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ワクワクする社内オンラインイベントのつくり方


そうか!
僕がやりたかったことはこれだったのか!

心からそう思えた瞬間だった。ワクワク、共感、感動。そんな感情が混ざり合ったわずか30分間のイベントを、私はイベントオーガナイザーという立場で見ていた。

とあるイベントを社内で企画した。テーマは「キャリア」。実は企画したといっても、発起したのは私ではない。社内で一緒に活動するD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)のメンバーだ。

- D&I -
日本語で言うと「多様性を認め、それを受け入れる」という意味だ。
日本では「これって女性の活躍推進のための活動だよね?」とか、「LGBTを受け入れるための文化醸成だよね?」とか、「障がい者を雇用を高めるための活動だよね?」とか捉えられる節があるが、実際にはこれらに限った話ではない。

D&I活動の中で、私が取り組んでいるのが、キャリア志向文化の醸成だ。

「それってD&Iの範疇なの?」と思う人もいるだろう。確かに、D&Iといえば女性の活躍推進が一般的な1つのテーマだ。以前は女性の活躍推進をテーマに絞った活動を続けていた時期もある。しかし、今は女性に限らず、様々なバックグラウンドを持つ人材が、自ら進んでキャリア醸成し、結果として女性の活躍が推進されれば良いなと考えている。

本題に戻る。どんなキャリアイベントを企画したのか?それはどのようなスパンで、どのような方法で実行したのか?をまとめていきたい。

きっかけは、とあるメンバーの発言から

12月もクリスマスを目前に控えた月曜の午後。この日もD&Iのチームメンバー5人で議論をしていた。翌年(2021年)どんなことをしていけば社内にキャリア志向の文化が醸成されるだろうか?そんなことをざっくばらんに話していたように記憶している。

私:
「2020年の活動を振り返ると、キャリア志向の文化醸成には、各社員本人の主体性なくして進まないのまず間違いなさそうですね。」

Aさん:
「でも、そもそも、キャリアビジジョンをどう描けばいいかがわからない人が多いんじゃないかなぁ。」
「今年実施された社内Job Fairはすごく好評だったけど、もっと深掘ったことやんないと、中々業務イメージがつかないんじゃないかと思うのね。」

Bさん:
「確かに。大体社内の他の部門のスタッフ、もっといえば自部門のチームマネジャーだって、ぶっちゃけどんな仕事しているのかわかんないなって思う。」
「もっと言えば、Cさん(今話しているメンバーの一人)だって、部署変わってから何やってるか話したことないよね。こんなにしょっちゅうD&I活動で一緒にやってるのにさ。いつも聞いて見たいと思うんだよね。」

Aさん:
「え、それはさー、、、すぐできるんじゃないの?今日この場で企画できるでしょ。」

Bさん/Cさん:
(苦笑)

私:
「それ、是非すぐやりましょう!D&IのTeams掲示板にスレッド立てて公示しておきますね!」

※要点のみに絞って記載しています。

と半ば強引ながらも、最終的にはBさん本人もやる気になっていたので、その場で仮日程を抑え、企画を進めることにした。

私が準備期間にやったこと

大切にしたことは、どうイベントを印象深く、かつ価値あるものにするかだった。上記の話の続きでコンセプトとなりうるキーワードがメンバーから出てきた。

- 当事者(主催者)、ゲスト(話し手)、聴衆(聞き手)全員がワクワクする
- 過去、現在、未来、公私問わず、とにかくネホリハホリ聞く
  (「徹子の部屋」のイメージ)
- 知り合いの数珠繋ぎリレーで輪を広げる
  (「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングのイメージ)

この結果、このイベントの呼称は、「Bの部屋」となった。私はそのイメージに合うサムネイルを作成(徹子の部屋のイメージ)し、Teams掲示板に次のように掲載した。

【イベント告知!】第1回「Bの部屋」 〜自発的キャリア対談〜

新年あけましておめでとうございます🎍
この度自発的イベントとして「Bの部屋」を立ち上げます✨

みなさんは、こんなことありませんか?

「本社に異動した○○さんは、どんなキャリアビジョンを持って移動を決意したのだろう?」
「社内公募制度を使って異動した○○さんは、どんなスキルを磨いていたのだろう?」
「そもそも、○○さんは異動後の部署で、ぶっちゃけどんな仕事を毎日やってるんだろう?」

このように、みなさんが普段ぼんやりと感じられていることをBさんがゲストにネホリハホリ聞いていく、そんなオンラインの対談イベントです。
今回、D&Iメンバーのみなさまのみに無料ご招待が決定いたしました!!

