おやすみ私、また来世。　#23

　センター試験が終わっても、彼女からは何の報告もなかった。きっと疲れ果て、寝てしまったのだろうと、その日はそれほどの心配はしなかった。
　翌日になり、更にその翌日になっても、彼女からは何の反応もなかった。SNSへのツイートもなく、DMやメールを飛ばしてみても返答はなかった。それどころか既読すらつかない。さすがに心配になり、携帯に電話してみても通じなかった。電源を入れてないのか、バッテリーが切れているのか繋がらない。その後、何通もメールも送ったが、やはり何の返答もなかった。完全に彼女との連絡が途絶えてしまった。
　もしかしたら、彼女が僕との連絡をあえて絶っていたりしているのだろうか？　──僕は彼女が気に障るようなことをしてしまったのかと可能な限り思い出そうとした。それでも心当たりは全くない。ただ最後に会った頃、精神的にも体調的にも不安定だったことが心配だった。何処かで倒れて運ばれ、意識が戻らないまま入院していたり、事故にあってそのまま──なんてことになっていないだろうか？　それを思うと、いっそ入院していて欲しいとさえ思った。
　簡単にやりとりができてしまうことから、忘れがちになってしまうが、SNSでの繋がりは希薄だということに今更ながらに気がつく。僕が彼女のプライベートで知っていることは実はあまりなく、住所どころか名字さえも知らない。彼女に友人の姿を感じたこともないし、彼女の行方を訊ける相手を誰一人知らなかった。
　僕はネットに残されたツイートと、これまで交わした会話の記憶から、彼女の自宅の場所を探ろうとしたが、手掛かりになるような情報を見つけることはできなかった。
　みらい観測クラブが御茶ノ水を集会所にしていたのは、お互いの生活圏が総武・中央線で繋がっていたからだった。僕は去年まで御茶ノ水の大学に在籍しており、彼女は小岩にある進学校に通っていた。彼女の自宅が、総武・中央線沿線の西の方にあることまでは知っていたが、それが中野なのか吉祥寺なのか、最寄り駅が何処かを聞いた覚えは全くなかった。
　彼女の通っていた高校に問い合わせをすれば、自宅の場所はすぐにわかるだろう。それでも個人情報保護の問題から、卒業生の住所を知りたいと学校側に言ったところで、教えてくれはしないだろう。僕と彼女は友人以上でもなく、フルネームすら知らない間柄なため、かなり警戒されるに違いない。
　──僕はじっとしていることができず、当て所無く彼女を探した。御茶ノ水から中野、阿佐ヶ谷から荻窪へ、そして吉祥寺から三鷹──例え彼女の自宅の場所がわかったところで、どうすることもできなかったが、僕は彼女を探さずにはいられなかった。
　通りや駅前で、彼女と似た背格好の似た子を見かけては鼓動が速くなる。そして彼女じゃないことを確認しては落胆した。スマホでは常にTwitterを開き、彼女のツイートがないか再読込みを繰り返した。
　──神隠しのように消えてしまった彼女を、僕は不安な気持ちのまま待つしかなかった。

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みらいレコーズ@mirairecords・2013/1/24
やくしまるえつこが歌う『やじるしソング』も収録、コーネリアス『NHK「デザインあ」』サウンドトラック発売しました。

神さんがリツイート
みらいレコーズ@mirairecords・2013/2/8
やくしまるえつこ「RADIO ONSEN EUTOPIA」2013年４月10日発売！

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コズミックニュース@cosmicnewz・2013/2/15
ロシア近郊チャリヤビンスク、巨大隕石を衝突前にUFOが破壊？