四条・五条の穴場を求めて
まだ、夏の記事です。京都遊覧記第11回。鴨川東岸の四条から五条にかけて散策した。四条といえば、通りを突き抜けた先にある八坂神社。五条といえば、産寧坂を駆け上がった先に見える清水寺が有名なのではないだろうか。そして、八坂神社から高台寺、清水寺へと散策するルートが定番ルートであろう。しかし、今回はあえてそのルートを外れて、四条と五条の魅力を余すことなく伝えたいと思う。
それでは、いつものようにルートを。
1.親鸞ゆかりの地
最初に訪れた地は赤丸で示された東大谷。東本願寺の飛地境内で、親鸞の墓所であるらしい。東大谷墓地が隣接しているため、参拝者が絶え間なく訪れる。
少し話を飛ばす形になるが、西大谷も訪れた。西大谷も親鸞の墓所であり、同様に墓所が隣接しているが、先ほどの東大谷とは異なる点がある。東大谷は東本願寺に属し、西大谷は西本願寺に属するのだそうだ。東本願寺と西本願寺の違いについては、また今後の記事で触れることにする。
こちらは西大谷。西大谷の方が敷地が広かった。どうして、似たような場所に墓所が2つもあるのか。宗派の違いだけではないと考えられる。かつて東大谷や西大谷が位置していた地域は鳥辺野と呼ばれており、京都の葬送の地であったのだ。歴史を地理で考えてみることで、色々なことが見えてくる。
2.清水寺周辺の人気スポット
さて、話は戻って、東大谷から西大谷の道中へと戻る。高台寺へと繋がるねねの道を抜けて、清水寺へと向かう道の途中に、八坂庚申堂が位置している。
お手玉のような形をしたものがたくさんくくりつけられている。境内のあちらこちらに見られるカラフルな物体。「くくり猿」と呼ばれるアイテムで、吊るすと願いが叶うと言われているのだ。なかなかユニークな寺院だ。浴衣との相性は抜群だろう。
話は西大谷へと戻る。西大谷から五条通を西へと進むと若宮八幡宮へと辿り着いた。鎌倉時代には源氏一族、室町時代には足利将軍家から信仰を集めていた神社だそうだ。現在では毎年8月に陶器祭が行われることでも知られている。確かに、五条は陶器販売を中心としたお店が多い気がする。歩いてはじめてわかる京都もまた、趣がある。
3.日本史の舞台へ
若宮八幡宮から少し進んで、右へと曲がると、平安時代の歴史がそこにはある。
六波羅蜜寺である。「六波羅」といえば、聞いたことのある人もいるかもしれない。平家が拠点をおいた六波羅でもあり、承久の乱以後に鎌倉幕府が設置した六波羅探題の「六波羅」でもある。六波羅蜜寺を開いたのは、平安時代の僧・空也である。口から南無阿弥陀仏の6文字が飛び出ている空也像を日本史の図録で見たことのある人も多いのではないだろうか。六波羅蜜寺の宝物館には、前述した空也上人立像だけでなく、伝・平清盛像も保管されている。日本史好きなら行って損はない地だ。
六波羅蜜寺から少し北に進んで、東の方角へと進むと、また何やら面白そうな寺院が見えてくる。この世とあの世の境目、六道珍皇寺だ。小倉百人一首歌人としても知られる小野篁は、ここにある井戸で冥界とを行き来していたらしい。
毎年盂蘭盆の日に行われる迎え鐘。先述したように、この地域一帯は鳥辺野と呼ばれている地域であり、やはり「死」という概念と切り離すことができない。歩いてみると、土地の特色がわかるようで、なかなか面白い。
ちなみに、幽霊子育飴も近くで販売している。甘みの抑えられた素朴な味わいだ。どこか懐かしさを感じる味だった。
4.祇園の街並み
六道珍皇寺から西の方角へと進むと、また京都に入り込んだ気がする。
宮川町。京都を代表する花街だが、ご時世のため、閉店している店が多かった。少し残念だった。大人になったら、花街の趣も感じられるようになるのでしょうか?
商売繁盛、恵比寿神社も近くに位置する。どうやら日本三大えびすの1つに数えられるらしい。臨済宗の祖・栄西が建仁寺建立の時、鎮守社として創建した。建仁寺は恵比寿神社のすぐ反対側、行くしかないですよね?
5.建仁寺
京都五山第三位、建仁寺。
拝観料を支払い、中へと進む。
入り口には風神雷神図屏風が!そう、建仁寺は俵屋宗達の代表作・風神雷神図屏風があることで知られているのだ。陶板複製品ではあるが、興奮せずにはいられない。
広がりのある庭園。いつまでも庭園に浸っていたい。
法堂の天井には2匹の龍が描かれている。迫力がすごい。臨済宗の寺院には、雲龍図が描かれていることが多いが、建仁寺は、雲龍図ならぬ双龍図。しばらくの間、圧倒されていた。
海北友松の絵画も展示されている。建仁寺には彼の絵画作品が多い。なんとも綺麗な絵だろうか。500円でこんなに見ることができるとは、建仁寺さん、太っ腹ですね。
木漏れ日、という言葉が好きだ。日本語でしか表せない独特で美しい言葉。この写真には「木漏れ日」が似合っている。もう1度聞くけど、建仁寺さん、本当に500円でこんなに見せちゃっていいんですか?
また訪れたくなる、京都の夏。
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