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#33 男の源平合戦


年末の紅白は駄目だったらしいなあ。
オレはとんねるずとか見てたけど(笑)

「『カラフル』というテーマで若者をターゲットにしたから」というのが言われているけど、だったら若者が見たかっていうと、それもさほどだったという(笑)

紅白歌合戦。
紅組、白組に分かれて「合戦」するという設定自体を分かりにくくしちゃったのがまずダメだったんじゃないかな?
まあ、一瞬、2つぐらいの演奏しか見てないから、これは人聞きの情報だけどさ。

「紅白」「合戦」という設定があるから、4時間以上の番組が成立するんで、ただ4時間演奏やエピソード流されても疲れるわな。


あ、「紅白」の由来ぐらいは知ってるよな。
野球で「紅白戦」と言ってみたり、昔、小学校で赤白帽なんかかぶらされたの(笑)
日本人の常識?だよな。

そうそう、平家物語、「扇の的」だよ。

■ 与一、かぶらを取つてつがひ、よつぴいてひやうど放つ。
  かぶらは海へ入りければ、扇は空へぞ上がりける。 しばしは虚空にひらめきけるが、春風に一もみ二もみもまれて、海へさつとぞ散つたりける。

この時、射貫いた平家の扇は「みな紅の扇」だった。
つまり、平家軍のチームカラーは「赤」だった。
で、対する源氏軍のカラーは「白」だった。

平安時代の末期、源平合戦は、日本初の国内内戦だった。
結果、負ける平家だったが、平家が自分たちの正当性を主張するために、都から安徳天皇という当時5歳ぐらいの天皇を連れて西へ向かっていた。

ということは、天皇を擁する平家の赤い扇に弓を引くという、源氏の行為は、はっきり言って反逆行為と受け取られかねない。
だからこそ、弓の名手、那須与一は、赤色の扇を射貫くのではなく、「扇の要ぎは一寸ばかり」の扇の骨の部分を射貫いたというわけさ。

ともあれ、合戦の革命児、源義経率いる実力派の「白」、戦の中でも伝統や趣を守っていた「赤」。
日本初の国内内戦、源平合戦は紅白で行われた。

こういうことから、日本では、戦いを紅白に分け、そして、互いに戦う相手を尊重し合う、という習慣が残ったんだな。


・・
こういう設定、つまり「型」みたいなものってどうして必要なんだろう。

恐らくさ、「型」があると、参加している人たちが共通の場所に立てるんだろうと思う。

「型」がなくなると、分かる人はわかるけど、分からないその他大勢の人は理解できない。

「紅白」「歌合戦」という「型」を分かりにくくしたから、年末の紅白は駄目だったんだよ。

・・
今、全く誰も知らないだろうけど、大正時代に「ダダイズム」というブームがあった。
既成の秩序や常識に対する否定、攻撃、破壊するブームで、日本でもブームになった。
例としてよくあるのが「皿」って詩だ。

■  皿

皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿
倦怠
額に蚯蚓這ふ情熱
白米色のエプロンで
皿を拭くな
鼻の巣の黒い女
此処にも諧謔が燻すぶつてゐる
人生を水に溶かせ
冷めたシチューの鍋に
退屈が浮く
皿を割れ
皿を割れば
倦怠の響が出る。

・・
なんで「皿」を24個も書くの?(笑)

日本語が書いてあるけど、なんか乱暴者が思ったことを書いただけで、共感できる人は少ないだろうね。

そこが、ダダの詩の一番の弱点。
「型」がないんだ。
だから共感してもらえない。

なんか、こんな、ただ破壊的な歌詞をうるさく歌うパンクとかメタルとかありそうだけどな。
そういう破壊的な衝動って、若いころはあるものだから、そういうごく一部の人たちには共感されるかな(笑)

・・
「紅白」とか「合戦」といった「型」を外すと、とたんに共感されにくくなっちゃったんじゃないかな。

北島三郎が引退してだいぶたったけど、サブちゃんが「はあー、祭りだ、祭りだ」って言ってたのを、若かった時のオレは大して面白くもなかったけど、でも家族でなんとなく見てたな。

紅白歌合戦という「型」の中で、若い俺も年取った親も同じ空間を共感できていたんだろう。

面白いというのは、そんなに大したことじゃないかもしれないよ。
そうではなく、どれだけ多くの共感を集められるかだ。
その際に、「型」を使うことは大事だし、オレたち自身も

■ 日本にある「型」

というもの、まあ、分かりやすく言えば、伝統的なこと、古典を、ことあるごとに思い出し、大事にしていくべきなんだろうと思うな。

・・
「カラフル」って、そうそう、最近LGBTQが言われているけど、まあ、今日はその話はしないけど、「男」と「女」っていう2つの存在は生物学的に動かしようのない「型」だと思う。

ある人に言わせれば、男と女はまったく別の生物だって言い方があり、オレも自分の経験からまったくその通りだと思う。

いやー女にはかなわねーって思うこと、しょっちゅうだよ(笑)

昨日だって、行きつけの立ち飲み屋で、自分の子どもほどの女性が上手にオレの目を見るんだ(笑)
で、オレにうまく話を合わせたりする。
あやうく心を奪われそうだった!(笑)
こ、こ、これは噂の〇パ活かも!とちょっぴり興奮しつつ(爆笑)

まあ、そんな男と女のドキドキするシチュエーションの歌も、もしかしたら少なくなってるかもしれないな。

そんなドキドキを思い出すためにも、今浮かんだのは、サザンの「Lave Affair」かな。

■ 夜明けの街ですれ違うのは
  月の残骸(かけら)と昨日の僕さ
  二度と戻れない境界(さかい)を越えたあとで
  ああこの胸は疼いてる

  ボウリング場でカッコつけて
  ブルーライトバーで泣き濡れて
  ハーバービューの部屋で抱きしめ
  また口づけた
  逢いにいかなくちゃ
  儚い夢と愛の谷間で溺れたい

うーん、男の源平合戦(爆笑)

ま、そんな意味で、飲もうかね(笑)

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