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ウズベキスタン通貨が難し過ぎる話

私「再来月5連休とれることになったよ」
N「まじ?旅行行っちゃう?どこ行く!?」
私「えー!そういえば先週世界ふしぎ発見でウズベキスタンやってて凄かった!」
N「ウズベキスタン?!行ってみたかったんだよね!行こ!」

旅行に関してはウルトラフッ軽女2人組なのでウズベキスタンに行くことが一瞬で決まった。

ウズベキスタンに関しての知識は私が世界ふしぎ発見で得た、スーパーインフレ中なことと、建築物が超すごい、くらいだった。

ウズベキスタンの通貨は「スム」で、1番簡単に言うと10000スム=100円=1ドル。

こう見ると簡単なのだが学生時代の数学の成績が5段階評価で滑り込み3の私たち(しかもほぼ関心意欲態度で成績を取っていた)にとっては頭を悩ませる方程式だった。数字がデカくてパッと理解できない。

さらに当たり前だがとんでもない札束になる。
それがさらに私たちを惑わせるのだ。

スムに換金しようとした際、円からスムに変えることはほとんど出来ないというネットの情報があった。日本で円からドルに変え、現地でドルからスムに変えるという流れが一般的だそう。

また現地ではドルも普通に使えるとのことだったのでドルも持ち込んで、大きい金額のもの以外は優先的にスムを使って行こうという話でまとまった。

そして出発日。
韓国の金浦空港に着き、5時間のトランジット時間内に仁川空港に移動してまた飛行機に乗り、ウズベキスタンの首都タシケントに到着だ。羽田で日本時間の朝9時の便に乗って、着いたのはタシケント時間の夜の20時20分だった。

初の中央アジア。今まで来たことのない空気感にワクワクとドキドキと疲労感が混ざる。
中央アジアで1番大きい空港だというのにとても小さい。

というかウズベキスタン人、荷物が多すぎる。私たちのスーツケースが出てくるまで1時間待った。

荷物を受け取って無事換金も終わり、タクシーを探す。ホテルまでのタクシー料金は2〜3ドルが相場だとホテルからメールが届いていた。

ウズベキスタンはメーター制ではなく交渉制なのだが、寄ってきたタクシー運転手は「10ドル」だと言う。

この疲労感の中とんでもないぼったくりだ。
まだこの土地にも、現地通貨の相場にも慣れてない私たちは交渉を続け、最後はもう面倒臭くなり4ドルで折れてタクシーに乗り込んだ。

日本円で考えると400円。…安。もういいや。

タクシーとは思えないモノクロのアメリカ映画に出てきそうなボロボロな車に乗せられる。
運転手は英語が全く通じず、ロシア語だかウズベク語だかでガンガン話しかけてくる。

Googleマップを見せ、ホテルの場所を伝えると、「OK」というのでとりあえず任せることにした。

さあ出発と、Nが後部座席ののドアを閉めると、運転手は「No!!!」と言い、わざわざ車を降りて外からバンッッッッッ!!!!!とドアを閉め直した。

ドアの調子も悪いボロッボロの車。そしてかなりハイスピード。

空港を出てすぐに見えた景色はネオンのゲートが幾つもあり、興奮が高まった。

「え、マリオカート?」「レインボーロード?」

爆速の車が止まり、ホテルに着いた、と言ってきたが別のホテルだった。
正しいホテルまで連れて行ってもらう為、再度車に乗り込む。(また助手席のドアを閉め直された)

少し進むと結婚式の後の2次会らしきものが行われていて、道路の真ん中で爆竹を上げているせいで渋滞が起きていた。

さすがの私たちも若干恐怖を感じたが、現地のタクシードライバーは果敢にも渋滞をすり抜けようやく私たちのホテルに到着。

ようやく休める。日本から遥々、長い旅だった。さて4ドル払うか…と思ったその時。

「大丈夫ですか?」

男性の声で日本語が聞こえた。
目の前にはどこから出てきたのか、ヒョロヒョロで高身長の日本人のおじさんが立っていた。

現地に住んでいる日本人なのだろうか、
こんなところに若い女が2人で心配して寄ってきたようだ。

私たちは何も問題は起きてないし、「大丈夫です」と答えると、「タクシー代いくら?」とさらに訪ねてきた。

「4ドルです。」と答えると
「4ドル?!!?!!?」とおじさんは騒ぎ立てた。

「高くない?!」とおじさんは言うが私たちは一応2〜3ドルで乗れることを知っている上で交渉して4ドルに納得して乗ってきているわけだし、でもあまりにも現地の人っぽいおじさんが騒ぐから「そんなに高いですか?」と一応聞いてみる。

タクシードライバーは手のひらを広げ既にお金を受け取る体制だし、私たちは札束に手をかけている。
今更おじさんの意見を聞いたところで…なのだが、おじさんが英語の通じないドライバーにウズベク語やらで交渉してくれるのならありがたいと思い、念のため。ところが、

「高いよ!だって4ドルでしょ?400円…あれっ…40000スム…あれっ…4000スム?ん…?」

………………。

現地の人っぽいおじさんは全く役に立たなかった。

ドライバーは肩をすくめ呆れているし、私たちは「大丈夫です」と伝え4ドル払ってホテルに入った。

訳の分からんおじさんでも混乱させてしまうウズベキスタンスム。恐ろしい。

次の日から3日間滞在する予定だったが、1日目の観光を終えた時点で自分のお土産(ウズベキスタンの中では高価な物)をたくさん買った私は夜ベットでスム紙幣を広げて絶望した。

このままだと全然お金が足りない。

街には円を両替できるところもないし、あと2日間もう自分へのお土産をは無しにするしかない。悲しいがそう決断し、スムもドルも出し渋ることにした。

そうして過ごしていたが、あることに気付く。

レストランでたらふく食べて600円。(小籠包みたいなものと特大ラム肉とサラダで全部合わせて1人の金額)

地下鉄に乗って14円、タクシーに乗って200円(交渉できるようになった)、500mlの水が10円……あれ??

お土産を買わなければ、全然お金が減らないのでは?

さらに驚くことが起きた。
サマルカンドからタクシーで40分ほどのウルグットバザールに行った時のこと。
ウルグットに向かう時は交渉して600円で乗せてもらった。

行きと同じ値段で帰ろうと思い「600円で乗せて」と交渉したら、ドライバーに
「No!!5ドル(500円)!!」とまさかの値下げされたのだ。

もう相場がわからない、難しすぎるウズベキスタンスム…

そして最終日、スムを残しても困るからとスーパーで大量にお土産を買ったが、全っっっ然お金が減らなかった。全てが安過ぎる。

結局日本に帰ってから計算すると、3000円分のスム紙幣が残っていた。

途中ホテルのベットで絶望したことも、自分用のお土産を我慢したことも無意味だった。

最後までスムを使いこなすことは出来なかった。3000円分のスムがあればまだまだ遊べたはずだ。

ウズベキスタンはご飯も美味しく、人も優しく、街は美しく、そしてお金のかからない素敵な場所だ。

けれど未だに私の手元には、ウズベキスタンでの楽しい思い出と、300000スムと、助けようとしてくれたあのおじさんが何者だったのかという疑問が残っている。

#ウズベキスタン #スム #タシケント  #サマルカンド  #日記 #エッセイ #旅行記

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