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karakurist目録#5_てこクランク機構を作る

機構特化型からくりの醍醐味、運動の変換についてです。
ここでは基本となる回転運動から往復運動へ変換するてこクランク機構について記載します。

往復運動の基本はてこクランク機構

てこクランクc

これまでにも何度か紹介したてこクランク機構は、往復運動を簡単に作ることができます。4つ(もしくは3つ)のリンク(棒状の部品、節とも呼ばれます)を繋ぐことで回転運動を往復運動に変換します。からくりにおいて、てこクランク機構は様々なメリットがあり、
・部品点数が少ない
・確動性がある
・早戻りをさせたりも可能

などがあります。

部品点数が少ない
先述した通り、4つのリンクで構成されています。4つと言っても、1つのリンクは2点の関係を保つための固定節なので、2つの軸を固定できれば実質3つのリンクで作ることができます。

確動性がある
確動というのは確実な動作ができるということです。てこクランク機構はカムと違い、重力に影響せずに往復運動を作ることができます。
三角関数によって原動節の角度が決まると従動節の角度も確定になるので安定した動作を期待することもできます。

早戻りをさせたりも可能
以下のアニメーションを見ると、左右どちらもてこクランク機構ですが、左のてこクランク機構は行きと帰りで動くスピードが違います。

早戻り機構c

このようにてこクランク機構は行きと帰りで速度を変えるように作ることもできます。そのぶん、原動節は一定速度で回転するので行きに使う角度と帰りに使う角度に差が出てきます。
全てのてこクランク機構は往復の折り返し地点に近づくと速度が遅くなって止まり、逆方向に動き出します。全体的な速度の制約があるのでどう使うかは設計センスを磨いて対応しましょう!

てこクランク機構を設計する

設計が簡単
部品点数が少ないので設計も簡単な部類になります。
てこクランク機構は原動節、従動節、中間節、固定節から構成されます。
原動節を回すことで従動説が往復運動をします。
構造上、原動節は従動節より短くする必要があります。以下は行きと帰りで同じ時間をかけて移動するてこクランク機構の設計方法です。

てこクランク機構の設計方法2

てこクランク機構の設計方法1

従動節の往復する角度は180°よりも小さくしなければなりません。というか、180°以上の往復を単体のてこクランク機構で作ることはできません。
というのも、従動節と中間節が一直線になった時、次の瞬間に従動節がどちらに傾いていいかわからなくなるためです。この点を死点と呼んだりします。
余談ですが、てこクランク機構の親戚に平行リンク機構があります。
平行リンク機構は原動節と従動節、中間節と固定節が同じ長さのリンク機構で、原動節と従動節が同じ動きをします。

平行リンク機構c

上記のような平行リンク機構にも死点は存在するので、原動節は回転させることができません。(実は回避方法はあります!(๑˃̵ᴗ˂̵)−☆)

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簡単ではありますがてこクランク機構についてでした。この機構が使えるだけでも作品の幅は大きく広がります。習得して自由に使えるようになりましょう!

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