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新作先読み感想まとめ(文学フリマ東京39)
文学フリマ東京39にさきがけて、新作を信頼・尊敬する方々に読んでいただきました。
お忙しい方ばかりなのですが、みなさんお引き受けくださった上、熱い感想をお寄せいただきました。
一気読み!!!
RYさま(会社員)
この方の言葉には温度がある。塚本さんの本を読むたびに強く思います。
その温度が時に全てが凍るほど冷たく、時に全て燃え尽きるほど熱く、時に温かく全てを包み込むように感情を揺さぶってきます。
新平に彼女が出来た時の、間接的なのに何が起きたのか全て把握できる表現も最高。
この表現だけでも読む価値ありの一冊です。
この小説は、『般若の面』
石川眞貴さま
(株式会社じゃこめてい出版
代表取締役)
この小説は、「般若の面」。
人(孤独)であることの哀しさと愛おしさに引き込まれ、身悶えさせられます。
最初、ホラー小説?サイコパス小説?と思わせる展開と「おばあちゃん」というアットホームなキーワードの変則差に新しさを感じました。 短編ですがとても読み応えがある素晴らしい作品です!
ヒトのことをもっと好きでいたいなと思った夜に是非
前田直樹さま(映画監督)
市民権を得ることが容易ではない性質を持つ者たちに光をあてる小説。
登場人物たちは「こうあるべきだ」という曖昧なフィルターからはこぼれ落ちてしまう存在なのかもしれない。 でも塚本さんの言葉のマジックにかかると人間らしく愛おしい身近な存在に感じられる。
ヒトのことをもっと好きでいたいなと思った夜に是非。
これは危険なやつだ。心の危ういところをぐりぐりほじくってくるやつだ
星読み絵本作家 neneさま
ちょっと大人な、エモい系の恋愛小説なのかと思った。
最初の何ページかまでは。
でも読み進めていくうちに
なんだか雲行きが怪しくなってきた。
「これは危険なやつだ」
「心の危ういところを
ぐりぐりほじくってくるやつだ」
途中で気づいた。
でももうやめられない。
怖いのにおもしろい。
暗いのにどこか美しい。
矛盾する気持ちが
ふしぎな相乗効果になって
続きが読みたくてページを捲る速度が速くなる。
田舎から出てきたアラサー女子が、
男友達との微妙な関係に
迷ったり悩んだり翻弄されたりする。
簡単にまとめるとこういう感じなんだけど、
女性の不思議な出自とおばあちゃんによって
物語がRPGのダンジョンみたいに
一気にナゾめいて奥深くなる。
これはホラーなのか
ラブストーリーなのか?
サスペンスのようでもあり
ファンタジーな要素もある。
感覚的には一種の
「闇鍋」に近いのかもしれない。
次は何が出てくるんだろう。
ワクワクするけどこわい。
こわいけど覗いてみたい。
食べてみたらちょっと苦かったり、
そう思えば突然甘かったり、
途中でものすごーく辛かったり。
でもそれがなんか楽しくて、
そして不思議な美味しさは
ベースにあって食べるのをやめられない。
ベースが「美味しい」のは、
そこかしこに丁寧に描かれる主人公の
感情の表現がどれもとても
リアルだからだと思う。
「この気持ち知ってる」
「わたしも味わったことある」
「これ辛いんだよなぁ…」
ありとあらゆる方法で言葉が魔法みたいに
紡がれて、過去の自分の恋愛経験や
人間関係でうまれて心に蓄積していた
モヤモヤした気持ちを紐解いてくれる。
たまに片結びみたいに強く結ばれたところは
解かれるときちょっと痛い😭
でも放たれた後は心地いい。
ラストシーンの主人公とおばあちゃんの
会話がすごく好き。
塚本はつ歌さん改め、
感情の言葉の魔法使いサマ。
わたしの過去の恋愛も、
浄化してくれて、ありがとう☺️☺️☺️
深く暗い貝の中でみる夢は…
鎧は脱げたけれど呪いは解けきれていない女 さま(会社員)
5月の文学フリマにて販売された「縁側ごろごろ日和」と全く毛色の違う本作。
完全に油断していました。
読み始めは、少しビターな恋愛小説、かと思いきや、ほろ苦どころか…激苦!!
拗らせすぎた主人公が若き日の自分にも重なり…見事に抉られました。
でもね、苦いのってクセになるんですよね。某青汁のように…もう一杯!と
短編とは思えぬ重量感ある作品でした。
一緒に収録されている「あの子のブラシ」と合わせて、自分への呪いでがんじがらめになり苦しんだ事がある人に読んで欲しい作品です。
こうも愛おしく思えるのはなぜだろう
松本貴子さま(編集者)
この小説には、
「走り幅跳びみたいに何メートル以上飛んだら恋人、それ以下なら友人なんて、きっちり決められるもんじゃない関係」
の男女が登場する。
彼、彼女が互いに距離をとったり詰めたりする時の一挙手一投足が、「他者から期待される●●像」や「性の役割」に苦しむ人間の心模様が、こうも愛おしく思えるのはなぜだろう。
塚本さんの小説を読んでいると、物語を鳥瞰する塚本さんと物語をその肉体に包蔵する塚本さんの二人に出会う。
そのゆらぎやねじれこそが、「なぜ」への答えなのかもしれない。
読み終えて、やべぇなと言ってしまった
進藤きいさま(シナリオライター)
読み終えて、やべぇなと言ってしまった。
なにか書こうとしても塚本さんの表現のあとには陳腐になるから書かない。 ただ、これは恋の話。
私の心のなかに腕を入れてすくいだしたら、たぶん同じものがでてくる。
気づきたくなかったけど。
文学フリマ東京39
📚日時:12月1日(日) 12:00〜
📚場所:東京ビッグサイト(西3・4ホール)
📚入場料:¥1,000
📚出店名:塚本はつ歌
📍ブース位置:え-25
📚新作:貝のなかには寝床があって
(表題作ほか短編一本を収録)
💡既刊、無料配布、商業作品もあります!
カタログ:
https://c.bunfree.net/c/tokyo39/w/%E3%81%88/25
ここにいます。
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