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急にドキドキ

さっき、急に自分が大人なんだと感じた

感じちゃったら、ドキドキしている、今もドキドキ

もう、齢をずいぶん重ねて生きているのに

はじめて感じたドキドキ

こんなに歳をとっているのに、大人だと思ったことはなく

けれど子どもだとも勿論思っているわけではない

ただ、実年齢に見合った大人としてはあまりにも分別がなかったということに気付いてしまった

さっき出勤するときに、ネズミが死んでいて、こんな都会の歩道にネズミが死んでる、ビクッとしたその瞬間は、

ネズミはむこうみずだから死んじゃったんだろうなと思った、小さかったから

二度見はしたけれど、じっと見ることは怖くて出来なくて、その瞬間の目に入った情報だけで考えた

小さいけれど、むこうみずなネズミはムチャをして、

でもきれいな死体だったから、轢かれたとか、カラスと戦ったとかではなさそうだし、

血も出てなかったから、雨も降っていなかったし、

もしかしたら、小さいけれど、子どもではなくて大人のネズミで、心筋梗塞か何か急に死んじゃったのではないかしらと思ったら、

ドキドキが止まらなくなった

自分は死ぬことに近づいていて、ずんずん近づいていて、

どちらかというと、今まで生きてきた時間よりも短い時間で死んでいくのだろう

頭の中がぐるりと回ってそう考えだすと、

大人であるべきなのに

大人であることをどこか拒否して、目をキラキラさせてムチャをする小さい子のような存在であり続けたいと願っていた自分と向き合った

その子は鼻をフンと鳴らし、このままでいいじゃん と言った

私はその子なのだけれど、その子が大好きなのだけれど、

ネズミが死んでいるのを見ちゃったから、その子のままではいられない

その子でいられない

その子のままではいられない私は、

まるで、

裸で外に放り出されたような感じを味わっている

どうしたら良いのか全くわからず、ドキドキし続けている

戦場に放り出されたバイオハザードのミラ・ジョヴォヴィッチだ


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