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発酵調味料と、とろみの相性について。麹屋嫁的考察。

どうも!麹屋の嫁、にしますです。
相性、大事ですよね。人間関係はもちろん、毎日使うものや食べ物なんかも、相性の良い組み合わせ、あまりパッとしない組み合わせがありますよね。


今日は、私の沢山ある失敗談から、こうじを使った調味料『発酵調味料』を使うときに気をつけたいことについて。麹屋嫁的考察。

とろみにご注意を!

私たちのお店では、味噌、甘酒、醤油こうじ、塩こうじ…ぜーんぶ合わせて『発酵調味料』と呼んでいます。

そんな、こうじを使った調味料『発酵調味料』を使うときに気をつけたいことは一つ。

片栗粉、小麦粉を使う料理の時や、トロリとした仕上がりを希望する場合はご注意ください。と言うこと。


ハマるとやりがち。何にでも発酵調味料!

麹は身体に良いから。
美容に良いから。


とにかく、いつでも、どんな料理にでも、発酵調味料を使いたくなることがよくあります。
特に、発酵沼にハマり始めた初期の頃。発酵マニアの方は必ずや通る道なのでは?

塩の代わりに塩麹。
醤油の代わりに醤油こうじ。
隠し味に味噌。

煮物、炒め物、下味…とにかく、味をつけるとき。
いつでも何にでも発酵調味料。

アルアルですね〜!

実際、発酵調味料を使った方が、味に深みも出るし、美味しくなるんですよね〜。

ただ、実際に使ってみて、これは…!!という失敗から、調理次第ではお互いの良さを殺してしまう『相性の悪さ』もあることを知ってもらいたいなと。

まず、麹には澱粉を分解する酵素が含まれています。
甘酒なんかはもろわかりやすいですよね。

麹に熱をかける→米のデンプンが分解される→甘くなる
口の中でよーくご飯を噛むと甘くなる、あの現象と一緒ですね。
ありがたい酵素の働きです。


ですが、このありがたい酵素の働き。困った事もあるのです。

それが前述した『片栗粉、小麦粉』のグルテンが固まる特性を利用したお料理の時。


トロトロに仕上げたい時はご注意を。

あんかけ焼きそば(長野のソウルフード、あんかけかた焼きそば、知ってます??)
中華丼、麻婆豆腐、八宝菜、酢豚とか。

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(酢豚、美味しそう)


溶いた片栗粉を最後に回しかけて、艶々のとろみをつけるような料理。トロトロ・熱々が美味しいですよね〜。

しかーし!
調理の仕上げに「味が足りないなぁ」なぁんて塩こうじ、醤油麹、味噌なんかを入れてしまったら最後です。

あの、美味しい艶々トロトロの餡とはさようならです
それはもう、見事に、サラサラ〜とトロミがなくなります。

そうなんです!
お料理の最中、酵素がよーく働いてくれて、澱粉がつながってトロトロしているものを、サラサラに分解してしまうんです。


何度も試したみた結果、最初から入れてすごく火を通したら、まぁまぁ大丈夫。
途中〜仕上げで入れた時は、サラサラしてしまいます。

沸騰しているような時に入れてもダメ。
経験的には、長時間加熱していればOK。沸騰していてアツアツでも、短時間の加熱ではやっぱりサラサラになってしまいます。


使い慣れている方なら心配はないと思いますが、発酵調味料を始めて使う方は注意が必要です。


素直な私は、『塩の代わりに使えるんだよ』の言葉をまーっすぐに受け取り、天ぷらの衣に入れる塩を塩こうじにしたことがあります。
(ひゃー!!小麦粉グルテン固まれず、衣が油の中で分裂!!)

塩むすびの塩の代わりに…と使い、【ビチャビチャの形のないおにぎりのようなもの】にした経験があります。
(ひゃー!!想像もしたくない、どんどん崩れ落ちてゆくおにぎり…の、ようなもの…)

とろりと美味しそうにできたカレーをシャバシャバーにしてしまったり。
(えっ!?私、スープカレー作ったっけ!?)

蕎麦サラダをどろどろのグデグデにしてしまったり…
(箸で掴めない時点で、もはや蕎麦ではない…)

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こうして書くと、もっのすごい料理できない人みたいですね(笑)


塩こうじが流行った時、こういう調理の注意点を誰にも教えてもらえなかったので、相性が分かるまでは本当に何度も何度も失敗しました。


うまく使いこなせなくて、麹屋のくせに『塩こうじの使い方、よくわかんないー!!なんで流行ってるのかわからない!!』とさえ思っていたぐらいでしたから。


でも、色々経験したからこそ、今ではなくてはならない存在です。
ポイントさえ押さえておけば、とっても簡単に、とっても美味しく仕上がるのだから、使わない手はない。


苦い経験を沢山した、麹屋嫁だからこそ、
『これから使いたい!使ってみたい!』と思っている方に、私の数多くある失敗を晒すことで、ほんの少しでも役立てていただけたら嬉しいです。


ではまた〜!


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