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最小限の出費でネガフィルムをデジタル化してみる

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 はい、こちら先日の記事でありました、リコーXR500で撮ったフィルムの写真でした。
 しかし同じネガのコマですが、前回掲載した現像屋さんが出力してくれたデータとは異なります。

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 こちら現像屋さんのお仕事。
 前のやつは、私がネガをカメラで撮影してデジタイズしたものでした。

 ネガをデジタル化するのって、結構悩ましいんですよねー。
 現像時にCDで頼んでも150万画素だったりしますし。90年代末のデジカメじゃあるまいしさあ。
 なんかフィルムスキャナーを自称する安く売ってるものがありますけど、昔買ったときは全く使い物にならなくって。中に500万画素くらいのカメラが入ってて、ネガを撮影して反転するところまでやってくれる……といいつつ結果が悪すぎて話にならなかった。今のはマトモになったんかなあ。

 とはいえ、「カメラでネガを撮影して適切にネガポジを反転して画像を得る」という手段は、やればできる。
 お金をかけるんだったらしっかりしたフィルムスキャナとか、ニコンのフィルムデジタイズアダプターES-2とニコンの一眼レフとマイクロニッコールを使うとか、やりようもあります。
 お金をかけずにやれるだろうか。

 やりましたとも。

用意するもの

 フィルム触るので手袋。

 撮影機の方に最低限欲しいのは等倍マクロレンズです。
 まあ、最大撮影倍率が足りなくても、画面中に小さめにしか写し込めなくて画素数のロスが増えるだけではあります。最近のなら標準ズームの望遠端とかでも結構寄れますし、一応使えると思います。
 しかし「近距離で小さな平面物をまっすぐ写す」というレンズに厳しい条件の撮影になるんで、マクロレンズのほうが結果がいいと思います。
 私はPENTAXのAPS-C機(K-01)に、smc PENTAX-FAマクロ50mmF2.8でやりました。

 カメラも、RAW撮影ができるやつがいいと思います。
 ネガに記録されてる色は極端に転んでます。JPEGしか撮れないとなると、多分補正しきれない。
 また、この記事の通りにやる場合、ある程度ピントが薄くなる必要があるため、小センサーのカメラだと問題が起きるかもしれません。

 それから、それなりの三脚
 カメラをまっすぐ真下に向けて撮影するので、けっこうバランスの悪い設置になっちゃいます。雲台にかかる負荷も大きい。カメラが小さければ安い三脚でも足りますが、私は一眼レフとか使うんで、耐荷重1.5kgくらいはないと怖いかなと。
 超小型のテーブル三脚だと、真下に向けるのが難しかったり、向けられても脚が邪魔になったりするんで、今回は用途に合わないと思います。
 私は中古で5000円のマンフロットMKC-H01を使いました。

 また、カメラがちゃんと真下向きだとわかるように、水準器もあるといいでしょう。PENTAXもですけど、真下向きだと電子水準器は使えなかったりしますし。
 三脚側についてればそれでいいと思います。

 それから、ネガフィルムを裏から照らせる、白くてムラのない面光源が欲しいんですが、ご家庭にあるもので簡単に代用できるもの、はい、スマホ使っちゃいましょう。

 で、フィルムを平坦かつスマホの画面から少し浮かせて保持するために、ダイソーで売ってたマグネットクリップをふたつ。

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 こういうやつ。形状が大事で、マグネットが入る分だけ土台側に厚みが3mmほどあります。これでスマホ画面からフィルムを浮かせられる。マグネット自体は不要です。
 またクリップの幅が40mmほどあって、フィルムの1コマ(36mm)をまっすぐ張ることができます。

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 こんな感じで使います。長手方向の反りは挟むと一発で整います。まあ短辺側の反りはちょっと残りますが。

 スマホにネガをベタ置きしちゃ駄目なの? と思われるかもしれませんけれど、それやるとスマホの画素が写っちゃうんですよ……。

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 これがそうしたものですが、ジャギジャギでしょ?