「どんなイベントか気になるぞ」というそこのあなた!👉のご参加をお待ちしております✨

(以降、日時、サムネイル等)

限られたメンバーしか見られない掲示板のため、あえて緩めの書き方にした。社内のイベントはどうしてもカチッとしたものが多く、敷居が高くなりがちだ。その敷居の高さが、ある意味でキャリアを考えることを日常から遠ざけ、仕事感を醸し出し、「難しいもの」「考えたくないもの」という意識を生んでいるように感じていた。だから、ユーモアさや、多少ちゃらけた感じを出すことで、シームレスに日常からキャリアを考えられるものを作りたいと思ったのだ。

Bさん、Cさんが準備期間にやったこと

Bさん、Cさんも、私がTeams掲示板に出した告知案内を見てエンジンがかかったようだった。「番組」という意識が自然と生まれ、構成を率先して考えてくれた。

自己紹介、及びこれまでのキャリアの軌跡をライフラインチャートにまとめるなど、資料を作ってくれていた。パワーポイントスライド2〜3枚のシンプルだがわかりやすいもの。

こっそりリハーサルも実施されていた。わずか30分間のイベントの流れ、時間配分など。更には数珠繋ぎ先となる次回のゲストとの調整からすり合わせまで。

傍目で見ていた私としては、当初苦笑の反応から始まった二人が、ここまで情熱を持って、このイベントに取り組んでくれるとは想像していなかった。

前日、Bさんから私のところに連絡があった。

明日のイベント、録画できますか?

実は、Bさん自身、当初は録画に否定的だった。それもあって、録画については一度は提案したものの、その後特に話題には出さずに過ごしてきていた。私はBさんに録画可能な旨を伝えた。この時点で私は、このイベントの手応えをつかんでいたように思う。

イベントは大盛況に

「徹子の部屋」と「笑っていいとも!」の若干パクリ?とも言い難い(笑)不可思議なイベントは、参加していた聴衆からも反響を生んだ。

終了後のTeamsチャットには、参加者からたくさんのコメントが寄せられ、👍(いいね)や💚(スキ)が押された。中にはこの録画映像を自分の仕事のチームメンバーにもシェアしたいというメンバーまで現れた。

早々と次回の日程もbookingされ、1ヶ月後に第2回の開催が既に決定している。

振り返りから成功要因を探る

何がよかったのか?思い当たったのは次の3点だ。

 ❶ メンバーの知りたいに軸をおいたこと 
 ❷ イメージを具体化できたところ
 ❸ 即実行に移せたこと

❶は、主体性という観点から重要だと感じる。ポイントは、リーダー(私)の意見で主導したものではなく、メンバーからの素朴な発言から発起され、それに乗っかる形で企画を進めることができたという点だ。

❷は、会話からBさんやメンバーがイメージする「こんなの」を形にできたところ。今回の例で言えば、「徹子の部屋」「テレフォンショッキング」がそれにあたると思う。このイメージの中にキャリアに関する話題を織り交ぜた対談を行うこと。このように定義することで、「柔らかい」「穏やか」「ほんわか」としたイメージを簡単に共有できたように思う。また、サムネイルやイベント案内を作成することで、メンバーによりイベントの具体的なイメージが共有化されたことで、事前打ち合わせもスムーズに終わったと感じる。

❸については、具体的にスケジュールは以下の通りだ。

  企画: 2020年12月22日
  提案: 2020年12月23日
  サムネイル作成: 〜2021年1月5日
  イベント告知: 2021年1月5日
  事前打ち合わせ: 2021年1月12日
  イベントリマインド: 2021年1月26日
  イベント開催: 2021年1月27日

社内イベントかつオンラインイベントなので追加予算も不要、場所の確保も必要なかった。関係者が少ないため日程調整もラクに行えた。あとは有言実行のみが課題だった。ヴィジョン(やりたいこと)がメンバー間で一致していたので、日程を先に決めてしまうことで、自然とそれに向かって進めていけた。

さらに、今回の経験を通じて、オンライン時代におけるコミュニケーションの方法についても学んだ。

イベント案内、当日までの擦り合わせは、メールではなくMicrosoft Teamsをフル活用した。メールは他業務メールに埋もれる恐れがあ流。フランクで円滑なコミュニケーションにも少しハードルがある。メールの作成にも時間がかかる。

一方Teamsでは、トピックごとのチャット・情報発信のフランクが増す。基本的に「お疲れ様です。」などの挨拶からチャットを始める必要はなく、本題にダイレクトだ。チャットの受け手も、読んだらリアクションボタン(👍、💚、😲など)で感情を表現すればいいだけだし、必要ならショートコメントで返せば済む。これによって、発信側もメンバーの温度感を知ることができ、方向性が合っていることを容易に確認することができた。これによりスピード感を持って、ほとんど不必要な労力をかけずにイベントが開催できたように感じている。

メンバーの1人は企画の際、次のように言っていた。

この取り組みが、徐々に全社に波及し、いずれ企業改革の取り組みとして
ダイヤモンドに取り上げられたらいいよねw

この言葉を思い出して、またワクワクを覚えた週末の午後であった。

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