【通常国会の法改正 ココが問題】メンバーが徹底解説しました(随時更新)

 政府は来たる通常国会(1月18日開会)で、罰則規定の導入、「予備的事態」の新設など、行動制限を強化するための新型インフルエンザ等特措法などの法改正を検討しており、国会がまもなく開かれようとしています。
 私たち有志メンバーは去る1月16日、「第2次緊急声明: 新型コロナ対策の法改正の方向性には自由と生活を脅かしかねない重大な問題がある」を緊急記者会見で発表し、法改正の方向性について警鐘を鳴らしました。さらに1月22日、政府の方改正案閣議決定を受けて「緊急提言:緊急事態でなくても権利制限を認める法改正案は抜本的に修正すべきである」を発表しました。
 1月6日の緊急声明では、緊急事態宣言が発せられることを想定し「平時よりもさらに行政監督及び人権保障機能を適切に果たすことができるよう、立法府(国会)及び司法府(裁判所)は積極的にその職責を継続して全うすること」を求めましたが、法改正の方向性は私たちの憂慮をさらに深くする内容となっています。
 そこで今般、その具体的な問題点を、有志メンバーが徹底解説しましたので、ご紹介します。

 なお、それぞれメンバー個人の見解であり、他のメンバーや発起人全員の見解を代表するものではありません。(上から新着順)

新設される「まん延防止等重点措置」の本質は「ミニ緊急事態宣言」 しかも現行法より制限強化(楊井人文 弁護士)

【検証コロナ禍】新設される「まん延防止等重点措置」の本質は「ミニ緊急事態宣言」 しかも現行法より制限強化(2021/2/1)

<ポイント>
・「ミニ緊急事態宣言」でも罰則が導入され、従来の適法行為が違法化される
・「ミニ緊急事態宣言」下の知事への授権範囲が不明確
・「休業要請」と「時短要請」の間に本質的な違いはあるのか

特措法改正に補償が必要ないのは「内在的制約だから」という誤り(倉持麟太郎 弁護士)

特措法改正に補償が必要ないのは「内在的制約だから」という誤り:過剰規制としての”一律”時短要請(2021/2/1)

<ポイント>
・内在的制約とは何か
・内在的制約として制約されうる基準とは
・特措法の目的に立ち返れ:生命・健康と生活及び経済への影響の最小化は同価値

特措法改正 メディアが報じた密室修正協議 「与党の譲歩」で決着は本当か(楊井人文 弁護士)

特措法改正 メディアが報じた密室修正協議「与党の譲歩」で決着は本当か(2021/1/29、Yahooニュース個人)

<ポイント>
・自粛要請に従うか従わないか判断する余地もなくなる
・密室の「修正合意」 政府案の本質的修正はほとんどない
・現在の緊急事態より強い制約を伴う「ミニ緊急事態宣言」導入へ
・ミニ緊急事態宣言の「国会の報告」は明文化せず、附帯決議?
・週明けの国会 筋書き通りに修正案で採決か

「平時でも罰則科せる」特措法改正の重大な欠陥 「まん延防止等重点措置」というグレーゾーン(倉持麟太郎 弁護士)

「平時でも罰則科せる」特措法改正の重大な欠陥(2021/1/27、東洋経済オンライン)

<ポイント>
・新設する「まん延防止等重点措置」の問題点
・緊急事態宣言とは過料の金額が違うだけ
・国会への「報告」ではなく「承認」が必要な制度に
・感染症法は緊急事態宣言とは関係ない
・慌てて法案を通そうとするプロセスの稚拙さ

新型コロナ関連法制改正案は抜本的に見直すべきである <解説編>(水上貴央 弁護士)

新型コロナ関連法制改正案は抜本的に見直すべきである <解説編> (2021/1/24)

<ポイント>
1 <結論>新型インフル特措法改正案は抜本的に修正すべきであり、感染症法改正案は一旦撤回すべきである。 
2 「まん延防止等重点措置」は、ミニ緊急事態としては絶対に認められず、『緊急事態予防措置』として位置づけなおすべきである
3 制約が強くなる以上、緊急事態宣言への民主的統制の実装と国民への説明責任強化は必須である
4 緊急事態宣言下には事業者へ指示や命令を課すが、十分な支援や損失補償とセット
5 国民への支援および医療機関、地方公共団体への支援はしっかりと明記すべき
6 差別の防止の規定は政府改正案では弱すぎる
7 特措法改正は必要だが、現行改正案はあまりに行政目線であり、抜本的修正が必須

「新型インフル特措法」の改正を読み解く3つの視点(倉持麟太郎 弁護士)

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新型インフル特措法等の改正を読み解く3つの視点 (2021/1/16)

<ポイント>
・新型インフル特措法改正で何が変わるのか
・「平時」と「有事」の境界線を失くし、いつでも「緊急事態」状態を作れる「予防的措置」の新設
・日本社会に欠如する「緊急事態」という「人権感覚」
・我々に請求権がない“施し”としての「補償」
・「病床のひっ迫」をさらに悪化させる「入院勧告」
・法はいつでも「必要」に対するブレーキ

『コロナ関連改正法』は最悪の火事場泥棒法案である(水上貴央 弁護士)

超圧縮版 (2021/1/17)

<ポイント>
1 現行法=「弱い制約・制裁無し」+「国会承認不要・損失補償無し」
2 改正案=「強制・過料・制裁有り」+「国会承認不要・損失補償無し」
3 『予防的措置』で緊急事態宣言さえ不要に
4 罰則付き入院勧告は医療崩壊を助長
5 無策で招いた危機を利用して法改正⇒火事場泥棒
6 真面目に議論すれば、まともな改正案は3日で作れる

要約版(2021/1/17)
全文(2021/1/16)


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