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四行小説

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だいたい四行の小説。起承転結で四行だが、大幅に前後するから掌編小説ともいう。 季節についての覚え書きと日記もどきみたいなもの。
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#インク

404 //211204四行小説

 書いている最中は水色なのに、だんだん色がブルーグレーに変色していく。古典インクとは、古くに使われていたインクの技術であり、インクの中に鉄分が多く含まれていて酸化することで色の変色が起きるインクだった。利点としては、水に強く滲まないため、ハガキ等の郵便物にも使えるということだろう。
 『404』という名前のインクは、買ったものではなくおまけとして貰ったものだった。『存在しない』という名前のインク。

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インク //211008四行小説

 万年筆に入れるインクに悩み始めて十分が経つ。濃いめの色を入れようとは思っているのだが、ワインレッド、セイルブルー、エメラルド……どの色にするか中々決まらない。
 それもそのはず、別に万年筆を使う用事がないからである。書くものが決まっていれば用途によって色も決められるのに、何も決まってないのである。手帳に予定を書くか、少し勉強するか━━とはいえやることは作れるので、インクを入れた後のことは入れた後

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