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中国史の話題についていくためなら、横山光輝漫画だけで充分です

 あなたが、家族や会社や学校で、中国史の話をしたがる人がでてきて、その人の話を理解したいと思った、あるいは少しは興味がわいたときと仮定します。

 その場合、どうすれば、最短距離でその人の話についていける、あるいはそれなりにまとまって知ることができるだろうか、と考えておられるのではないでしょうか?

 答えは簡単です。

 この三つの漫画を読めばいいだけです。全て同じ作者の作品なので、ほとんど世界観は共通しています。

 なぜか、全て電子書籍がkindleにはないので、ebooksを紹介しています。

1 『三国志』 全60巻

 一般の職場や学校、家庭における中国史理解の6割がこれで、対応できます。話も小説を元にした活劇が多く、3作品の中で一番面白いです。
 歴史理解よりも、とにかく、中国史の中心となる三国志の話についていくこと優先するなら、これを読みましょう。
 
 巻数は多いですが、初めての方にはとても新鮮なはずです。また、ゲームなどで名前を聞いたことのある人物もいるでしょう。
 約1800年前、日本史では卑弥呼の時代の中国での話です。

 吉川英治という小説家の方が(中国の古典である『三国志演義』をベースにして)書いた『三国志』を元として、元々の『三国志演義』の方が優れている部分は採用して描いた作品です。

 ネット上でよく言われる「(三国志)演義では~」というのは、実は、この作品の内容のことが多いです。
 ネット上のこういった発言は、この作品と歴史書の『(正史)三国志』とは別であり、この作品が実際の歴史とは違うという趣旨です。
 しかし、ネットのテキスト上の話題は『(正史)三国志』が主流ですが、家族や会社や学校といった現実社会やテレビなどメジャーな媒体では、横山光輝『三国志』が主流です。
 ですので、現実社会では、こちらの作品を読めば、マニアックなところに入らなければ、ほとんど問題が起きることはありません。

 殷・周・秦・の「漢から晋に移り変わる時代」の話です。

2 『史記』 全15巻

 次はこれです。一般の職場や学校、家庭における中国史理解の3割はこれでついていけます。
 時代は三国志より先で、こちらを先に読まれるなら、三国志への理解も深まります。三国志は漢王朝が滅びる話ですが、こちらが漢王朝が誕生する話が中心です。
 短編形式なところも読みやすいです。

 ただ、『史記』は比較的面白い歴史書とはいえ、歴史書を漫画として分かりやすく説明したものですから、学習漫画に近く面白みは余り感じないかもしれません。これは好みによるため、『三国志』の方を先にお勧めしています。

 殷・周・秦・漢の「周から秦の興亡を経て、漢が安定するまでの話」です。

3 『水滸伝』 全8巻

一般の職場や学校、家庭における中国史理解の残り1割はこれです。すなわち、これで10割です。これ以上知るのは、かなりマニアに近づくので、無理をする必要はないです。
 実際は、『水滸伝』という中国古典の小説のダイジェストなのですが、面白い部分だけを漫画としてとっています。時代は、先の二つよりかなり後、日本史の平安時代の末期、「北宋王朝」の末期の話です。

 人物が多くて、話についていくのは難しいかもですが、これも比較的メジャーなジャンルであることがお分かりになればいいと感じます。
 巻数が少ない分、読みやすい面もあります。

必須ではないけど、他にも色々読みたい方はこちらもどうぞ

 この3作品を見て、面白い、もっと読みたいと思われる方は、次の3つも読めば、かなりディープな話題でも、ついていける可能性が高いでしょう。これも全て横山光輝先生の作品です。


 舞台となっている時代が古い順番に紹介します。

4 殷周伝説 全22巻


 作者がご病気になり(そのままお亡くなりになりました)、完結されたようで最後がちょっと駆け足で終わっていますが、歴史書の『史記』と小説の『封神演義』と横山光輝先生の独自解釈をいれた作品です。
 時代としては、「殷王朝」の時代、中国史でまともに記録が残る時代で最もはじめの時代となります。

殷・周・秦・漢の「殷から周に移り変わる話」です。

5 戦国獅子伝 全10巻

 これは、主人公が正義感は強い反面、ニヒルなところがあり、残酷描写や女性が裸になる描写が多く、読む人を選びます。最後も雑誌の都合で、駆け足で終わったようです。
 ただ、漫画としては、活劇も多く、とても面白くおすすめです。

 時代は、『キングダム』や『達人伝』と同じ戦国時代でそれより少し前となります。
 歴史人物も多数、登場し、兵法家の孫臏やそのライバル龐涓、斉の威王らが登場します。
 主人公は、その斉王である威王の弟となる架空の人物・文竜です。

6 項羽と劉邦 全21巻

 上で紹介した『史記』の中心となる話を、『史記』と小説『通俗漢楚軍談』を加えて、話を少し変えたものです。
 時代としては秦が滅び、漢王朝が生まれる話になります。
 『キングダム』のその後、『三国志』で分かりづらい「漢王朝とはどうして生まれたのか?」という説明にもなります。

 『史記』を好きな人とお話したい場合、こちらも踏まえていた方がよいかもしれません。

 以上となります。

その他の作品

 横山光輝先生には他に中国史に関する作品として、『チンギス・ハーン』、『狼の星座』、『長征』がありますが、職場・学校・家庭での話題としては把握する必要はありません。
 また、『ウイグル無頼』は架空の話で、ウイグル帝国とは関係がないです。

 また、この作品をお読みになった方が、これをきっかけとして、さらに中国史に興味を持ち、小説や歴史書の解説・翻訳を手にとられるなら、横山光輝先生の願いにかなっているでしょう。

 さらに、中国史について知りたい方は、続きはこちらです。次は小説から学ぼうとされる方が多いとは思いますが、私はこう考えております。

 小説よりも、歴史の本の方が優先と考えている方には、「故事成語」の本もすすめています。小説より読みやすいかもです。


 

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