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コンサル実務の解像度が低い要因

コンサルタントの実像を解明するため、シリーズ「解像度を上げる」をリリース予定です。


情報の非対称性

リアルな実務の情報は意外とない

コンサル転職を検討するときに、転職エージェントや転職情報サイト、X、面接官に至るまで、コンサルファームの働き方と事業会社の働き方は異なるという記載を目にすることが多いです。
スピード感が早い、成果へのコミット、仕事の進め方など漠然としたフレーズで語られることがよくあります。
こうした主張の背景に、コンサルの方が仕事人として優秀という前提を置いている場合もありますが、個人的には優劣はなく、ただ職種の違いであると思っています。

事業会社から転職してくる場合、何が具体的に異なるのか、について情報収集をしようとしますが、核心を突いた記事は希少であり、個人が書いているブログや記事、Xなどへの投稿から推察するのが関の山だと思います。
不安を煽る転職エージェントに聞いてみても、コンサルタント出身ではない担当者は当然リアルな情報は提供できないですし、コンサル出身者でもそれを言語化して提供できる人はほとんどいません。加えて、彼らの仕事は転職させることですから、志望者がコンサルに憧れを抱いたままの方が都合が良いのです。詳細に実態を晒して、志願者がどこのコンサルにアプライするかではなく、転職するか否かを悩みだしてしまうようではビジネスが成り立ちません。

コンサルファームのキャリアサイトを眺めてみても、キャッチーな横文字で華やかに飾ってあるだけで、閲覧者が本当に欲しい情報は無いことが多いですし、1日のスケジュール例の記載があったとしても、具体的に何をして、どう仕事を進めているかについては残念ながら理解できません。

転職しないとわからないことが多い

コンサルに限らずどこの会社でもそうですが、具体的に何をやっているかという仕事の解像度を高めるためには、実際に働くこと以上の手段はありません。五里霧中な中でも、飛び込んでみて自分で体験することでその会社に適しているか、そうではないかが判断できます。
ただ、それは一種の賭けであり、入社したものの自分に合っていなくても元の会社に戻ることはほとんどのケースでできません。
与えられた環境の中で頑張り続けるか、再度転職するかという選択になって
しまうことは避けられません。

こうしたことを避けるために、個人的には内定前にフォロー面談を2回程度実施して想定上長と業務内容について話したり、サニタイズされたうえでのプロジェクト概要を聞いたり、ということをしていました。
しかし、それでもなおしっかり言語化して情報提供してくれる人は少なく、どうしても良い印象を持ってもらうためのポジショントークの感が拭えなかった記憶があります。

結論として、いまあなたが欲しいと思っている情報はこの世の中には存在しません。転職という行動を取るしかありません。
ただ、その賭けをイーブンではなく、期待値を少しでも上げるために本シリーズを書いていきます。

コンサルワークについて

コンサルは地味で泥臭い

コンサルタントは、その職務を全しようとすればするほど、地味で泥臭い職種になっていきます。世の中には色々な種類のコンサルティングが存在しますが、戦略、総合、FAS、再生のどの領域においても、およそ世間のイメージとは異なると思います。

そもそもコンサルティングは企業の課題解決をサポートする仕事です。
ビジネスにおいて課題となっている部分を特定し、解決に導くまで短期間で実現しなければいけません。課題解決というのは簡単ですが、企業経営の根幹に関わる課題を読み解き、解決策を提示・実行することは骨が折れます。
必要な資料があるかどうかもわからず、ステークホルダーと調整がつくかどうかも不明な中で、ゴールセッティングをしてロードマップの策定、成果物の定義、タスク設計をしていきます。

華々しくプレゼンして、クライアントの成長や再生に貢献する、という局面は仕事の中の0.1%に過ぎません。
その裏では雑用係やただの作業員のような仕事内容がたくさんあり、クライアントの機嫌を損ねないように下手に立ち回る所作を求められたり、急な納期対応や会議日程の調整を行わなければなりません。また議事録や検討用の資料(ディスカッションペーパー)などすべての行動をドキュメントすることが必要です。なぜならドキュメントしないと仕事の痕跡が残らず、コンサルタントとしての存在意義が可視化されないからです。

このように0ベースから物事を考え、自分たちの行動をすべて綺麗にドキュメント化して、関係者間の検討の場や意思決定の場がスムーズに回るように調整して、必要なデータや資料は何とかして集めて、先が見えない中でも仮説を立てて効率よくプロジェクトを推進していくことが求められます。

これは華々しくもなんともなく、ただ面倒くさくて地道なプロセスを淡々と高速で進めていくので、自分の理想像を描いて入社した後、そのギャップはかなり大きくなると思われます。

本シリーズの意義

こうしたギャップを少しでもなくすために大枠で以下のようなカットで記事を書いていこうと思います。
個人的な偏りは多少あると思いますし、それは避けられないのですが、リアルな情報を入れることで読者の方の判断材料を提供することはできると思います。

①0から仕事を作っていく(vol.2)
先が見えない中でもゴールまでのロードマップを計画する
仮説的なゴールセッティングとタスクデザイン

②ドキュメンテーション(vol.3)
ドキュメンテーション能力の必要性とそのボリューム
統一することの大切さ

③調整(vol.4)
会議の設定と参加者の日程調整
ステークホルダーとの計画合意

④進め方(vol.5)
担当タスクを進めるステップ
レビュー者の時間を奪って、早いもの勝ちで予定を押さえる

⑤評価(vol.6)
数字を持たないスタッフは、イメージ=評価となる
スタッフにおける成果とは何か


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