「魔法の修理屋」 短編エッセイ

「魔法の修理屋」Nオート
実家近くにある自動車修理店

僕の古い車は2台ともここで修理している
付き合いはまだ浅い

私の昭和年式の愛車Sが　もうガタガタで
どうしようもなくお手上げ状態で
とある日
日本を代表する某ディーラーに持ち込んだ

「うちでは無理ですね」
と　ディーラーのメカニックは車を詳しく調べることもなく
一目見て一瞬で言い切った

私は「それでもディーラーですか？　
この車を製造したのは御社でしょ？」
「ただ年式が古いだけで何も点検もしないで見捨てるのか」と問いただした

ディーラーの回答は
「古すぎますね　責任を負いかねます」
の一言だった

私はその時
世界の○○○と象徴される某ディーラーの
ほんとの底を見た気がした
と同時に　あまりにも愛車が悲しく　可哀そうに思えた

そんな時　父に相談したら
「ここなら多分大丈夫じゃないかな」と言って
Nオート（仮名）の存在をおしえてくれた

私は早速Nオートへ電話をした
ことの成り行きを説明すると　車を見ていないのに代表のN氏は
「あ～大丈夫ですよ　まだまだ乗れますよ　車検もとれますよ」
とあっさり言った

N氏は
私の愛車Sは古すぎてあらゆる部品が現存しないので
他の車の部品や　ホームセンターにあるような材料で
上手く工夫して修理してくれる

純正部品がなければ　代用品で加工するのだ素晴らしいの一言だ

これはもう「ものづくり」だ
クリエイティブの域だ
ただの修理ではない

Nオートは　純正部品がなくても
常にその欠陥部を発想とスゴ技で解決し　
車検をクリアする
おまけに一般的な町の修理屋より料金が安い
ここは「かけ込み寺」と言っていいい

ディーラーに見放され
他の修理工場へも持っていきようのない
困った車ばかりを受け入れてくれるのだ
困った人や貧乏人の味方とも言うべきNオート

N氏は車を工作のような感覚で修理して
いつも涼し気な顔をしている
何も特別なことはなかったかのように

車の修理だけではなく
税金　保険　事故　すべてのことに関して
妙案とも言うべき
奇想天外な発想・手法で見事に解決する

これはもう
「魔法の修理屋」
Nオートあっての私の愛車Sだな
Ｎ氏には長生きしてほしい
しみじみと…思う

2024年　7月13日