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karakurist目録#3_からくりならではを考えてみる

からくりの面白いところには、設計に歯車やリンクなどといった工業的な機構以外にもユニークなものを使うという点があります。
例えば、からくりと近しいものに「ピタゴラスイッチ」があります。
ピタゴラスイッチはからくりと違い再帰性(連続的な動作)は低いですが、ロボットなどには見られない面白い動きがあります。

ボールを転がす

ボールを転がすといえば、マーブルマシンというボールの動きを楽しむアート作品もあります。ボールは重力によって高いところから降りてきます。使い方次第では、次のことができます。
・レールを転がる
・離れたところのスイッチを押す(ロックを解除するなど)
・重さを利用して機構を動かす
・鐘を鳴らす
からくりにボールを用いる場合、再び元の場所に戻るようにする必要があります。役目を終えたボールを一か所に集め、何らかの機構を用いて開始位置まで持ち上げるのが一般的です。

糸を使う

糸・紐・エナメル線・ワイヤーなどを用いて離れた位置の機構を動かします。
動力伝達に使う多くの機構を省けるのでコンパクトな設計にできます。また、細い糸を使えば動力伝達の仕組みが見えにくくなり、不思議な動きに見せることも可能です。
糸による力は入力・出力どちらも往復運動に限られます。また、糸は引くことしかできないということを念頭に入れておいてください。引いた後元に戻す力はバネや重力任せとなります。また、糸が途中で折り返される場合は摩耗の影響も考慮します。伸びにも注意!

磁石を使う

加工する部品が磁力に影響されない場合に限定されます。
吸着力を利用する方法と反発力を利用する方法があります。
吸着力はお互いが磁石でなくても使うことができます。例えば金属球などの移動など。近づければくっつき、間に何か挟むor磁力のない角にあててスライドさせて離します。磁石を使うことで移動を楽にすることができます。
反発力は見えない力で部品を浮かすことができ、バネのような使い方をすることができます。ただし、反発力に関しては磁力の低下に影響することがあるので注意してください。また磁力は全方向に影響が出るので、重ねる部品にも気をつけてください。

重力を使う

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ボールを転がすのも重力のうちですが、部品の重心を利用しての傾きを変化させることもできます。僕が考案した機構の中だと一方向型段階位置制御機構なんかがそうです。この機構はラチェットの爪を重力に任せ、傾きを反転することで無効にしています。
重力は全体の傾きも影響するので、作品のあり方を考慮して設計しましょう。

摩擦を使う

摩擦を使えば、低トルクな力の伝達と伝達先に負荷がかかったときに空転してくれる機構が作れたりします。第三者が触れる部分には、こういった摩擦を使う機構を用いると安全に運用できたりします。摩擦の大きい木のような材料限定になります。

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「からくりらしさ」があるものの紹介でした。
からくり作品はロボットより大きくなる分、部品を全て手作りすることができます。そのため、アイデアの盛り込まれたユニークパーツはその作品や作る人の魅力にもなります。

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