと思います。

起業をお考えの方々には是非、いい人材を確保して、いい人材を育て、障害のある子どもとその保護者の福祉に貢献して頂けたらと思います☆

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