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同じマウントのレンズを1本で飼ってはいけません(PENTAX-110 50mmF2.8)

 ほらどこのメーカーも、家にレンズ飼ってない人向けにはダブルレンズキットで売り出すでしょ。

 そういうわけで前回に続き、PENTAX-110 50mmF2.8です。
 サイトウカメラさんっていう神奈川のお店の通販で見つけちゃった。2800円+送料だったし、前キャップはもちろん、後玉も保護するパーツがしっかりついていて。
 リアキャップってゆーたらええやんか、と思うかと思うんですが。

 このケースに入ってました。底のほうがマウントと同じ切り込み入ってて固定できるの。防御力高くて素晴らしい。

奇しくもLENS reviewで分析が

 私が今更PENTAX-110の24mm・50mmをいじって喜んでいる真っ最中、偶然にも程があることに、LENS reviewの分析記事が出ました。まさかそんなタイムリーな。

 50mmの方はまあ、エルノスター型に1枚足したような、私でも「ああ昔の中望遠レンズだ」って感じしますけど、24mmはなかなかよくわからないな……。こんなレンズだったんだなあ。
 記事にもあります通り、auto110はボディ側にシャッター兼用の絞りが入ってるビハインドシャッター式なので、光学設計も独特になっちゃうようです。
 24mmは明らかに風変わりな設計から味わい深い描写になってましたが、多分、設計がもっとしんどそうな18mmがかなり味わい深い描写になってんじゃないかなあ、と思ってます。どっかで手に入るかな。
 逆に50mmは見るからに普通だし、描写も普通かも。

ぜんぶF2.8

 ついでに少し書き足すと、auto110のレンズは全部F2.8なんですね。
 最広角の18mmも、最大望遠の70mmも、ズームの20-40mmもF2.8。
 これってのはまあ、auto110がプログラムAE機だという事情がありまして、プログラムAEだったらレンズの開放・最小F値が必要。
 この小さいレンズに、F値を伝達する機構をつけるのか。レバーでもつけて機械伝達か、電子接点つけるか、ROMで読み取るか。どれも物理的なスペースやコストが苦しそう。1979年だぞ。
 じゃあF2.8で統一したら済むだろう、となったんでしょう。

 auto110が出た当時、コンパクトカメラではプログラムAEはすでに登場して時間が経ってました。露出計の値を受け取って適正な絞りと速度で露光してくれる、電子シャッターユニットが60年代前半にできてます。うぃきぺにも書いてある。
 auto110も、シャッターは多分コンパクトカメラ用のものでしょう。
 おかげで、PENTAXは35mm判一眼レフだと83年のSuper AまでプログラムAEができてないのに、3年以上先回りしてたりします。(他社だと78年にキヤノンAE-1 [訂正: A-1です。AEの話してたら混ざった] が出てます)

 プログラムAEの110コンパクトカメラを後ろに伸ばしてミラーボックス入れてレフファインダーを取り付け、前をレンズマウントにしつつ、レンズはすべてF2.8、ビハインドシャッター想定の光学系で設計して用意した……というのがauto110というカメラっぽいですね。
 コンパクトカメラを一眼レフにするために、必要な変更を最小限に留める工夫に満ちてる感じ。
 逆に、しっかり35mm判一眼レフに準じた仕様の一眼レフを作っちゃうと、こんな小さくてかわいいものにならず、ミノルタの110SLR系みたいなもう一回り大きなガッチリしたものになってたと思います。

実写(夜)

 月曜日に届いちゃったので、金曜まで夜にしか試写できてなかった。
 もちろん相棒はE-M5 Mark IIです。

 夜のスナップはまあねえ。カラーフリンジの多さとか丸ボケのきれいさとか目立つ要素もありますが、解像力とかはさほど気にならんというか。

 パープルフリンジが出たのかな、というカットはありました。なんかステンレスが紫色っぽくなっちゃった。
 ただこのカット、ホワイトバランスが紫に転んでるだけかもで、電話機の色が浅すぎるから緑に調整すると全体的にまとまった。

ホワイトバランス補正後のもの

 イレギュラーなレンズだからAWBが困惑してんのかな。

 玉ボケは形の歪みも小さいし、ちょっと縁取りはありますけどなかなかいい感じ。

実写(昼)

 土曜は幸いまだ晴れてたので。
 前回、24mmF2.8で撮ってたときのE-M5 Mark IIの設定について、「オリンパスのピーキングは感度が低めっぽくてコントラスト低いとこで出なくなるから、感度を高めたほうがいい」って書きました。
 が、50mmF2.8で開放しか使えないとなると、感度高のピーキングだとピンボケを結構出しちゃいました。50mmなら感度弱のほうがいいですね。
 面倒がらずに拡大するのがベスト。

 いきなりなかなかの写り。
 24mmのときは「色が浅いな」と思ったんですが、50mmは別にそんなことないですね。
 このカットだと、ボケもなかなかいい感じに出た。

中央部拡大

 立体感まではないような感じはしますけれど、なかなかキリっとした写りしてますね。

 ただ背景によってはボケうるさめに見えることもあるかなあ。

 なんか二線ボケっぽくなっちゃったな。ボケいいのか悪いのかどっちなんだ……。まあこのカットだとそもそも絞りたいところですが。

 ピントが近いとあんまり気にならなかったんですが、遠景で人工物だとちょっと周辺が甘くなりますね。この小さいレンズを開放だと仕方ないのはもちろんのこととして。

 歪曲はほんとに小さいですね。

最短での撮影

 どうもマウントアダプターが短いみたいで、無限遠越えるんですよね。
 最短撮影距離は90cmなんですけど、アダプターが短いということは、近接は若干損してるはず……。

 鐘楼の鐘を撮ったけどほとんど見えなくなっちゃった。かなりコントラスト出るレンズなのかな。

高津宮・生命の木

 またコントラストバキバキ。カメラの設定触ってない(ビビッド設定)のにな。

 逆光に関しては、まあ流石に時代が時代だし、smcとは名乗ってないレンズだからモノコートなんでしょうね。巨大ゴーストが画面半分近くをどーんと。
 ただゴーストはこうだけど、フレアっぽい感じのカットは今回は見当たらなかったな。たまたまかもですが。

まとめ

 やっぱり一眼レフだと中望遠が作りやすいのかな、普通によく写るじゃない、と思わせるくらい。全カット絞り開放なのにねえ。
 換算100mmの中望遠は私としては大好きな画角ではありますが、ただしかし、なまじよく写ってしまって、24mmほど味わい深い感じは持てない。う、うううん。
 まあ、40年とか50年前のレンズ使って、「写りすぎてつまらん」ということもあれば「これは味というか単に写りが悪くて辛い」と言い出すこともある私に問題がありますが。

 いちいちマウントアダプターごと付け替えることなく、24mmと50mmをセットで持ち歩いて運用する、ってことになるでしょうね。

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