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星のない街

雨の舗道を歩く

スクランブル交差点  赤に変わる  クラクションが鳴る  慌てる  転ぶ  膝を擦りむく  駅に向かって歩いてく

最終電車はもうない  始発を待つしかない

繁華街へと振り返る 一人で行く勇気なんかないくせに

真夜中サングラスを外す  涙がこぼれる   明るい夜空に瞬く星が見えない   この街には星がない

お父さん、迎えに来てよとべそをかいている

一人きり夜を渡る   あなたを想い泣きながらワンピースのすそが雨に濡れてしまうのを諦める

淋しさ丸出しでとぼとぼガード下を歩いてく

おねえさん一人?ねえ、おねえさん!!

苦笑いしながら逃げる  ついてくる男を振りきろうと回り道したら先回りしている

隙をついてみぞおちに拳を入れてごめんなさいと走る

嫌だ   女が一人だから 女だから甘く見られる

強くなりたい  電車はないけど足が勝手に駅へ向かう

夜空にはやはりひとつも星はない

晴れていても雨でも星が見えない

なぜ隣に誰もいないの?独り言が唇からこぼれる

せめて星が見える眠れる夜にいきたい

降りしきる雨は小さくなった 
街に一人きりの私の涙が雨に溶けていく

その日から笑えない私は仮面をつけて生きていくと決めた

眠らない街でそっと仮面をつける

私の涙は赤いからまた仮面の上から夜に不似合いなサングラスをかけて

まっすぐに歩いていく

眠らない街の駅に歩いていく

私はお人形じゃない   人間なのだ

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