鳥取大山登山旅行記~妖怪もちょっとだけ~その1

2019年8月8日
「キャー!」
「怖い~!!」
 周りは子供だらけで、離陸の瞬間、いっせいに叫び声を上げた。Dちゃんは秋になってから夏休みを取ることが多いので、お盆近くに国内線の飛行機に乗るのは初めてかもしれない。こんなに賑やかになるのか。

 高度が上がるにつれ、カバンに入れて持ってきた万年筆が気になり始めた。気圧の変化で耳がポコポコしている。つまり万年筆の中の空気も膨張し、インクが吹き出しているかもしれない。ベルト着用サインが消えたので、おそるおそるキャップを開けると、全く汚れていない、いつも通りのペン先が出てきた。セーラー万年筆バンザイ! さっそくノートを開いてこの旅行記のためのメモを取り始めた。

 飛行機が向かう先は、鳥取県にある米子鬼太郎空港。もともと水木しげるの大ファンで、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎(第6期)」にもハマったため、二度目の聖地巡礼である。前回はまだ雪の残る春先に、大山(だいせん)と境港を駆け足で巡ったが、今回は大山で夏山登山をする予定だ。

 羽田から米子までは1時間20分。あっという間に着いた。米子鬼太郎空港はその名の通り、あちこちに鬼太郎たちのイラストやオブジェが飾られている。しかしバスの出発時刻が迫っており、あまり写真は撮れなかった。

荷物を受け取る所の目玉おやじだけ撮った。スーツケースと一緒にずっとぐるぐる回っている。

 米子鬼太郎空港発、米子駅行きのバスに乗る。空港出口の目の前に乗り場があって便利だった。このバスも鬼太郎キャラでラッピングされていて可愛い。わーわーと慌てて乗ってしまい、外側から写真を撮れなかったため、内側からぬりかべの目だけを撮影した。

 鳥取に行けば避暑になるのではと期待していたが、空港周辺の気温は東京とそれほど変わらず、暑い。山に登れば少しは涼しくなるだろうか……

 米子駅からはタクシー。運転手さんは大山にまつわる神話を話してくれた。高天原(たかまがはら)、天照大神(あまてらすおおみかみ)なんて単語が次々出てくる。出雲大社も近いし、このあたりは古事記に描かれた世界なのだなぁ、としみじみ思った。

 市街地を抜けると風景が開け、眼前に大きな山が。大山だ。すぐそばまで来た気がするのに、走れども走れども山は動かず遠いまま。距離の感覚がいつもと違うので面白い。横を見ると、道の両側に田んぼが広がり、青々とした葉が風になびいていた。

 ガンバリウスに着き車から降りると、木と草の香りにむわっと包まれた。山だー!

(こちらに続きます↓)


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