見出し画像

希望的な「Afterコロナ」は訪れない、たった一つの理由

 2020年12月11日金曜日、日本はまだコロナ渦の状態にあり、第3波の真っ只中だと報道されている。

 今年は、4月7日に主要各都市で緊急事態宣言が発令され、翌月25日に全国で緊急事態解除宣言が行われた。
約2ヶ月に及ぶ、法的強制力を持たない「セルフ・ロックダウン」を経験し、166年ぶりに貿易こそは止まらなかったが「鎖国」にほぼ近しい状態となった。
そこはかとなく、息が詰まる様な重苦しい雰囲気が漂い、見慣れた街並みがまるで映画の様に閑散としている情景を見て、多くの人々が途方に暮れ、多くの人々が強く励ましあった。

世界各国で「COVID-19」の感染拡大が広まり続け、ヨーロッパ各国(特にイタリア)と北米で猛威を奮った。
日本では、3月27日に志村けんさんが亡くなり、4月23日に岡江久美子さんが亡くなる等、暗いニュースが続き多くの人が恐怖に怯え現実逃避をしていた最中、2020年6月8日より段階的ではあるが、 いち早く大阪の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」がパークの営業を再開した。
「コロナ前に少し戻った。」
このニュースを聞いた時、テーマパークに対しての興味の有無は度外視してもこう思った人は多かった。
これから「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の様に、「コロナ前に戻っていくのか」と安堵した人も数多く居たに違いない。
あの、不毛なマスクやトイレットペーパーの争奪戦も無くなり、味気の無い「家飲み」や「テイクアウト」ではなく、飲食店も再開し、全ての学校やビジネスが元通りに戻って行き、各営業店には徐々にお客さんは帰ってくる。
そして、新幹線や飛行機にも人が戻り、国際線の回復には少し時間はかかるけど海外ビジネスも息を吹き返すのもそう遠くはない。
少しでも、以前の状態がこれから取り戻せる。そう信じた。

 しかし、その希望の光だった「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」は、夏にオープン予定だった「スーパー・ニンテンドー・ワールド」は同年の秋に延期された。
9月15日には、パーク内で働く一部アルバイトの契約更新を取りやめたことを明らかにした。
そして、11月13日から始まったクリスマスイベントには、クリスマスツリーすら飾られなかった。
 私は、家族で実際にパークに何度か訪れたが、すぐに見て判る位にスタッフが少なかったし、中止されたイベントや閉鎖されているアトラクションやレストランもかなり目立った。
パーク内では、年間パスの更新を促す広告も異様に目につき、3密を防ぐ企業努力ももちろん伺えたが、実際にパーク内で楽しんでいるとよく判るのだが、オープンしているアトラクションやレストランが限られていることから、特にお土産売り場とレストランは3密どころではない混み具合だった。
しかし、9月19日からの4連休は、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の予想に反して、「GoToトラベル」の効果を大きく得て文字通りの「大入り」となった。
入場制限が行われ、ニュースに取り上げられるほど大盛況となったが、この4連休も同じくスタッフの数も少なく、イベントの中止や多くのアトラクションやレストランも閉鎖したままだったことから、評判はあまり芳しく無く、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」としては非常に大きなビジネスチャンスを逃してしまう結果となった。
今年の最大の目玉だった「スーパー・ニンテンドー・ワールド」は、翌年の2月4日にオープンの再延期が発表された。
苦しいのだ。

 「コロナ前に2度と戻れない」という意味合いに聞こえる、「Beforeコロナ」という言葉をチラホラ耳にし、同時に「Afterコロナ」という「COVID-19の拡大感染後の新生活様式」という、マッドマックスや北斗の拳みたいな「まるで核戦争の後」の様な強いネガティブイメージでありながら、現実逃避を絶対に許さない言葉で我々は閉じ込められた。
そして、「Withコロナ」という「完全に打ち勝つ事を諦めた敗北宣言」の言葉で、完全に僕たちの夢も希望も打ち砕かれた。
「希望を持つんじゃない」「あの頃にはもう戻れない」「タラレバは捨てろ」「現実として受け入れろ」
あの時、希望の光に見えた「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」でさえも苦しいのだ。
戻らない。

