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【新人研修】不動産買取は悪か?

皆さん、こんにちは。さだ利です。
今日は不動産買取について、新人研修用に記載させて頂きます。

不動産買取とは?

当社のメイン業務の1つでもある、不動産買取業。
これは、売主様から不動産を購入させて頂き、加工して、次の買主様へ売却するという業務です。一般的に不動産買取対象になる不動産とは、『相続等により受け継いだ家を売却する』『住み替えですぐ資金が必要』『近隣に知られずに売却したい』『単純な資産処分』といったいったケースが多いです。

不動産買取を売主様が選択された場合、一般的には市場で売却される金額よりも低い金額での成約になるという点がデメリットとして挙げられます。メリットとしては、『売主様の瑕疵担保責任免責(売却後に見えないキズが発見されても売主様は責任を負わないという内容です)』『現金支払い』『期日調整がフレキシブル』『リースバック可能(売却後も数週間から数ヶ月の一定期間、賃料支払う条件で住むことができる)』という点が挙げられます。

売買仲介の新人が考えてしまうこと

このような不動産買取ですが、私が新卒で売買仲介をしていたころ、このように思った事があります。

【買取は売主様にとって損ではないか?】
ということです。

少しずつ仲介の実績ができると、上記のように考える人は多いと思います。
一般市場に出す方が高く売却できるのに、買取業者への売却を提案することは悪ではないか?と考えてしまうのですが、これは誤りです。

買取業者はいくらで買うのか?

前述の通り、不動産買取は一般市場での売却と比較すると金額が低くなる傾向にあります。買取業者も事業目的(転売目的)で購入するので、加工後の売却価格からの逆算し、自ずと買取金額は下がります。新人はこのことに疑問をもつのです。

でも本当に大幅な金額減額なのでしょうか?
具体例でみてみましょう。
例えば現状のままだと1000万円で成約想定される物件があるとします。この物件に350万円分の加工を施したとして、1,350万円が買取業者が売却する際の金額だとします。一般的に買取業者の買取金額は6~7掛けと言われていますので、この1,350万円から逆算して800万円~900万円程度が買取金額になるでしょう。

いかがですか?全部の物件が上記のような内容になるとは限りませんが、現状での価格と比較するとそこまで大きな減額とはいえない場合も多々あるのです。

売主様にとっては、ある意味賭け

また、【買取】の対象(もしくは買取に向く)物件というのは、そのままでは流通しづらい物件です。そのまま市場で売却活動を行ったとしても、当初目論んだ金額で売却できる可能性というのは低く、市場で活動を始めたはいいが、全く売れないという結果になることも多々あります。(売主様の機会損失)

「一旦市場にだして、売れなかったら買取業者に買ってもらえばよいのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、そうもいきません。

市場にでて売れなかった物件であれば、「その金額では成約出来ない物件=現状価格はもっと低い」と買取業者は判断し、市場に出す前に提示した買取価格より実際の買取価格が下がってしまいかねません。

市場にだすか、買取にするかは、ある意味売主様にとっても賭けなのです。

買主様の立場でも考えてみて下さい

そして、加工されていない物件を購入しようと考えるのは、ご自分でリフォーム会社に依頼できるような方(少数派)やセミプロです。

少数派の理由は、現状で購入し、自分でリフォームを施すとなると、(もちろんリフォーム代を現金で支払う人は別ですが)ローンを借り入れる場合に、リフォームのような諸費用には住宅ローンが利用できず、別金利で借り入れるか、もしくは借入不可になることもあり、購入しづらいからです(銀行により異なります)。

リフォーム済の物件であれば、買主様は住宅ローン借り入れのみで物件を購入できますので、買主様にとっても買取後リフォームされた物件を購入する方がメリットになることがあるのです。

また、売主である宅建業者が【瑕疵保険】に加入してくれていれば、住まい給付金の交付や減税を受けられる場合もあります。

円滑な流通を促すことこそ正義

結局のところ、売主様に対して、
①本物件の特性
②本物件の現状での市場流通可能性
③通常売却価格と買取価格の提示、それぞれのメリット・デメリット説明
④予想される未来予想図
⑤自分自身の意見
これらの内容をしっかりご提案し、選択の機会を与え、
納得頂いたうえで、売主様が【買取】を選択されたのであれば
正しいのではないでしょうか?

仲介担当者が行うべきことは、リスクの説明をしっかりしたうえで、
プロとして、売主様に選択の機会を与えることです。売主様にとっても大きな賭けの要素もある選択になるので、しっかりご説明を行いましょう。

買取にする方が円滑な流通となるのであれば、結果売主様にもメリットとなります。【金額】の1点だけに焦点をあてて考えると、売主様の機会損失が発生するかもしれませんので、気を付けなければなりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
少子高齢化で相続や空家問題が増えている中、不動産買取の要望は今後も増えてくるかと思います。

上述の通り、【金額が下がる=悪】ではありません。

売主様にとって、何が一番円滑な流通になるかをしっかり考え、ご提案する事こそ、売買担当者に求められている事です。

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