「荒れ狂う河」(1960)

赤狩りで仲間を裏切ったエリア・カザンは、「波止場」や「エデンの東」といった名作を見ても好きになれませんでしたが、日本ではテレビで放映されただけらしい1960年の「荒れ狂う河」の米盤DVDを昨日鑑賞したら、とても良くって、幼いころトルコから無一文で渡米してきたカザンを理解したくなりました。

もっとも、お目当てはリー・レミックで、カザンの前作の「群衆の中の一つの顔」のバトントワラー役で短いながら印象的なデビューを飾り、この作品で最高の演技を見せています。

1930年代、テネシー川流域開発公社からモンゴメリー・クリフトが派遣され、川の中の島を立ち退かない老婆の説得に当たるのですが、その孫娘で、幼い二人の子供がいる若い未亡人のレミックと恋に落ちます。大きな事件が起こらない、しみじみとした作品。木の棒で大きな板を漕いで島に渡る場面が印象的。「エデンの東」もそうだけど、カザンはカラーのワイドスクリーンが得意らしい。

2016年1月9日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?