SATOYAMAイニシアティブ

うがみんしょうらん🌺 お久しぶりです!

今週は、SATOYAMAイニシアティブについてお届けします。皆さんはSATOYAMAイニシアティブという取り組みを聞いた事があるでしょうか?
環境省のHPにある説明には

世界で急速に進む生物多様性の損失を止めるためには、保護地域などによって原生的な自然を保護するだけでなく、このような世界各地の二次的自然地域において、自然資源の持続可能な利用を実現することが必要です。わが国で確立した手法に加えて、世界各地に存在する持続可能な自然資源の利用形態や社会システムを収集・分析し、地域の環境が持つポテンシャルに応じた自然資源の持続可能な管理・利用のための共通理念を構築し、世界各地の自然共生社会の実現に活かしていく取組を「SATOYAMAイニシアティブ」として、さまざまな国際的な場において推進していきます。

こんな感じで書かれていました。
なんだか分かりにくいですが要約すると、人の手が入ることで維持されてきた場所を守っていくための知識などを次の世代にも伝えられるように整理していきましょうって感じでしょうか。

お気づきの方も多いとは思いますが、SATOYAMAイニシアティブの”SATOYAMA”って、日本語の里山なんです。
里山というのは、人々の生活している場所と自然との中間にあたる場所のことで、畑や田んぼ・池・草原などからなるものです。農林業などと関わりが深い自然で、人の手が加えられる事によって、維持・管理されている自然を思い浮かべてもらえば、分かりやすいかもしれません。とんぼやカエル・たぬき・きつね・めだかや鷺など、私たちがよく思い浮かべるこれらの生き物は、どれも里山の生き物です。
豊かな自然が残る里山は、生き物たちの生活環境としての働きだけでなく、私たちの食糧や木材といった自然資源の供給・文化の伝承などの役割があります。里山は自然だけ、人間だけが利用している空間ではなく、まさに自然と人間が共存している空間だと言えます。

しかし、高齢化や過疎化によって里山を維持・管理できる担い手が減少傾向にある日本では、里山の環境が悪化し生物多様性が危機的な状況にある事が問題視されています。
生物多様性保全国家戦略のなかで、日本の生物多様性への危機の一つとして「人間活動の縮小による危機」というものが挙げられています。これは自然に対する人間の関わりが減る事で、かつては薪や炭などの自然資源を得る場だった里山が利用されなくなった結果、里山の生き物たちが絶滅の危機に瀕するようになったことを指しています。
そこで、優れた里山の保全活動を行っている地域の事例を集めて、他の地域の参考にしようと始まったのが、このSATOYAMAイニシアティブです。現在は日本のみならず、世界各国でこの取り組みが行われており、様々な知識や管理手法が集約されています。そして、SATOYAMAイニシアティブは、生物多様性条約(CBD)の目標の中でも「生物多様性の保存」と「生物多様性の持続可能な利用」に特に有効であると期待されています。

九州地方の事例として、熊本県の阿蘇をご紹介します。
火山活動によって形成された地形や、今もなお活発な火山活動を続ける活火山がある阿蘇ですが、豊かな自然環境を持続的に活用する知恵がたくさん見られます。例えば、火山活動の恩恵でもある、湧水や温泉を利用した生活スタイル、また地形をいかした牧畜や野焼きの文化、火山信仰などがあげられます。牧畜では、赤牛の「オーナー制度」によって資金を集め、草原の自然環境再生と生物多様性保全を進める取り組みが行われています。

開発によって自然が破壊される状況は、想像しやすいですが、適度に自然を使わないことも環境破壊に繋がってしまうというのは、驚かれた方も多かったのではないでしょうか?自然資源を生活の中でうまく活用しながら、自然との良い関係をこれからも保っていければ、良いですね!皆さんの周りにも、こんなSATOYAMAイニシアティブがあるよというのがあったら、是非周りの方と共有してみてくださいね!

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