読書記録「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち/東野圭吾」

東野圭吾の新シリーズ開幕です。
シリーズ『ブラック・ショーマン』!
「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」の続編。
前作は長編でしたが、新作は短編集。

前作はコロナ禍が始まったばかりの頃に
発売されました。
作中の舞台もコロナ禍が始まったばかりで、
その執筆スピードにビックリしたことを
覚えています。

今作はその続編。
コロナ禍が少し落ち着いた頃が舞台に
なっていて、現実とリンクします。

まず一篇目の「トラップハンド」は
20ページ弱で心をつかんでくる。
正直、前作ってどんな感じだったっけ……
と、不安だったけど、これを読んで安心した。
前作を詳細に覚えていなくても楽しめる
短編集であることを教えてくれました。

謎に包まれたバー『トラップハンド』の
マスターは元マジシャン。
姪が持ってくる謎を、マジックによって
解き明かしていく。

普段はコインの表だけしか見えていないけど、
別の視点からコインの裏を見るような
まさにマジックのような物語。

「トラップハンド」「リノベの女」
「マボロシの女」「相続人を宿す女」に加えて
「続・リノベの女」と「査定する女」の6作。

「続・リノベの女」と「査定する女」は
書き下ろしらしい。
他の短編を雑誌で楽しんでいた人には
嬉しいサプライズ〜

「相続人を宿す女」がお気に入り。
そうくるのか〜と1番想像がつかない展開。
実は、他は伏線などが他の話に繋がるのですが、
これは短編としてまとまっています。

「続・リノベの女」は
それぞれのハッピーエンドを得るためには
誰かの妥協が入っていることを突きつけられる。

「査定する女」は、
まさにタイトルに含まれる"覚醒"な一編。
細かい伏線が張られてたんだな〜……
ミステリー短編集らしいニクい演出が堪らん。
他の短編で少し残ったモヤモヤが
スッと消化されました。

ボリューム感もあっさりでサクッと読めました。
前作より好きです。


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