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【画廊探訪 No.003】        捨てられた雑音(ノイズ)に微笑んで―――濵田路子作品に寄せて―――

捨てられた雑音(ノイズ)に微笑んで
―――日本版画協会第八十二回版画展受賞者 養精堂画廊選抜展 濵田路子作品に寄せて―――
                              襾漫敏彦
 写真機(カメラ)というものも、技術が進み機械(システム)の中で、フォーカスを調整したり、のぞまれるような色合いに加工してくれたりする。アーティストの個展を告げるDMの写真も色が鮮やかで、実際の作品よりもメリハリがついて綺麗に思えることも多い。
 濱田路子氏は、人の表情をモチーフとする版画家である。彼女は、写真を木版へと落とし込んで、それを基にして版を作成する。実際の影像から不要なものを削ぎ落とし、インクと馬連の加減で濃淡を加える。最後に筆でアクセントを整えていく。こうして、彼女は写真の表情の底に沈む澱(おり)をひきあげてくる。

 写真というのは、原理的には、レンズを通って光が感光板にあたって図像を形成する。被写体とフィルムに残った姿は、レンズを介在させたシンプルな対応関係にあった。その単純さ故に、そこに写されたものを真実として人は信じた。しかし、技巧の進歩は、その関係の間に多くの<意図>を介在させるようになり、人々は次第に映像に真実を探さなくなった。

 濱田氏は、一葉の写真を押しピンとして、そこから創作を始める。その技法は、削り落とすというより、ゆさぶり。私という感光板にとどく写真からの光に、ピントを外すようにして焦点をあわせる。それでも残るものは、暖かい情緒ではなく、その人の傷跡、そして悲しみの声・・・心の身体性に焦点をあてていく。

 意図せぬものまで拾うことが、フィルムの面白さであった。それを雑音(ノイズ)として除去するところに現代の映像文化があるとすれば、ゴミ箱の雑音(ノイズ)を拾い直しているのかもしれない。

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濱田さんとは、結構長い知り合いになりました。

こんど西荻窪のGallery Face to Faceでグループ展を行います

facetoface2000.com/https://www.facetoface2000.com/

大塚咲さんも参加してます。よかったら覗いてみてください。

濵田さんのWEBSITEは、おそらくこれです。

http://michikohamada.com/

あっかるいサイトです。


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