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戦略的に「頑固」になろう

みなさん、こんにちは。西村です。三人の子どもの父であり、また特別支援学校で教員として働いています。

からだづくりのこと、健康のこと、障害のある子どもたちとの関わりからの気づき、息子や息子との関わりからの学び、読書からの学びなどで得た情報を発信しています。少しでも参考になればうれしいです。

さて、今回は、「戦略的に、頑固になろう。宣言する子との強さを知る」という話をしたいと思います。

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クレイトン・クリステンセンは、世界で最も影響力のある経営思想家の一人である。かれは、ハーバードビジネススクールの教授であり、世界的ベストセラー、イノベーションのジレンマの著書である。

彼は、熱心なモルモン教徒で、いくつかの誓約を守りながら生活を送っている。

誓約とは、固い約束を表す昔から使われている言葉であるが、もしこの言葉を古臭く感じるなら、絶対的なコミットメントと言い換えてもいい。

クレイトン・クリステンセンは、若い頃、人生の前半をキャリアのためだけに捧げて、人生の後半に、金銭的な余裕ができたあとには、家族とゆっくりと過ごそうとする先輩たちや管理職の人間を大勢見てきた。

ただ、皮肉なことに、人生の後半で金銭的な余裕ができたあとは、すでに家庭は崩壊してしまっているか、子どもたちはとうに巣立ってしまったあとということが多かった。

そこで、クリステンセンは、コミットメントを立てることにした。週末に仕事をしないこと、それから、平日は家で夕食をともにすること、の二つのことを自らに誓ったのだ。そのコミットメントを守るために、クリステンセンは朝の三時に仕事に出かけることもあった。

この話を聞いた時、わたしは、クリステンセンの行動は非合理で頑固で無駄が多いように感じた。なぜ、そこまで頑固になる必要があるのだろうか。どうして状況に合わせた判断をしないのだろうか。週末に、仕事をすることが必要になることもあってもいいではないか。流動的な今の時代において柔軟性は武器になるというのに。

だが、わたしは、今では違う見方をしている。こうしたクリステンセンの頑固な行動には大きない意味がある。重要なことがらに対しては、柔軟性は有利にではなく、むしろ不利に働く。

クリステンセンは、徹底的に頑固な姿勢をつらぬき、柔軟な姿勢では達成できなかった、長期的な目標を達成している。どうしてそんなことができるのだろうか。なぜ、頑固な姿勢をつらぬく方が、長期的な目標をかなえられるのだろうか。

理由は二つ。

一つ目は、状況に応じて、何度も決断を繰り返すと判断力が鈍ってくる。専門用語で言えば、「決断疲れ」と呼ばれる現象である。たび重なる決断に疲れた脳は、もっとも簡単な選択肢を選ぶようになる。安易な選択肢を選ぶようになる。コミットメントを立てると、毎回、メリットとデメリットを天秤にかけて決断する必要がなくなる。決まっているため、思考のエネルギーを使う必要がなくなる。スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたのは有名な話である。

理由の二つ目は、評価が確立されることにある。一貫した姿勢を貫いていれば、あなたは自分のスタンスを知ってもらうことができる。周りの人たちに主体的な印象を与え、自分自身を揺るぎのない存在に見せられるのだ。徹底したコミットメントにもとづいて生活していれば、それがどんなものであれ、周囲はとやかく言わなくなるのだ。ウォーレンバフェットは、事後交渉は受け付けない主義である。バフェットに会社を売却したければ、チャンスは一度。一度しか売却価格を提示できない。その価格をバフェットが高すぎると判断した場合、再交渉することはできない。その結果、バフェットは主義を曲げないという評判を築き上げた。それにより、確実に最初から最高の条件を提示されて、時間を無駄にすることは無くなった。コミットメントを築くことは、理想的だが、実行は簡単ではない。

結論。柔軟性を褒めたたえるのはやめよう。柔軟性の一辺倒では、不満が募り、疲れがたまり、気づかないうちに目標から遠ざかってしまう。妥協しないで、自分のコミットメントを守り通そう。コミットメントを100パーセント全うすることは、そのうちの99パーセントだけを実行するよりも、実はやさしいのだ。

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いかがでしたでしょうか。今回は、「戦略的に、頑固になろう。宣言する子との強さを知る」についてお話をしました。

参考文献は、ロルフ・ドベリの著書、「シンク・クリアリー、最新の学術研究から導いたより良い人生を送るための思考法」です。

それでは、今日は終わりにします。ご覧いただき、ありがとうございました。

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