The 1975好きに薦めたい音楽
はじめに
the 1975。イギリスのマンチェスター出身のロックバンド。その活躍は10年代を代表するロックバンドの一つであり、ここ日本でも人気があり、また国内ロックバンドに影響を与えています。
彼らの作る歌は幅広いジャンルを網羅し、そしてラブソングから政治性のある歌詞、インターネット社会の問題点まで、現代を生きる我々に、音楽を通して様々なメッセージを提示しています。
日本でもここまで人気が出たのはやはり彼らの作る音楽にあると思うのだが、「the 1975みたいな音楽をもっと知りたい」と思ったことはありますか?私はめちゃくちゃあって、彼らの洗練された音楽に通じる音楽をdigしまくっていた時期があります。
今回はthe 1975の楽曲を通して、イメージを膨らませて他のアーティストやバンドを紹介する記事を、yamapipさん、ジュンさんの二人のゲストの協力のもと作りました。(お二人のツイッターのリンクも曲もそれぞれ間に貼っております)
この記事を作りながらお二人の薦めてくれた音楽を聴いていたのですが、こんなことを思いました。私は普段は邦楽の音楽を聴かないので、初めて聴いたものばっかりでしたが、the 1975好きにも通じる魅力を見つけたような気がします。「洋楽」「邦楽」の言葉は便利ではありますが、時には壁にもなって、何かの可能性の弊害へと成り得ることもあります。
この企画はふと思いついたまま実行したのですが、このような機会で新たな音楽を発見することが出来て、そしてそこからまた音楽の輪が広がったりすることを考えると、これからも好奇心を持ちながら音楽に触れて聴いていきたいです。
この記事はthe 1975が好きな人々に薦められる音楽があります。読んでくれた皆さんが楽しめることを願っています。
1人目は私、2人目はyamapipさん、3人目はジュンさんです。ツイッターのリンクを貼っています。the 1975の曲名の後にそれぞれの筆者の名前をカッコで括ります。
mososo
People (mososo)
この曲はキャリア史上もっとも攻撃的なトラック。身を滅ぼすほどの絶叫する姿はこれまでのイメージを壊すほど衝撃的な曲だった。そしてこの自己犠牲を見て私が思い出したのは・・・
The Used / The Used
ユタ州で結成されたポストハードコアのロックバンド。自分が語らずとも兎に角有名な作品である。the Usedは2000年代のスクリーモバンドを代表するバンドであるが以降のバンドはスクリーモの方向性を見直し、シャウトを控えたりするが、この作品ではそりゃ後でうるさく求められるよと思う程、ヴォーカル、バートマクラッケンの絶叫がめちゃくちゃカッコいい。どっからその声を出してるんだと思う程のシャウトを聴かせてくれるが、そのシャウトは技量的なうまさではなく、自己犠牲してまでの思いをただただ感情に身を任せて出している。
この辺がthe 1975のPeopleのMatty Healyの自己犠牲と繋がっているのだが、もう一つ共通点があって、Peopleは攻撃的なトラックではあるが、音楽的なフォーマットは流石といわんべきか、結構しっかりしていてthe 1975に夢中のガールズも違和感なく聴けそうな程ポップさを兼ね備えている。そしてこのthe Usedのアルバム、デビューアルバムらしき青々しい所はあり、ヴォーカルはところどころ絶叫しているが、実は結構キャッチーでもあり、結構聴きやすい。
the 1975と言えば、楽曲に幅広いジャンルを網羅しており、こういう攻撃的なトラックもあれば、繊細で美しいバラードもある。そこがthe Usedのこの作品のもう一つの共通点であり、シャウトが沢山聴ける曲もある一方でバラードは同じバンドとは思えないほど美しいメロディを奏でており、彼らが「エモバンド」と言われるのも納得の自身の感情の魅せ方、破壊的であるが同時にフラジャイルな部分がthe 1975と重なるところがあるので、このアルバムを知らない人がいたら是非聴いてほしい。
Please Be Naked (mososo)
思い出深い曲です。歌詞のないエレクトロ・アンビエントの音楽でピアノの旋律がとても美しい。言葉が無くても音楽を聴くと見える世界があり、自分にとってアンビエントに初めて触れたのはこの曲だった。そしてこんな音楽をもっと見つけたいと思って見つけたのがこの作品。
Rhian Sheehan / Stories from somewhere
Rhian Sheehanはニュージーランドのアーティストで2000年初期から活動してるらしい。今作はそんな彼の7番目のアルバム。この作品はジャンルはエレクトロアンビエントで、特に一番最初の曲「Sileo」はPlease Be Nakedが好きなら気に入ると思う曲で、静かにアンビエントが広がりつつ、次第に流れていくピアノの音を聴くと、心が浄化されるようなそんな気分になってとても癒される。
この作品はそんな美しい曲からオルゴールを使った曲や、オーケストラサウンドの壮大な曲や、途中からポストロックっぽくなる熱い展開を見せる曲もあったりと、アルバム全体の世界観は統一されながらも色々とバラエティに溢れた作品となっている。the 1975がPlease Be Nakedで魅せた美しくも儚げな音楽が好きなら、Rhian Seehan氏のこの作品にも心惹かれると思うので是非聴いてほしい。
yamapip
She's American (yamapip)
1stアルバムの頃の彼らの音楽が、様々な音楽から影響を受けて更に深まったようなところに魅力を感じます。昨年のサマーソニックで聴けてより好きになりました。
おすすめしたいバンドのアルバム
For Tracy Hyde「he(r)art」
The 1975が様々なアーティストから影響を受けてその音楽性を広げていったように、彼らの音楽もまた日本の多くのアーティストへと影響を与えている点に着目したいです。
