熊本旅行記(5日目 熊本市)
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2018年2月17日
早朝、Dちゃんがバタバタする音で目が覚めた。
「バスルームの水道が、お湯の栓をひねっても、水の栓をひねっても、熱湯しか出なくなっちゃって」
「えっ」
「フロントに電話する。うるさくするけどごめんね」
すぐにホテルの人が来てくれた。つなぎを着た技師のおじさんも一緒で、水回りをあちこち調べてみたものの、
「訳が分かりませんな」
とお手上げ。お湯が出なくなるならともかく、お湯しか出なくなるなんて。
幸い隣が空室で、そちらを使えることになり、Dちゃんはシャワーを浴びに行った。手を洗うくらい平気だろうと、元の部屋のトイレに入ってみたら、みるみる熱湯になってしまい大変だった。トイレを流す水も熱湯だった気がする(レバーが熱かった)
朝食後、荷物も全て移動させ、本格的に隣の部屋に引っ越した。元の部屋より豪華! 広々として明るく、休憩用のソファーもある。窓も大きい。
「名古屋城がよく見えるよ」
とDちゃんが言うから可笑しかった。こんなところで名古屋城を見てどうする。
青空の下、修復中の熊本城の天守閣が、独り占めするように綺麗に見えた。
寂しいことに、豪華な部屋とはすぐにお別れ。午前のうちに熊本を離れるのだ。ホテルをチェックアウトし、市電(路面電車)の停留所へ。熊本市に滞在中、ずいぶん市電を利用した。段差がなくて乗りやすく、本数も多くて便利だ。
路面電車が人々を運び、賑やかで、しかし東京より少しおっとりしている。車両と熊本城を見つめながら、
「ああ、ここが、あの子の育った街なんだ」
と実感した。まだ書き終わっていない小説に出てくる、私しか知らない架空の男の子。熊本のことはガイドブックやネットで調べて、ただひたすら想像していた。そんな乏しい情報だけを頼りに書いたのに、私は大きく間違いはしなかった。読んだ人がどう感じるかは分からないけれど。
まずは書き終わらせないとね!
九州新幹線に乗るために熊本駅へ。移動中に食べようと「陣太鼓」というお菓子を買ったら、
「鶴屋に行ったんですか?」
とお店の人が目をキラキラさせて尋ねてきた。Dちゃんが鶴屋の紙袋を持っていたのだ。熊本の人たちは何故これほど「鶴屋」に反応するのか。原理は分からないが、熊本の人と仲良くなりたいと思ったら、真っ先に鶴屋の紙袋を手に入れるべきかもしれない。
「さようなら」
親しげに話しかけてくれた、熊本の人たち。熊本弁はほとんど聞けなかったけれど、熊本特有の、人と人の距離の近さを感じられた気がする。
「ありがとう」
熊本にいる間、あらゆる場所でこの言葉を見た。地震の時の支援に感謝するものだ。
生活を立て直し、美味しいものをいっぱい食べさせてくれて、こちらこそありがとう。
<旅の備忘録>
☆ホテルに頼んで荷物(スーツケース)を宅配便で送ってもらったら、帰り道が非常にラクだった! 旅行疲れも減るので、使えるものはケチらず使おう。
☆熊本市の中心は熊本駅ではなく熊本城です。交通網も繁華街も熊本城から伸びているので、熊本城前のホテルに泊まって正解でした。
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