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たましい、あるいはひとつぶんのベッド

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「君は前提的なものってあると思う?――吹き荒れる嵐のような祖父とその相続を巡り、惨禍を抜けたミチルと、祖父の定めた通りにミチルとの結婚を無垢に求めるノボル、そしてミチルとミチルを…
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2016年10月の記事一覧

たましい、あるいはひとつぶんのベッド 3‐1

*タイトルは哉村哉子さんによる

 ミチルが深山ノボルと初めて出会ったとき、彼は綿の花のような不思議な壁の部屋の中で眠りこけていた。あるいは気を失っていたというのが正しいのかもしれない。何故ならそのとき彼は監禁されていて、与えられる食事も満足に摂らずにいたからだ。

 彼女がノボルを見つけたのは祖父の屋敷にある書斎で、本棚の裏側に隠されていた座敷牢だ。使用人があらぬ場所へ食事トレーを持って歩いてい

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たましい、あるいはひとつぶんのベッド 2-2

*タイトルは哉村哉子さんによる。

 探偵に紹介されたアパートは現在居を構えているところから、電車で二十分ほどのところにある。物件は駅から歩いて十数分と聞いていた。その駅はいわゆるターミナル駅とよばれるもので、私鉄や市バスの乗り換えのために目に見えて人の行き来が盛んだ。そのために周辺は百貨店や専門店などの商業施設が充実しており、また居酒屋やレストラン、カラオケなども立ち並んだ繁華街になっている。今

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たましい、あるいはひとつぶんのベッド 2-1

*タイトルは哉村哉子さんによる。

 数十年間生きてきた中で彼女も幾度かは経験をしてはいたけれども、新しく住む場所を見つけるというのは、やはりなかなか難しく慣れない作業だった。

 立地が良ければ賃料が高く、賃料が安ければ物件に瑕疵がある。瑕疵が無ければ隣人か大家に問題がある。女独りだからといって一階はダメだの二階は危ないのだのといわれたり、あれこれ詮索されたりするのは真っ平御免だった。

 そう

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