読書記録「三千円の使いかた / 原田ひ香」
ドラマ化していて気になっていた本。
普段はミステリー小説を読むことが多いので、新鮮な気持ちで手に取った。
タイトルも気になる。
“三千円”の使い方…?
学生の頃のお小遣い三千円は、大金な感じがしていた。大切に大事に、何に使うか悩んだが大人になると三千円はお財布に入っている身近な金額になる。小説は、三千円の使い方にその人の人生観が現れるというところから始まる。
私が三千円を使うとしたら、いつもは躊躇する画集や写真集を買うと思う。
美しい本って漫画や小説と比べて高いので、ちょっと躊躇ってしまう。
この小説を読んで、何歳になってもお金の問題は尽きないんだなあ、と思う。
節約家族の三世帯が中心となって物語は展開されていく。
特に印象に残ったのは、母と熟年離婚する友人のお話。
主人公の父は全く家事ができない。老後は夫のためにご飯を作り続けるだろうか、と思う主人公の母。
私の両親は、主人公の両親と同じなのだ。
父は全く家事ができないので、このままだと十数年後にはこの小説と同じ問題にぶちあたること必須なのである。
母に貸す約束をしているので、この章だけでも絶対に読んでもらわなければ。父にも読んでほしいが、家庭の家計なんてほとんど知らない父は「節約」という言葉自体を嫌っていそうで、勧めづらい。その状態が良くないんだろうなあとは思うけど……。
どの年代でもお金の問題は尽きない。
日々の生活、結婚、出産、子育て、離婚、老後、病気……
自分が岐路に立った時、読み返す小説だと思う。
この小説のメイン軸は「節約」である。
節約(節税)・貯金方法として主流となってきている積み立てNISAやiDecoも登場し、8×12貯金や365日貯金など、ちょっとした節約方法も登場する。
ちょっと読んでみたいなあと軽い気持ちで購入した小説なので、節約に強い意識を持っていたわけではないが、生活が変わった。
「節約」を意識しなくてもコンビニへ行く回数が明らかに減った。平日の平均支出額がぐっと減ったのだ。
小説を読むだけで、生活を変えることができると知った。
一緒に住んでいる恋人に、三千円の使いかたを聞いてみた。
「いつもは行かないちょっといいところのランチへ、一緒に行こうね。」
きゅんな惚気回答で、感想を締めさせていただきます。
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