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勝利至上主義の弊害


 スポーツの世界のことはあまり詳しくありませんが、少し前から勝利至上主義が問題になっているそうです。
そもそもスポーツは勝利を競い合うもので、それ自体には問題がないのですが、指導者やその周りの人たちが勝つことだけを追求するあまり、体罰が起きたり、燃え尽き症候群になったり、スポーツが嫌いになり辞めてしまう人もいます。
 
まわりから日常的に過剰に勝利を求められると選手は成功や失敗、勝利か敗北という結果ばかりに気にするようになる。それがプレッシャーを生み、実力を発揮しにくくなる。結果がでないと「自分は価値がない人間だ」「才能がない」と自分を否定する。過度のプレッシャーで実力を発揮できず、「こめんなさい」と泣き崩れているオリンピック選手などの姿もそうしたことからくる結果なのかもしれません。
 
本来スポーツは楽しく、勝つこと以外にも、人間形成や相手や仲間を敬う気持ちなど、いろんな学びがあるはず。好きで夢中になってやっていたスポーツが嫌いになってしまうのは、本当に悲しいことです。
 
仕事も同じかもしれません。結果や業績ばかり追求する環境にいると、いつの間にか、仕事は数字をあげることだと、仕事の目的が変わってしまうことがあります。そして、だんだんと仕事そのものの楽しさや喜びに意識が向かなくなる。そのうちに仕事が嫌になってしまいます。
そんな気持ちでいると成果が出ない。出ないとまた追求される。それでも「やらなければならない」と、仕事が「義務感」になる。好きだったモノづくりが、面白かった営業という仕事がいつの間にか義務感でやっている。そんな人が増えているとすれば、勝利至上主義のチームのようなことが起こっているのかもしれません。
 
スポーツ界では、ここ数年、そうした勝利至上主義の反省があり、結果重視ではなく、選手の成長に主眼をおく「プロセス重視の指導」に少しずつ変わってきているそうです。勝利という結果ではなく、どんなプレーをすればいいか、どんな心で向き合えばいいプレーができるかと、技術やプロセスを磨いていく。そうした指導に転換する高校も増え、最近は、甲子園でも勝利の重圧に負けず、笑顔でプレーをしているチームも見かけるようになりました。確かに、義務感や恐怖感で野球をやるチームより、好きなことを、夢中に取り組んでいるチームの方が強いはず。
 
「楽しい」「面白い」と、本来の仕事の喜びややりがいを感じながら働いていきたいですね。
 

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