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#26 人間失格にならない程度に

オレもいい年になってきてさ、老後を考えたりする。
本屋とかネットとかで「投資」とか見ると、なんか反応したりして。
「日本人は投資マインドが必要だ」とか、あれこれ言われるな。

イデコ?オデコ? あ、イデコか。
ニーサとか。
やってもいいけどさ、思い始めるのが遅い気もして、今からやったって、将来のためにためたところで、オレぐらいだとあと10年20年生きたら、お迎えが来るわけで(笑)

なんかめんどくさいし、今あるお金は、今使って、次に使いたいお金があれば、それを目指して稼げばいいじゃんって思うんだよな。
ま、専門家に「甘い」とか言われるんだろうな。


聞いたことあるか?
「お金は、お金が好きな人のところに集まる」

で、「これはウソだ、お金が好きだけどちっとも貯まらない!」っていうヤツがいる。

それはそうで、こういう「貯まらない!」って言ってるヤツは、お金が好きなんじゃなくて、お金を使うのが好きなヤツなんだよ。

使えば、なくなるし、貯まるわけない(笑)

お金が好きな人というのは、貯めて、お金を使わないんだよ。
使わないで、貯まるのが嬉しい人なんだ。


金かあ。
オレは、お金が好きではないな。
ちょっと油断すると、使いたくなる(笑)
お金を使って何かを衝動買いするって、それは1つのストレス発散なんだろうな(笑)

「お金が貯まらない人は、貯まらないような生活、使い方をしてるんだ」とも聞いたことがある。

だから、お金の使い方を見直すことって、自分の生き方を見直すことでもあったりするな。

オレはさ、40代からマラソンを始めた。
ほどよく体重が落ちて、健康にも自信が出てきた。
そうなって、オレは、生命保険とかを見直した。
気が付くと、付き合いで、3社ぐらいの保険料を払ってた。
それやめて、1社にして、がん治療で多少出してくれるようなものだけにした。

死んだときの葬儀代とか気にするじゃんか。
相場で100~300万いるとか。
でも、今どきは、家族葬で小さくやってもらえるから、それでいい。
なんなら、オレごとき、葬儀もしてくれなくっても、燃やして埋めてくれるだけでもいい(笑)
だって、死んだあとなんて、自分の意識なんかないだろ?
どうされたっていいじゃんか(笑)

・・そう考えると、健康にかけるお金、死んだときにかかるお金なんて、さほど気にしなくていいとわかる。

お金が好きな人にお金が貯まるんだったら、オレに貯まるのは何かな?

オレは、オレが生きる人生が好きなんだよ。
こうしてバーやって、好きなことしゃべってさ(笑)
趣味のマラソンのウエアやシューズ買えて、食べて飲めればそれでいい。


・・そんな目線で見ると、お金って、必要なだけあればいいし、必要な額を稼ごうって頭になるから、気楽になってくる。


若いうちって、欲がいっぱいあるから、漠然と、お金がたくさんほしくなる。
漠然と考えるから、あれこれ手を出すし、稼ぐヤツが上!って感じになる。
お金持ってないと負けた気分になる。

でもさ、こうやって考えてくると、お金は絶対の価値基準じゃないことがわかってくるだろ。
要は、自分のやりたいことに対して、お金がいるなら、その分だけ稼げるよう頑張るだけなんだ。

そうあっても、いつの間にか金を持つこと自体をいいことだと思いこむクセがあるんじゃないかな。
で、金がないことを卑屈に考えたり、生き方を曲げたりする。
お金がないと始まらないけど、人生まで変えるのはどこかむなしい。


ちょっと話が重くなってきたな。

お金と言えば、太宰の「走れメロス」だ。

邪悪な王から処刑されるところを、親友のセリヌンティウスを人質にして、必ず帰ってくるって言って走り回った主人公メロスの話だ。

で、太宰の友人の檀一雄がバラしてるけど、あれは、太宰が借金を返すために、檀一雄を実際に保証人にして太宰が金策に走り回った実話をもとにしたらしい。

作品としては、最初は邪悪な王に対する「人の信実」、嘘をつかない心の強さのあるところを証明する気持ちだったけど、最後は、そういう対抗心ではなく、「信頼」、信じられている気持ちに応えたいのだという思いに変わっていった作品だ。

■ それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。

でさ。
実際の太宰はどうだったか。

メロスは3日以内に帰ってきたけど、太宰は帰ってこなかった(笑)
5日経っても帰ってこないんで、心配して探したら、友人のところで将棋指してた(笑)

ま・さ・に、人間失格!(爆笑)


「走れメロス」感動してた人にとっては知らなくていい情報だなあ(笑)
文学やるヤツって、一般常識に合わない人もけっこいる。
というか、そうでなければ、文学やれないのかもな。
文学を研究する時に、作者論と作品論に分けるのは、こういった混乱が起きるからなんだけどさ。


それはそれとして。
太宰にとっては、お金は貯めるものでも返すものでもなかったんだろうな。
自分は物書きであればよくて、お金は自分の欲を満たすものだけど、なければ借りればいいし、借りる自分をカッコ悪いとはまったく思ってなかったんだろう(笑)

それはそれで筋が通ってる(爆笑)

ほめられたものではないにせよ、お金で自分の人生を曲げなかったところは、ちょっと参考になるかなとも思うんだよな。
人間失格にならない程度に(笑)


長渕剛の「いつかの少年」って歌があるな。

■ 俺にとってKAGOSHIMAはいつも泣いてた
  ひ弱で不親切で邪険な街だった
  親父とお袋は泥にまみれ銭をうらやみ
  そのド真ん中で俺は打ち震えていた

金をうらやんで、自分の人生を曲げる父母を見て、どうして人間は金のために、行きたい人生を生きられないのかって、「少年」は打ち震えるんだ。

そんな設定、自分にはないと思うか?
いやいやけっこう、形を変えて、たくさんの人たちが、自分の人生を生きたいと思いながら、お金に左右されているんじゃないかな?

自分の好きな、自分の人生で大事なものを追い求めているのに、いつの間にか、お金をためなくちゃとイデコやニーサにドキドキしちゃうオレ(笑)

お金がないと何事も始めらんないかもしれないけどさ、でも、お金を漠然とほしいと思う気持ちにすり替わると、結局自分の人生を捻じ曲げることになるのかもって思うんだよ。

■ 俺の人生はどこから始まり
  いったいどこで終わってしまうんだろう
  突き動かされる、あの時のまま
  そう、いつかの少年みたいに

お金は大事だけどさ、手段だと思うなら、貯まらない時はやり方を変えればいいんだろうな。
なぜなら、自分にはやりたいことがあるんだから。

何? さっきの店でだいぶ金使ってきたって?
じゃあ、安く、サワーにしとくか?
え? ウイスキー? 無理すんなよ(笑)
飲みたいんだったら、飲めばいいけど。(笑)

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