立体映写機
そこには、
綺麗な花が咲く丘も、
底のよく見える海も、
果てしなく続く星空もない。
ピカピカの夜景もなければ、
オシャレな建物があるわけでもない。
そこには、一つのベンチがあった。
君と座るこのベンチでの時間はあっという間だった。
昨日あった出来事、
頑張った仕事の話、
行ってきた場所、
何度繰り返したか分からない思い出話。
他愛もない会話と、君の笑い声で作られたそのベンチは、
そこに座る僕にとっての、
花であり、
海であり、
星だった。
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