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バルミューダ/新ジャンルの製品を作り続けることができるか

バルミューダは昨年末2020年12月16日に、東証マザーズに上場しました。足元の業績は横ばいのようですが(以下画面ショット)、成長性が求められるマザーズ市場で、今後同社は成長できるのか、見ていきたいと思います。

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バルミューダの事業

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ご存じの方も多いと思いますが、バルミューダは機能性に優れ、デザインも良い高級家電の領域で事業を展開しています。

私自身はバルミューダの製品を使っていないので、ユーザーからどういう評価をされているのかを見るために、いくつか比較サイトの情報を載せておきます。

見た率直な感想ですが、デザイン面も機能面でも大差はなく、バルミューダの差別化要因は小さくなているのではないかと感じました。

DC扇風機のGreenFanも、高級トースターThe Toasterも発売されたときは革新的でも、時間が経つにつれて他社に模倣され、その独自性はどんどん薄れていっているのかもしれません。家電業界は超大企業も含めて競争が激しいですね。まさにレッドオーシャンです。

ちなみに、バルミューダの顧客層は単に富裕層ではなく、ハイブロー層というところを想定しているようです(これが一般的な用語なのかはわかりませんが)。自社の製品の価値をわかってくれる人に買ってほしいという感じにも読み取れますが、高くてもいいから機能性・デザイン性が良いものを求めるは、こういう層なのかもしれません。ちなみに、この記事を読んでる人もハイブロー層なのかもしれませんね、少なくとも富裕層かというと正しくない。
なお、家電業界の市場規模は大きいですが、ターゲットにしているところはかなり小さいことがわかります。

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同社の成長ストーリー

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売上を客数と客単価に分けて説明をしています。
個人的に、成長のカギは「エリア」と「商品ジャンル」の2つだと思います(特に後者)。
まず、エリアに関しては、今は日本と韓国で大半の売上を占めますが、今後新たに米国にも進出するそうです。世界では超長期的には所得水準もあがり、ハイブロー層は増えていくにしても、それは遠い先です。

商品ジャンルに関しては、以下のグラフがわかりやすいです。
既存のカテゴリーがいったん浸透すると、それ以上は伸びていかないことがわかります(今後、エリアという切り口でそこも増やしていくのでしょうが)。なので、新ジャンルの商品を開発し続けること、それが成長のカギになります。競合の家電メーカー(家電だけにはとどまらない?)がまだ未発掘の新ジャンルの革新的な商品を開発するというのはかなり難しそうですね。

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ファブレスメーカーだそうです

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バルミューダをバリューチェーンの観点で見ていくと、同社は製品デザイン・設計・開発・販売を行い(販売はその大半は卸売先などの流通チャネルを使っているので除いた方が良いかも)、製造に関しては外部の工場に委託し、自らは工場を持たないファブレスメーカーです。ビジネス上、これはうまいなと思ったので、メモがてら書いておきます。

バルミューダの商品はターゲットがかなり限られ、かつ商品ジャンル間の製造上の関連性も薄いため、小ロットの生産にならざるをえない面があります。規模が拡大していくと、自前で工場を持って固定費化させた方がよいのでしょうが、ビジネスモデル上はそれは想定されず(1つの商品ジャンルの製品を拡大していくのではなく、異なる商品ジャンルの製品のラインナップを拡大していく)、自前生産よりは外部委託の方がビジネスモデルにあっています。

コストを下げていくのではなく、差別化して販売単価を上げる戦略。ただし、競合に模倣しやすいという特性があるので(コアなファンは一定層いても、シェアが下がっていく?)、どんどん新ジャンルの商品を投入していかないといけない。結構苦しい面もありますが、そうやって苦境に陥ったときにも、自社工場を持っていない、資産が軽いという点はメリットにもなりうるなと思いました。

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