アイリーン・ダンの「花嫁凱旋」

「花嫁凱旋」(1936) の原題は "Theodora Goes Wild" で、今なら、「シオドーラのワイルドで行こう!」か「シオドーラ、ワイルドだろぅ?」という題名にしたい。主演のアイリーン・ダンはメロドラマもミュージカルもできる才能ある女優さんですが、抜群に面白いコメディエンヌでもあって、この翌年の「新婚道中記」はスクリューボールコメディの代表作です。良妻賢母型に見えますが、色気やエネルギーを秘めていて、彼女をスクリューボール・コメディの女王と呼びたくなりました。「ママのご帰還」も面白かったなあ。

田舎町で、お固い中年女性たちに囲まれて暮らしているシオドーラ(アイリーン・ダン)は、きわどい小説でベストセラー作家になっているのですが、まわりには秘密にしています。その小説のイラストレーター、マイケル(メルビン・ダグラス)は都会的な気ままな男で、シオドーラが住む町を探し、彼女が叔母二人と一緒に住む家の庭師になって、彼女を困らせますが、いつしか二人の間に恋が芽生えます。ところが肝心なときに逃げてしまったので、ニューヨークの彼のアパートに行ってみると、彼には別居状態の妻がいることがわかります。

カチンときたシオドーラは、自分の出身地をばらし、派手な衣装を着てメディアのインタビューに応じ、マイケルとの仲もあからさまにして、田舎町のお固い住民たち、出版社の社長、都会の自由人ぶったマイケルらをギャフンと言わせます。彼女のエネルギーはとどまることを知らず、いったいどこで収拾がつくのだろうと思ってしまうほどです。コロンビア作品。監督リチャード・ボレスラウスキー。白黒。

2013年4月19日

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