 7月22日「GoToトラベル」を開始し、ネットやテレビでは第2波が来たと騒ぎ始めたが、10月1日から「GoToトラベル」に東京を追加し「GoToイート」もスタートさせ、経済を回す為に日本経済再生本部と官僚が必死になった。
しかし、10月頃には日本ではコロナの死者よりも自殺者数が上回った。
私は電車で通勤しているが、「人身事故」で遅れや振替輸送の増加数は肌で感じて判る。
この「Afterコロナ」の世界では、そこで1つの尊い命が失われているにも関わらず、そこには報道の目は向けられなかった。
大阪に住む私が感じるのだから、人口密度が高い関東圏の方なら、もっと「人身事故」が多くなったと感じているだろう。
テーマパークを再開しても、飲食店が再開しても、新幹線や飛行機が再開しても、「鬼滅の刃」が爆発的な人気を博し、映画が空前の大ヒットをしても、こんなにマスクや手洗い消毒を徹底しても、「COVID-19」での死者よりも自殺者数が上回っていく。
どうあがいても、どんなに国が政策を打ち出しても全く経済が戻らないのだ。

 「インバウンド」即ち、「訪日外国人観光客」は当然「ゼロ」のまま。
それどころか、よく日本で活躍していた韓国人女性プロゴルファーでさえも、プレーの為だけに来日することすら出来ない。
日本にいる人だけでイベントを開催したとしても、多くのスポーツやエンターテイメントは、2020年12月の今でも「観客数制限」または「無観客」で行う。
9月19日に、観客制限が数万人規模でも行える様になった、にもかかわらずだ。
目に見えない物が相手だと、対処がとても厄介だ。
福島第一原子力発電所事故の時もそうだ。
放射能は目に見えない上に、その道のプロ以外には正しい対処が判らない。
今回の「COVID-19」も全く同じだ。
とりあえず、私たちは手洗いと消毒を頑張っているが、やっぱり目に見えないし、症状や感染についての詳細は、その道のプロ以外に判らない事が多い。
結局は国が様々な事を許可しても、経済を本気で回そうとしても、どうしても「責任」という言葉が主催者側には立ちはだかる。
「このコロナ禍において責任ある行動を」、「想像力を働かせて十分な対策・対応を」とまるで戦時標語様に、新聞やテレビそしてネットはもちろん、町中の張り紙まで書かれ、一挙手一投足を国民全員に監視されているある種の国民精神総動員の状態ではとても無理だ。
疑心暗鬼でいっぱいの電車内で、咳を一つするだけで周りの人から冷たい視線を強く向けられる。(そういう目で見られてるという思い込みもある。)
こんな状態では、この国を私たち日本人だけで経済を回すことなんて、到底不可能だろう。

 「Beforeコロナ」の生活様式を求めているのに、戻すことは許されない。
これまで、「訪日外国人観光客」でビジネスが成り立っていた所は、その中でも所謂「爆買い」していた「中国人観光客」は、全くいない。
いくら国内の移動と輸出入で日本経済を回そうとしても、「インバウンド」が「ゼロ」のままでは、約4兆5千億の経済効果をもたらしていた「訪日外国人観光客」がいないと回らないビジネスは数多くあり、それらは他の多くのビジネスに強く繋がり連鎖している。
飛行機や新幹線はもちろん、各地の観光名所となる所、お土産となっていた電化製品やブランド物からチェーン店の薬局も全て経済が戻らないのだ。
「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」も、残念ながらその一つだ。

 では、日本政府が「中国人観光客」の受け入れを、全面許可する日はいつ頃だろう。

 では、「インバウンド」の中心だった「中国人観光客」が、「Beforeコロナ」の時の様に「爆買い」をし、日本国内の各観光名所に押しかけても誰一人となんとも思わなくなるのは、今からどれくらい経つと可能になるだろう。

 では、日本だけではなく、世界中の各観光名所に「中国人観光客」が訪れても、彼らに何の支障もきたさない日を迎えるのには、今からどれくらい時間が必要だろう。

 一番最初の疑問については、日本政府の危機管理能力と経済対策の考え方と、表裏含む中国政府の要請に依存するだろう。
日本政府はオリンピック開催もあるし、中国政府が強力なチャイナマネーで両頬を軽く叩かれるだけで、国民の心理と乖離して意外と早いかもしれない。
 しかし、2つ目と3つ目の疑問はそうはいかない。
「Beforeコロナ」なら、日本国内の主に大阪と東京で「爆買い」をしてもらい観光名所で楽しんでもらい、沢山のお土産を買ってもらったりと全く構わないどころかむしろ大歓迎だった。