For Tracy HydeのこのアルバムはThe 1975からの影響を大いに受けて、シューゲイザーや80年代音楽へのあこがれも纏った作品です。「Floor」はまさしく「She’s American」からインスパイアされた楽曲で、影響をいかに自分たちの音楽にしようかという取り組みが感じられます。
BBHF「Mirror Mirror」「Family」
Mirror Mirror
Family
BBHFもまたThe 1975からの影響を大きく受けたバンドだと言えそうです。Galileo Galileiとして活動していたことから「Chocolate」を日本語でカバーしたり、あこがれを表出させていた彼らですが、方向性の違う2枚のEP「Mirror Mirror」「Family」をリリースした姿は、The 1975とも共鳴しあっているように思えます。
両バンドともThe 1975からの影響を受けつつ、自分たちの音楽へと昇華している部分に注目して聴いて欲しいです。音楽の面白いところは、作品が他に波及してまた新たな作品が生まれるところなのですから。
I Couldn’t Be More In Love (yamapip)
昨年運よく海外まで見に行ったライブで聴けた楽曲ですが、歌声とサックス、そしてギターソロの音色が特に耽美です。セクシーに響くのです。音楽の美しさにしばし心を埋めることができる楽曲だと思います。
D’Angelo「Voodoo」
少しThe 1975の音楽から離れるかもしれませんが、ネオソウルと呼ばれるジャンルに含まれるD’Angeloもまた、音の耽美さに聴き惚れてしまうような音楽です。特に「Untitled(How Does It Feel)」は一音一音がとにかく美しいです。
いろんなジャンルの音楽を包含したThe 1975の楽曲から、リスナーが他のアーティストへの興味の扉を開けるというのは夢のあることのように思えます。
ジュン
Somebody Else (ジュン)
2ndアルバムの収録曲。美しい浮遊感を持ち、丁寧にマシューが言葉を紡ぐ名曲だ。サマーソニック大阪2019で繰り広げられたサウンドスケープには誰もが癒されたと思う。自分もそこにいた。
ドリームポップというジャンルが好きな人は特にこの曲が好きなんじゃないだろうか。ということで、ここから起点に聞きやすいドリームポップのバンド、および曲を紹介する。
(ドリームポップからthe 1975を聞くようになる方向はあるだろうが、逆はあまりないかもしれないと思ったので)
Japanese Wallpaper 「Caving in」
オーストラリアのミュージシャン、Japanse Wallpaper。この曲は、昨年2019年にリリースされた彼のデビューアルバム「Glow」の収録曲。the 1975の「Somebody Else」に比べれば賑やかな音楽だけれど、このポップネスと浮遊感はthe 1975ファンにも受け入れられると思う。
この手のジャンルでオーストラリアのアーティストといえばClairoが今は大注目だろうが、その陰に隠されてしまっている感じがして、とても悔しい。間違いなくこのアーティストも同時に押さえてほしい。
↓この曲を収録したアルバム↓
The Fin. 「Pale Blue」
このアーティスト、そして曲も紹介しておく。イギリスを拠点に活動している日本人のバンド、The fin.だ。Wild Nothingの来日ライブが京都であった時にも対バンとして出演していて、実力は保証済み。この動画はスピンコースターからのライブ映像。
↓この曲を収録したアルバム↓
It's Not Living (If It's Not With You) (ジュン)
he 1975 の中でもとびぬけたポップさとキャッチ―さを持つ。今やデパートやコンビニでも流れるようになってる、キラーチューンの一つになった名曲。
ポップできらめくギターの音。コーラスのおかげで分厚く聞こえるけど、マシューの歌が繊細で優しい。
というわけで、この曲にある「繊細さ」と「ポップさ」から他のアーティストに広げてみる。
Spangle Call Lili Line 「Red」
「繊細さ」からつなげるアーティストは、Spangle Call Lili Line。この曲「Red」は昨年リリースされたアルバム「Dreams Never End」の収録曲。彼らは、それぞれカメラマンやデザイナーを本職としている稀有なバンド。活動は20周年を迎え、今年になってベストアルバムをリリースした。日本のミュージシャンの中でも圧倒的に繊細な音を鳴らす。
かなり音響系の音楽に近いので、さらにここからポストロックやアンビエントといったジャンルへ近づいていくこともできるだろう。
↓この曲を収録したアルバム↓
↓今年リリースされたベストアルバム↓
KIRINJI 「雨は毛布のように」
「ポップさ」から広げるのはキリンジ。日本のポップスを代表するアーティストなのでもはや説明はいらない。だけど、the 1975からキリンジに派生する方向はなかなかないような気がするので、ここで紹介する。(逆の方向はかなりあると思う)
↓この曲を収録したアルバム↓
昨年リリースしたアルバム「Cherish」もとにかく素晴らしい。キングヌーとかofficial髭男dismとか、ミクスチャーされた良質なポップスが流行る昨今でこそ、キリンジの音楽は聴く価値が大いにあるはずだ。
↓昨年リリースのアルバム↓
まとめ
いかがでしょうか。私の方は記事を書くのは楽しかったし、こうやって協力者を募ってやるのも初めてのことだったのですが、こうやってやるのも楽しいですね。また次回なんか思いついたらやりたいなと思いました。the 1975ももうすぐ新譜が発売されてものすごく楽しみです。最近日本では暗いニュースばかりですが、2020年の音楽の話は楽しみなものばかりです。(ライブのキャンセル以外は)。暗い事もありますが、こういった楽しいことを精いっぱい盛り上げていきたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?