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私の大切なアルバム その1 Madonna「Like A Prayer」

お久しぶりです。

自分にとってここ数年はすごく辛い時期だった。そんな時にいつも側にいてくれて手を差し伸べてくれたのが音楽。なので今回、そんな私の人生で大切なアルバムたちを選んで記事にすることにしました。気まぐれにシリーズとして更新していきます。

ここで表記のお約束を書いておきます。あくまで原則です。
※ここでいう「アルバム」には、ベスト盤、オムニバス盤、その他コンピレーション盤、ライブ盤、ミックステープ、EPも含みます。
※アルバム/曲のタイトルは原語で表記します。
※アーティスト名は一般的に使われているカナ表記に準拠します。
※アルバム名は『』、曲名は""で表記します(いわゆる「…」などの表現と混同しないため)。
※アルバムのコメントの最後に、Spotifyのリンクを貼ります。Spotityにアルバムがない場合はDiscogsのリンクを貼ります(曲目が一目でわかるため)。

Like A Prayer / Madonna (1989)

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まず一番最初に取り上げたいのがこのアルバム。私にとって最も大切かつ重要で、常に自分の心とともにある一枚です。

マドンナというアーティストは文字通り私の命の恩人で(詳しくは以前書いたこちらの記事 https://note.com/247mimagordon/n/n58b9888125da をお読みください)、私が地球上で最も憧れ、尊敬している存在。マドンナというと「孤高のアーティスト」みたいなイメージで、私も最初はそんな風に思ってました。しかし、このアルバムを聴いてそれが一変したのです。

と言ってもすぐにではありません。私は最初に『Celebration』という二枚組のベスト盤でマドンナを聴いてドハマりし、中学生のなけなしの小遣いを毎月ほとんどマドンナのアルバムを時系列順に買うことに費やしてた時期がありました。しかしマドンナは一筋縄ではいかないアーティストで、アルバムの雰囲気やサウンドがどんどん変わる。これまで70sロック少年だった自分には、同じアーティストで作品ごとに作風がここまで変わるというのは初体験で、初めて聴くアルバムには戸惑うことがよくありました。実は最初に戸惑ったのがこの4枚目。それまでの3枚、『Madonna』『Like A Virgin』『True Blue』はまだ「80sニューヨークダンスポップ」の要素が中心だったのだけど、このアルバムはそこから一気に別の次元に行っていたのです(後で理解することですが)。

私はアーティストのパーソナルな作品を好む傾向にあります。それは「どうしても作らなければならなかった」という気迫というか、迫りくる狂気みたいなものを感じるから。『Like A Prayer』はマドンナ最初のパーソナルなアルバムではないでしょうか。「このアルバムのテーマは家族」と語るマドンナは、この頃俳優ショーン・ペンと離婚したことをきっかけに、家族や人間関係について深く考えるようになったそう。マドンナが5歳の時に亡くなった実の母、父や継母との確執といったことは今ではよく知られた話。まず1曲目"Like A Prayer"から、もうこれまでのアルバムと違う空気感があります。ヘヴィなギターイントロに始まり、ドラマチックな展開、ゴスペルコーラス、宗教的で精神性の高い歌詞。他にも実の母とのスピリチュアルな対話、あるいはマドンナ同士で実母と向き合う対話をしているかのような"Promise To Try"。父との確執について生々しくソウルフルに歌い上げる"Oh Father"。そしてエイズのため亡くなった友人に捧げた"Spanish Eyes"。この後ろに挙げた3曲、マドンナのボーカルが鼻声ぎみで、泣きながら歌ったのではないかと思ってしまうし、実際そうだったのかもしれない。そんなことを想いながらこのアルバムを聴いていると、あの世界的スーパースターマドンナも一人の人間なんだ、と当たり前のことに気づかされ、自分との距離の近さに、そして苦しみながらもそれをバネにアートに昇華する彼女の芯の強さに感動してしまうのです。私の心の師として、マドンナの生き様に感化され、「こういう人になりたい」と思っている自分にとって、マドンナが自身の内面を吐露するようなこの作品は、マドンナが「雲の上」の存在ではないことを思い出させてくれます。そして、彼女が紡ぎだす心の声が、沈んだ私を地に引き戻してくれるのです。





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