セッティング

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 最終的にはこうなります。
 クリップで挟んだフィルムをスマホの上に置いて、それをまっすぐ見下ろすようにカメラをセットする、それだけなんで、そんなに迷うものではないと思いますけれど。

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 カメラの設定は、列挙すると以下のようになります。

・RAW記録
・ISO100(最低感度)
・絞り優先オート F4.0(条件によって変わります)
・ライブビューモード
・MF(拡大表示して極力正確に合わせます)
・手ブレ補正オフ
・リモコンレリーズ(なければセルフタイマーに設定して、露光時にカメラに触れていないようにします)
・中央重点測光かマルチ測光(多分どっちでもいいです)

 で、できるだけ画面いっぱいにネガを写すんですが、少しばかり周辺を残しておいてください。色の調整に使います。

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 で、現像されたネガの最初の方にある未露光で真っ白な部分を使って、ホワイトバランスをマニュアル設定……は、結果的にいうと別にいらんかった。これじゃ補正しきれんかったので。

現像

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 撮れたのはこんな画像です。
 ひとつ上の手順(不要)でホワイトバランスを調整してるので、その手順を飛ばすともっとオレンジ色の画像になります。

 ではこれをPENTAXなんで、Digital Camera Utility 5で処理していきます。多分他社の現像ソフトでも同じようなことはできると思います。

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 まずネガポジ反転。まだだいぶ色が怪しい。

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 あ、これ縦位置の写真なので直しましょう。
 でもって余分なところをトリミング指定。気になるなら回転とシフトで整えてできるだけ大きく切り取ってもいいでしょ。
 フィルムの反り由来の歪みがちょっと残ってますが、これはDCU5だけで直すの厳しいので諦め。

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 でもって、ホワイトバランスをグレー点設定でやります。1点でもええと思いますけど、一応ムラがあることも考えて3点。ネガの端っこを指定してやりましょ。
 今回はカメラ側で一度同じことやってたので変化が小さいですが、そうでなければここでガラっと変わるはずです。

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 とりあえずコントラストが眠いので、トーンカーブを詰めましょう。

 色がまだ青いね。

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 じゃあホワイトバランスを調整。ネガポジ反転してるから、Blueに寄せると青みが抜けるよ。

 まあ……トーンカーブをRGB別でいじったり、色調整したり、カスタムイメージいじったりと際限なく詰める余地はあるんですが、これぐらいでいいとしましょ。

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 とりあえずこんなもんでした。
 というか、たまたま選んだんですけど、これあんまり上手くいきにくいコマだったなあ。すべり台の原色塗装と木肌色と葉の色の調整は厳しい。

 あと、うっかりしてでかいホコリがついちゃってましたが、これは撮る前にブロア吹きましょう……

まとめとちゃんとした光源について

 お金をかけない、といいつつ、三脚買い足した上にマクロレンズは持ってるという条件から始めて「お金をかけてない」と言い張っておりました。申し訳ありません。

 結局の所、スマホの画面を光源にすると、画面の色の偏りや演色性のせいで、撮れる画像の質が左右されちゃいます。
 ある意味、一番ケチってはならんところをケチってるような手です。

 ネガを裏から照らすための光源としては、Amazonなんかを見ると絵を描く人向けのトレース台ってのが安く売ってますね。2000円くらいである。
 ただまあ、こういうのは演色性がどの程度確保されてるかわからない。あまり期待できないと思うな。

 ちゃんとした写真用のものとしては、富士フイルムがポジフィルムを見るために売ってるライトボックスなんかがあります。これは高演色性のRa95で、写真用品として文句はないでしょう。
 こういう用品をOEMで製造してる進光社が自社で出してるトレース台はRa82とのこと。やはりネガの複写なら大きさはさほど要らないので、写真用ライトボックスのほうが良さそうですね。




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