 しかし、今の「Withコロナ」の世界では、多くの死傷者を出した根本原因として、世界各国に「COVID-19」を撒き散らしたのは紛れもなく春節祭で世界各国に散った「中国人観光客」だ。
これについては、真意は兎も角、まず全世界共通認識だろう。
ただ、WHOのテドロスの言葉に耳をかさず、もっと早く危険性に気づき、もっと迅速に対応出来なかった僕たちも悪い。
正確な情報を元に最適な対応と、適切な対策をリーダーシップを持って行える政治家として立候補もしなければ、投票にすら行かなかったのも紛れもない事実だ。
こうなった原因の何もかもは、中国人だけではない。
その一端は、私たちも担っている。

 世界各国で、「中国人観光客」の受け入れを全面許可されたとしよう。
果たして「Beforeコロナ」の様に、「中国人観光客」に対して対応出来るだろうか?
そもそも、彼らは中国を出て海外で「心地良い旅」が出来るだろうか?
2020年11月30日月曜日の時点で、アメリカで266,873人、ブラジルで172,833人、イタリアで54,904人、イギリスで58,432人、日本で2,119人も「COVID-19」で死亡している。
 なによりも、仕事や学校はもちろん生活様式も激変し、かなり不自由な生活を強いられてきた上、沢山のイベントやエンターテイメントが数多く中止され、料飲店や交通機関や旅行代理店等も大打撃を世界中が受けた。
残念ながら、「中国人観光客に心地良い旅行」というのはまず無理だろう。
 世界の首脳陣に対しても、中国政府がチャイナマネーで両頬を叩いて全面受け入れを許可させても、それぞれの国民の心理としてまず許されない。
「中国人観光客」に対して入店を断ったり、土産物を売ってくれなかったり、法外な値段設定されたりすることもあるだろう。
現時点でも、既に日本人が中国人と間違えられて被害に遭う事があるのに、「中国人観光客」が観光地を歩いていて、場合によっては様々な心情から良くない事件が起こり、最悪のケースとしては「中国人観光客」が旅行先で命を落とす事も十分に起こりうる。
こんなことは考えたくないが、そんな悲惨な事が頻繁に起こっても、中国人に対して理不尽だと心の底から強く思う人は、残念ながら多くは期待出来ないだろう。

 では、「Beforeコロナ」に大金を落としてくれていた「中国人観光客」に対して、偏見の目を持たず、恨みつらみも持たず、彼らに対してフラットな対応が出来る時。
少なくとも「Beforeコロナ」と同じ対応が取れ、多くの人々が必要としている「コロナ前の生活」を迎えるのには、今からどれほどの時間が必要とされるのだろうか。
5年後? 10年後? 50年後? 100年後? 1000年後? 2000年後?
今の「Withコロナ」時代を抜け出し、暗い世界線を指す「Afterコロナ」なんて言葉を蹴っ飛ばし、皆が本当に求めている、あの健全に(少なくとも今よりは)経済が回っていた「コロナ前の生活」を心地よく迎える迄には、今の質問に対して「貴方の頭に思い浮かんだ期間」が「真の答え」だと私は思う。
この約1年の間に、世界中の多くの人が苦しみ、本当に多くの人が亡くなった。
フランスのマクロン大統領が「我々は戦争状態にある。」と語った。
故意でなくとも、当事者ではなくとも、その直接の原因を作る一端を担った「中国人」に対して、全世界の人々が恐怖感も憎悪も抱かずに、「Beforeコロナ」の時の様に、私達の心の整理が出来る日までには、「貴方の頭に思い浮かんだ答え」だけの期間が必要となり、それまでは「Withコロナ」「Afterコロナ」という暗く先の見えないトンネルを私達は、様々な種類の犠牲を、想像より多く払いながら歩き続ける事になる。

 希望的な「Afterコロナ」は訪れない、たった一つの理由は、
「貴方の頭に思い浮かんだ期間が必要となるから」だ。


率直に申し上げます。 もし、お金に余力がございましたら、遠慮なくこちらまで・・・。 ありがたく、キチンと無駄なく活動費に使わせて頂きます。 一つよしなに。