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【詩】夏の扉が閉じる頃



私を照らす 夏の余韻よ
涼やかに吹くは 秋の香りを




いつかの風が 私を迎える
残滓と気配がよぎらせるのは



君が呼ぶとてこの夏ではない




この夏にみた あの夏の名残よ




全ての夏が あの夏の名残を




私の知らない あの夏の名残は






私を迎える いつかの風が…。





記憶ではない、ただの理想を。





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夏が来たなと思うと、夏が終わることを思ってしまいます。
毎度、夏を振り返る頃、今までで一番の夏と比較して、この夏ではなかったなと思うことが多いです。


では、どの夏が良かったのか。

もっとこう、充実してて、暑くて、キラキラしてて、爽やかで、熱中できるものがあって、腹がよじれるほど笑って、切なくて、大好きな人たちがいる夏。


そんなことを思って、
果たして、そんな夏が僕にあっただろうか?
記憶にないノスタルジー。
それなら、大好きだったあの子といた夏は?
遠くもないが近くもない。

きっと僕の夏は、小説やドラマや、ゲームや音楽や絵などといった、いろんな人たちが経験したり空想したりした思いが積もってできた理想のようなものなのだろう。
「あの夏」は、経験した夏ではなく、膨れ上がったただの理想の夏なのだろう。



「この夏」がいつか、ただの理想である「あの夏」を打ち破れますように。

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